11月22日に販売開始となった、ASUSの電源ユニット「ROG THOR(ソー)」。マザーボードやグラフィックスボード、周辺機器といった手広い展開でその名を知られる同社が、今年6月に開催された「COMPUTEX TAIPEI 2018」にあわせて発表した待望の自作系パーツだ。「神」の名を与えられた(注:THORは北欧神話の雷神・トールの英語表記から)ということで、ASUSのハイエンドゲーミングブランド「ROG」らしい高機能製品に仕上がっている。
発売前にサンプル製品を借りることができたので、詳細をチェックしていこう。
同社初の高機能電源! ただし価格も"雷神級"
ROG THORは、容量1200Wの「ROG-THOR-1200P」、850Wの「ROG-THOR-850P」の2モデルをラインアップする電源ユニットだ。どちらも80 PLUS Platinum認証を取得しており、CPU補助電源を2系統備えるなど、最新の第9世代Core+Z390マザーで自作するのにも適している。なお、COMPUTEX TAIPEI 2018で展示された際は雷神・トールのハンマーをイメージした持ち手が付いていたが、残念ながら製品には付属しない。
本体サイズは、「ROG-THOR-1200P」が約幅150×奥行き190×高さ86mm、「ROG-THOR-850P」が約幅150×奥行き160×高さ86mm。製品の外観は、ROGブランドらしく幾何学模様とブラックカラー、発光するROGロゴといったデザインでまとめられており、同ブランドのマザーボードやグラフィックスボードとあわせて使用すれば、PC全体に統一感を出せる。ロゴやライン部分のLEDはもちろん同社のLED同期機能「Aura Sync」に対応しており、付属する専用ケーブルをマザーボードに接続することで、「AURA」ユーティリティー上から他パーツとの同期やカラー・パターン変更が可能になる。
また、ひときわ目を惹くのが、本体側面のOLED(有機EL液晶)ディスプレーだろう。CPU温度などをモニタリングできる「LiveDash」パネルは最近のASUS製品に搭載される機会が増えているが、OLEDパネルを内蔵したPC用電源ユニットは世界初とのこと。このモニターは電力消費状態をリアルタイムに表示でき、PC全体の消費電力量を一目で確認できる。せっかくの機能なので、サイドパネルがアクリルや強化ガラスのケースで採用したいところだ。
利便性に優れるOLEDパネルではあるが、電源ユニットの固定方法が独特なPCケースの場合、パネルが完全に見えなくなってしまう点には注意する必要がある。電源を縦に配置するケースや電源隠しのあるケースとはあまり相性がいいとは言えないだろう。ROGロゴなども正位置で見えなくなってしまうと魅力が半減するため、できることなら使用するケースは吟味したい。
ケーブルはスリーブタイプで、フルモジュラー方式を採用。CPU・GPU補助電源ピンの数は、「ROG-THOR-1200P」がCPU用8ピン×2、PCI-E用6+2ピン×4、「ROG-THOR-850P」がCPU用8ピン×2、PCI-E用6+2ピン×2で、CPU補助電源に最大8ピン×2を使用するZ390マザーとは相性がいい。
冷却面でも特徴があり、135mm口径のウィングブレードファンに加え、大型の「ROGヒートシンク」を採用。電源部の温度を下げることで、熱センサーを利用して低消費電力時にファンを完全に停止する「0dBテクノロジー」を実装している。いわゆるセミファンレス動作だが、電源後部の物理スイッチからオン/オフを切り替えられるので、常にファンを回しておきたいというユーザーも安心だ。
実売価格は「ROG-THOR-1200P」が6万円前後、「ROG-THOR-850P」が4万4000円前後。電源ユニットとしてはかなり高価な部類に入るため、一般的な自作PCを組み上げる際はなかなかチョイスしにくいが、過負荷保護や過電圧・過電流保護、過熱保護といった保護回路も備えており、電源としての機能性は高い。もちろんROGブランドのファンにはたまらない仕様となっており、特にROG系パーツを揃えたいというユーザーにとっては強い魅力が感じられるはずだ。後日発売されるであろうオールインワンCPUクーラー「ROG Ryujin」と合わせ、超ハイエンドPCを組み上げるのも一興だろう。