広島市立大学大学院 情報科学研究科 医用情報通信研究室は、ウェアラブルデバイスなど複数のIoTセンサーノードで計測したデータを無線経由でハブに集約する、ボディエリアネットワーク「SmartBAN」の実用化に向けた技術を、東芝デベロップメントエンジニアリングと共同開発。詳細を、7月17日(米国時間)に開催した「IEEE国際会議(EMBC)2018」で発表した。
発表内容は、「脈波伝搬速度(PWTT)による血圧の変動推定を例に、SmartBANの時間同期をとりながらデータを取得する機能の評価」に関するもの。
同技術は、欧州電気通信標準化機構(ETSI)で2015年4月に規格化されたSmartBAN仕様を基に開発。おもに医療・ヘルスケアIoTにおけるシームレスなデータ収集技術として、複数のウェアラブルデバイスから取得される生体情報の時間同期をとるなど有機的な処理を可能にするという。
昨今、生体センサーの小型化によってウェアラブル端末の開発が進み、血圧、脈拍、心電といった生体情報の常時モニタリングが可能となり、IoTの進展で生体センサーそのものが無線モジュール化。インターネットに容易に接続できるようになったことで、複数の生体センサーの連携や、多地点・多人数の情報の一元管理なども実現できるようになった。
しかし一方で、医療をはじめヘルスケアやウエルネスなど生活に密着した領域で一層の普及を図るには、生体情報に応じた許容誤り率での送受信、緊急信号の低遅延伝送など信頼性がより高い通信規格や、複数センサーで取得した生体情報を解析・分析するため必要な時間同期など、多くの技術的課題の解決が急務となっている。
東芝デベロップメントエンジニアリングは、今回開発した技術を製品化し、「SmartBAN実験キット」として年内に発売する予定だという。