さとうなおきの「週刊アジュール」 第63回
揮発性VMディスクの限定プレビュー開始
ブロックチェーン「GoChain」がAzure Marketplaceから展開可能に
2018年10月19日 13時00分更新
こんにちは、さとうなおきです。今回の「週刊アジュール」では、2018年9月30日~10月6日の1週間に発表されたMicrosoft Azureの新機能から、筆者の独断と偏見で選んだトピックについて紹介していきます。
Azure Storage:Advanced Threat Protection
ストレージサービス「Azure Storage」で、Advanced Threat Protection(ATP)のパブリックプレビューが始まりました。
Azure StorageのAdvanced Threat Protectionは、Azure Storageへの異常なアクセスを検出します。Azure Security Centerと統合されており、アラートの視覚化やアラートの電子メール送信が可能です。現時点では、Azure Blob Storageのみがサポートされています。
Azure Virtual Machines:揮発性OSディスク
IaaSの仮想マシン(VM)機能を提供するAzure Virtual Machinesで、揮発性OSディスク(Ephemeral OS Disk)の限定プレビューが始まりました。
OSディスクは、VMが必ず1つだけ持つ、OSが格納されるディスクです。これまで、OSディスクは、マネージドディスク、あるいはアンマネージドディスクとして、Azure Storageに格納されていました。
揮発性OSディスクは、ステートレスアプリケーション向けの、より低コストでより高いパフォーマンスを提供するマネージドディスクです。揮発性OSディスクは、ローカルのホストマシン上に格納され、Azure Storageに永続化されません。
Azure Backup:Standard SSD
Azure Backupは、バックアップ/復元サービスです。
9月のIgnite 2018カンファレンスで、Azure Virtual Machinesのマネージドディスクの一種であるStandard SSDが、GA(一般提供)になっていました。
今回、Azure Backupで、Standard SSDを使っているVMのバックアップがサポートされました。また、バックアップ可能なVMのディスク数が、32個に拡張されました。
Azure Security Center:フィードバック機能がパブリックプレビュー
Azure Security Centerは、Azureリソースのセキュリティの可視化と制御を行うサービスです。
Azure Security Centerのユーザーが、Azure Security Centerが検出したアラートに関するフィードバックを送信できる機能が、パブリックプレビューになりました。
Ansible 2.7
7月のAnsible 2.6に続いて、10月4日にAnsible 2.7がリリースされました。
Ansible 2.7では、Azure App Service(Web Apps)、Azure Traffic Manager、Azure SQL Database、Azure Database for MySQL/PostgreSQL、Azure Virtual Network、Azure Application Gateway、Azure Virtual Machine Scale Sets、Azure Virtual Machines、Azure Container Registry向けの、21個のAzureモジュールが追加されました。
Ansible 2.7とJenkinsを使った、Azure App Service(Web Apps)向けのCI/CDパイプラインがサポートされました。
Azure Marketplace:GoChain
Azure Marketplaceは、Azureに対応したサードパーティーのソフトウェアやサービスを探すことができるマーケットプレースです。
Azure Marketplaceで、「GoChain Single Node Blockchain - Developer Edition」が利用可能になりました。
GoChainは、プライベートでスケーラブルなブロックチェーンを提供します。GoChainは、Proof of Reputation合意メカニズムを使い、トランザクション処理を高速化します。
Azure Lab Services:入れ子になった仮想化、新規作成ウィザード
Azure Lab Servicesは、チーム用の環境(開発環境、テスト環境、教室ラボ環境)を短時間で提供できるサービスです。Azure Lab Servicesは、現在プレビュー中です。
Azure Lab Servicesで、入れ子になった仮想化(Nested Virtualization)がサポートされました。入れ子になった仮想化を使って複数のVM環境を持っているVMイメージを、テンプレートにすることができるようになりました。
Azure Lab Servicesで、ラボを新規作成するための新しいウィザードが提供され、新規作成が簡単になりました。
Azure App Service:PHPランタイムのアップデート
Azure App Serviceは、Webアプリ、Web API、モバイルバックエンドをホストするためサービスです。
9月のアップデートに続いて、11月に、Azure App Serviceが組み込みで提供しているPHPランタイムの5.6、7.0、7.1、7.2がそれぞれ5.6.38、7.0.32、7.1.22、7.2.10にアップデートされます。
Azure Service Fabric:6.3 CU2
