『新潮45』動画は「本当にやって良かった」
── 『新潮45』の動画はどのような想いで撮られましたか?
もともと僕がラジオでよく聴く『荻上チキ・Session-22』(TBSラジオ)という番組で、頻繁にLGBTについて取り上げていたんですね。で、そうなんだ! っていろいろ勉強になることが多くて。『新潮45』の杉田水脈さんの「生産性」の文章が問題になったときに、「う〜ん」って思ってたんですね。
── なるほど。
その後、今度は「そんなにおかしいか杉田水脈論文」って特集が出たので、じゃあこれに対しておかしいなと思うことを言ってみようと決めました。一応、僕のなかで今までの問題意識の積み重ねがあって、あれをきっかけにして出してみようかな、って感じだったかもしれないですね。
── あの動画に関しては、LGBTの当事者でも応援の声が多く見られますよね?
「本当にやって良かったな」という気持ちが大きいです。批判のコメントも2番目ぐらいに多かったんですけど。それでも動画を観た当事者の方が「ちょっと、心がすっきりした!」というコメントを残してくれたことは、1番うれしかったです。
── 「人を傷つけない笑い」を追求していますよね?
そうですね。時事やさまざまな問題を語るときに、結構汚い言葉で語られることが多い気がしているんですよ。ほんとはみんなでいろいろ話し合ったら、問題の解決の本質に近づくと思うんですけど。汚い言葉を使って、お互いに罵り合うことでぜんぜん違う方向に話がズレるのが一番最悪なので、そうはならないようにしています。
── その問題意識ってどこから来てるんですか?
ネット上のやり取りで、心が削られるような罵り合いをいろいろ見るじゃないですか? 「意味ないなあ」って思って。沖縄の基地問題も、よくネットとかで論争になってるんですけど、ちゃんとした話し合いじゃなく、「出た、保守派クソ」とか「中国に攻められたらどうする? お前ほんと頭弱い、情弱」みたいなことを言うから「だれが情弱よ」と発展しちゃって。それぞれの悪口の言い合いだけが過熱していって、ほんとに語らなきゃいけないことが語られない、みたいなのがすごい嫌なんです。そういうのにならないようにしよう、っていう感じですかね。
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