Xiaomi(シャオミ)が7月9日、香港取引所にて株式初期公開(IPO)を行なった。初日は振るわなかったものの、その週の終わりには公募価格の17香港ドル(約240円)を約26%上回る21香港ドル台に達するなど、じわじわと値をあげている。トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争の最中というタイミングを考慮すると、必ずしも悪い出足ではない。だが、Xiaomi自体のビジネスへの懸念は残る。
IPO:初日は振るわず、だが少しづつ株価上昇
XiaomiのIPOがやっと実現した。今年1月頃から現実味を帯びていたXiaomiのIPOは、中国企業としては2014年のAlibabaに続く大規模なものになると予想されていた。世界ベースでもハイテク関連で今年の最大規模になるという予想もあった。当初は評価額1000億ドル(約11兆円)、100億ドル調達を目指していると言われていたのだ。Xiaomiは2014年の資金調達時に450億~460億ドルという評価額をつけていたことを考えると、金額の面ではその後の落ち込みを一気に挽回するものだ。
IPOの直前、Xiaomiは最終的に目標を下げ、540億~700億ドルの評価で約60億ドルの調達を目指した。公開価格は17香港ドル。初日は16香港ドル台に下がる場面もあったが、その後株価は上がった。13日には21香港ドルを上回る終値となっている。
目標の下方修正とともに、Xiaomiは中国政府が進める中国預託証券(CDR)を利用した中国本土での上場も計画していたが、こちらについては延期に。新たな予定については明らかにしていない。
インドでシェアトップに
Xiaomiの粘り強い戦いが回復に繋がった
Xiaomiは2010年に創業。値段の割に高スペックで見栄えの良いデザインのスマホが若者に受け入れられた。実店舗を持たず、ネットでのフラッシュセールで話題を呼び込むというビジネスモデルも新鮮だった。一時期はXiaomiがAppleに、共同創業者でCEOのLei Jun氏がAppleのSteve Jobs氏に例えられたり、と国際的に注目を集めた。
だがHuaweiなど他社もインターネットに力を入れるようになり(Huaweiの「Honor」シリーズは、元々はXiaomiに対抗して作った低価格ラインだ)、Xiaomiのフラッシュセールへの飽きやAndroid上に搭載するMi UIの不満などもあり勢いは減速。2014年には5%のシェアで5位(上位4社はSamsung、Apple、Huawei、Lenovo)に低下、同時期にGoogleのAndroidチームから起用したHugo Barra氏に託した国際展開も規模を縮小した。
Barra氏は2017年までXiaomiのバイスプレジデントとして、海外事業の展開を支援。特にインドではオンライン小売のFlipkartと組んでスタート。その後もインド国内に工場を建て、オフラインでも積極的に展開するなどの取り組みが奏功して、2017年第4四半期に同国でトップのスマートフォンベンダーとなっている。
Barra氏が2017年1月にXiaomi退社を発表した時は、悪い兆候に思えたがXiaomiの復活はまさにBarra氏が去った後に起こった。IDCを始め、各社の調査で同社はシェア4位となっている。
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