Azure Service Fabricは、Windows Server/Linux上で動作するマイクロサービス・プラットフォームであり、コンテナーオーケストレーターでもあります。
8月にリリースされていたCU1に続いて、Service Fabric 6.3 CU2がリリースされました。アップデートは、バグ修正が中心です。
Azure SQL Database:SQL Server Management Studio 18.0
Azure SQL Databaseは、SQL Serverベースのリレーショナルデータベースサービスです。
SQL Server Management Studio(SSMS)は、SQL Server、Azure SQL Database、Azure SQL Data Warehouse向けのデータベース開発、運用のための、Windowsで動作するツールです。
9月にリリースされていた17.9に続いて、SQL Server Management Studio 18.0のパブリックプレビューがリリースされました。
このリリースでは、9月のIgnite 2018カンファレンスでプレビューが始まっていたSQL Server 2019のサポート、10月にGA(一般提供)になっていたAzure SQL Database Managed Instanceのサポートなどの新機能があります。
- ブログポスト「SSMS 18.0 public preview released」
- リリースノート(最新情報は英語ページを参照)
Azure Database for MySQL/PostgreSQL:サーバー移動、プレビューAPI廃止
Azure Database for MySQL、Azure Database for PostgreSQLは、MySQL、PostgreSQLベースのリレーショナルデータベースサービスです。
既存のAzure Database for MySQL/PostgreSQLサーバーを、新規Azureサブスクリプション、同じAzureサブスクリプション内の新規リソースグループに移動する機能が、GAになりました。
- 更新情報「General availability: Move MySQL servers to new resource groups and subscriptions」
- 更新情報「General availability: Move PostgreSQL servers to new resource groups and subscriptions」
12月1日に、Azure Database for MySQL/PostgreSQLのAPIのプレビューバージョンが廃止される予定です。プレビューバージョンをお使いの方は、GAバージョンに移行してください。
- 更新情報「Deprecation of preview API versions for Azure Database for MySQL」
- 更新情報「Deprecation of preview API versions for Azure Database for PostgreSQL」
Azure HDInsight:Kafkaクラスターでのキー持ち込み
Azure HDInsightは、Hadoop、Sparkなどのマネージドサービスです。
Azure HDInsightのKafkaクラスターで、ユーザーが持ち込んだキーを使った格納時の暗号化がサポートされました。
Azure Data Factory:Microsoft Graph data connect
Azure Data Factoryは、データ統合サービスです。
Microsoft Graphは、Microsoft 365のデータにアクセスするためのAPIです。
9月のIgnite 2018カンファレンスでパブリックプレビューになった「Microsoft Graph data connect」では、Azure Data Factoryを使って、Microsoft 365のデータをAzureに移動するためのデータパイプラインを作成できるようになりました。
- 更新情報「Integrate Office 365 data at scale into Azure by using Data Factory」
- ブログポスト「Cloud Scale Analytics meets Office 365 data – empowered by Azure Data Factory」
- ブログポスト「Microsoft Graph @ Ignite 2018」
PyTorchのサポート強化
PyTorchのサポート強化が、発表されました。次のAzureサービスで、PyTorchがサポートされています。
- 機械学習サービス「Azure Machine Learningサービス」
- データサイエンティスト向けのVMイメージ「Data Science Virtual Machines」(DSVM)
- 無料のJupyterノートブックサービス「Azure Notebooks」
- Visual Studio Code拡張機能「Visual Studio Code Tools for AI」
- ブログポスト「World-class PyTorch support on Azure」
- ブログポスト「Facebook accelerates AI development with new partners and production capabilities for PyTorch 1.0」
LOT Network
MicrosoftがLOT Networkに加入することを発表しました。LOT Networkは、あらゆる規模の企業で問題となっているパテントトロールに対抗するための企業による非営利組織です。
それでは、また来週。
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