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春のヘッドフォン祭 2018 第13回

KSE-1200やRMCE-USBについて聞く

なぜシュアは、静電型/USB Type-C接続にいま取り組んだのか?

2018年05月04日 12時00分更新

文● 山本 敦 編集●ASCII

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“イヤフォンジャックのないスマホ”と相性抜群のリケーブル「RMCEシリーズ」

 シュアは昨年、iPhoneとのLightning接続に対応するデジタル対応のリケーブル「RMCE-LTG」を発売している。そして今年はUSB Type-C端子を搭載するスマホとのデジタル接続に相性の良いリケーブル「RMCE-USB」が登場する。

 2月にバルセロナで開催されたIT・モバイルの展示会「MWC2018」ではソニーモバイルもアナログ接続のイヤフォンジャックを取り去った新しいXperiaシリーズを発表。続く3月末にはファーウェイの「P20 Pro」からもイヤフォンジャックがなくなることがわかった。元々はアップルのiPhoneが先鞭をつけた「イヤフォンジャックのないスマホ」は、これからますます増えるのだろうか。

USB Type-C端子を採用したデジタルリケーブル「RMCE-USB」

3ボタンリモコンを搭載。接続したスマホの音楽再生やハンズフリー通話を操作できる

 シュアのRMCE-USBはケーブルのインラインに96kHz/24bit対応のUSB-DACアンプを内蔵している。またリモコンによるハンズフリー通話や音楽再生のコントロールも可能だ。イヤフォン側は汎用性の高いMMCX端子になる。筆者もXperia XZ1に接続して音を聴いてみたが、同じシュアのSEシリーズをアナログイヤフォン端子に接続して聴く音よりも一段と明瞭でパワフルな音を楽しめた。

 本機を使ってみて、ワイヤレスイヤフォンのように面倒なペアリングや充電が要らない有線リスニングならではの利便性も改めて身に染みた。シュアのSEシリーズを、これからのデジタル接続専用のスマホによる音楽リスニングにも活かせる、画期的なリケーブルをいち早く投入した背景から、エングストローム氏に訊ねてみよう。

エングストローム氏:現在発売されているスマートフォンは、多くのものがあまり音質には気を配らずに設計されているように感じています。特にヘッドホンアンプ部はノイズが多く、あきらかにパワー不足です。RMCE-LTG/USBは上質なDACとヘッドホンアンプの搭載にこだわりました。SEシリーズのハイエンドイヤフォン「SE846」の実力も十分に引き出すことができます。

iPhoneのLightning端子に直結できるデジタルイヤフォンには、アップルが推奨する設計ガイドラインにより、デジタル音声信号のデコードやマイク/リモコン信号を伝送するために必要な「LAM(Lightning Audio Module)」と呼ばれるICチップが搭載されています。シュアのRMCE-LTGはLAMの後段に独自のDAC/アンプを搭載して、さらに高音質化を図りました。

Lightning仕様の「RMCE-LTG」

イヤフォン側の端子はMMCX

バンクス氏:RMCE-USBにはシーラス・ロジック社の最大96kHz/24bitのオーディオ信号をデコードできるDACを内蔵しています。いま最も一般的なハイレゾの音楽ソースに対応できるようにしました。なおRMCE-LTGの方は最大48kHz/24bitまでのリニアPCM再生に対応しています。

プロダクトマネジメント・シニアスペシャリスト トーマス・バンクス氏

ーー音のチューニングはRMCE-LTGとRMCE-USBで変わりませんか。

バンクス氏:まったく同じです。可能な限り透明でむやみな色づけを避けた音に仕上げています。忠実な原音再生を確かめてほしいと思います。再生中にはDAC/アンプの駆動に必要なバッテリーをスマホからもらうかたちになりますが、スマホの使用に影響が出ないよう、最小限のバッテリーで駆動できるように給電まわりのシステムを設計しています。

ーーRMCE-USBはUSB Type-Cを採用するAndroid端末での使用がメインになると思いますが、iOSの場合に比べると開発環境の違いはどんなところに表れましたか。

エングストローム氏:iOSの場合、確かにアクセサリーメーカーにとって出来ることに制限もありますが、そのぶんルールは明快です。かたやAndroidの場合は決まり事は少ないものの、優に2万種類を超える設計の異なるデバイスが市場にあふれているところに大きな違いがあります。iPhoneやiPadなどアップルのデバイスは過去モデルを加えても数えられるモデル数ですよね。ヘッドフォン出力のパワー、DACの仕様、Andorid OSのバージョンやUSBデジタルオーディオ出力への対応など、パフォーマンスも千差万別のAndroidデバイスに対応しながら、シュアの製品として一貫性と信頼性を備えるリケーブルをつくることは、私たちにとっても簡単ではないことでした。

バンクス氏:さらにMicro USB-B端子を持つ製品を加えると、そもそもUSBオーディオに対応していないスマホも出てきてしまうので、さすがに困難も極まります。そこで比較的新しいインターフェースであるUSB Type-Cが登場したタイミングに合わせて、USBオーディオに対応するスマホでSEシリーズのサウンドを心地よく楽しめるデジタルケーブルを開発しました。

USB Type-Cを搭載する端末の中には、USBオーディオで音声信号の入出力の両方に対応するものと、片方(出力)だけに対応するものがあります。シュアのRMCE-USBは、より幅広いタイプのUSB Type-Cを搭載するスマホで使えるようにUSBオーディオの入出力の両方に対応しています。マイクとリモコンも搭載しているので、音楽再生だけでなくハンズフリー通話もできます。

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