今秋リリースを予定するアップルのARプラットフォーム「ARKit2.0」では、マルチプレイやトラッキングのサポート拡大などのアップデートが予定されている。開発者達は一足先に、ARKit2.0を使ったさまざまなアプリのデモを公開し、話題を集めているようだ。
今回iOSのデザイン・テクノロジスト、Nathan Glitter氏が作成したのは、スマートウォッチ「Apple Watch」と連動するARアプリだ。同氏のツイッターで公開されたデモでは、天気やメッセージといったApple Watchの主要なアプリについて、画面の隣に大きなARのスクリーンが表示される。メッセージアプリを選べば、チャット画面がARで表示されるという具合だ。ほかにもカメラロールなども表示することができ、さながらSF映画のようだ。米メディアVRScoutは、このデモについてGlitter氏にインタビューをしている。
制作者にインタビュー
――現在はどのような仕事をしていますか?
私は現在、iOSデザイン・テクノロジストとしてテキサスのSwiftKick Mobileで勤務している。iOSの技術とプロダクトデザインの橋渡しをする仕事だ。
――ARに携わることも多いのでしょうか?
主にはiOSアプリについて、デザイン、ジェスチャーやアニメーションの設計をしており、ARにはサブで取り組んでいる。なぜならユーザーエクスペリエンスもまだ標準化されておらず、新しいコンテンツ開発の余地が多くて興味深いからだ。
――このデモ作成にはどのくらいかかりましたか?
数週間程度です。イメージアセットを作り、アニメーションをデザインするのに一番時間をかけた。
――制作のきっかけは?
マーベルコミック「アイアンマン」のトニー・スタークが使っているAR技術だ。私のApple Watchのデモを見て、映画「スパイキッズ」を思い出すという人もいる。
――今後このプロジェクトは、どういう方向に進んでいくと思いますか?
例えば「ARグラス」のようなデバイスで活用できるのではないだろうか。我々の周りにある、あらゆる物をARで情報提示することも可能になるだろう。アプリがスマートフォンの枠組みから解放されて、現実の世界に存在するようになる。
――デモ動画からは分からない、説明したい特徴はありますか?
このプロトタイプではiPhoneを使っている。しかし、人間には2つしか手がないのだ(1つをスマートウォッチをはめるため、もう1つをデジタルクラウンを操作するために使うと、スマートフォンを操作する手は足りない)。つまり、今のモデルは現実的ではないということだ。デモ動画の撮影時には、スタンドにスマートフォンを固定して使った。また、現時点ではARの可能性を活かしきれていないとも思う。なぜなら、まだ私の考えの範囲も、2Dのデザインに限定されているからだ。将来的には、3Dをフルに活用したARコンテンツが生まれると考えている。