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麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負 第23回

ジャズ・クラシックスからアニソンまで必聴の10作品

麻倉推薦:中島美嘉のダリフラOPやシン・ゴジラ&エヴァなど盛りだくさん

2018年04月02日 18時00分更新

文● 麻倉怜士 編集●HK(ASCII)

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 評論家・麻倉怜士先生による、今月もぜひ聴いておきたい“ハイレゾ音源”集。おすすめの曲には「特薦」「推薦」のマークもつけています。3月ぶんの優秀録音をお届けしています。e-onkyo musicなどハイレゾ配信サイトをチェックして、ぜひ体験してみてください!!

『KISS OF DEATH(Produced by HYDE)』
中島美嘉

 「KISS OF DEATH」はTOKYO MXで放送中の TVアニメ『ダーリン・イン・ザ・フランキス』の主題歌。鮮烈さと疾走感が楽曲的な美質だ。バックが厚いサウンドだが、でも中島の声質のシャープなエッジ感は、どんなにバックが重厚で音数が多くても、ひじょうに明瞭に立ち、暑い音の壁を突き上がる。バックは、個々の楽器の解像度を上げることより、芯をしっかりと持ち、凝縮感と緻密感を持つサウンドだ。中島の張りのある声の表現力を聴くのに格好なアルバムだ。中島はバラードも一級だが、本作のような疾走系も感動的だ。

FLAC:96kHz/24bit
Sony Music Labels、e-onkyo music

『ドビュッシー&ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ 他』
ダヴィッド・オイストラフ、 フリーダ・バウアー

 ロシアの大ヴァイオリニスト、ダビッド・オイストラフは多くのレーベルに名音源を遺しているが、フィリップスのそれは世界遺産級の名盤ばかりだ。レフ・オボーリンとのベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集と並び、圧倒的な評価を得ているのが、1966年録音のドビュッシー&ラヴェル盤。

 このアナログ時代の名盤がいま、リマスターとハイレゾで蘇った。ロマンの香りが横溢し、潤いと和みのある音調にて、すべらかにドビュシーの音響世界を築く。音的にはディテールを徹底的に細密に描くというより、この時代ならではの良き豊潤なサウンドが聴ける。音のエッジがまろやかで、気持ち良く心に入っていく。録音年代は古いが、その時代に添った、素直で、グラテーション豊かなまさにフィリップスサウンドだ。。1966年4月2-4日、パリ、メゾン・ド・ラ・ミュチュアリテで録音。オリジナル・マスターからのハイレゾ記録。

FLAC:192kHz/24bit
Decca、e-onkyo music

『大村憲司 ~ ヴェリィ・ベスト・ライヴ・トラックス
(PCM 96kHz/24bit)』

大村憲司

 1998年に逝去した名ギタリスト、大村憲司が残したライブ音源集。大村は1971年に赤い鳥の『スタジオ・ライブ』に参加して以来、著名なアルバムをスタジオ・ギタリストとして支えた。

 本アルバムは過去にリリースされた7枚のアルバムのうち5枚からのベストパフォーマンスを集めたもの。全曲がライブ音源だ。

 進行力と躍動感に溢れたギター名演は、弾みとノリが愉しい。音場内にてギター、ベース、ドラムス、キーボードの各楽器が確固たる存在感を持ち、あるべき場所で確実に音像を描く。音像と音像の間の響き成分も多く、音場的な緻密さは、ライブならではの良い仕上がりだ。スタジオ録音なら、音像解像度をさらに高度化したところだろうが、これはエッジがしっかりと立たせ、くっきりと前に押し出す質感も、良い。シャドウズの優しい「春がいっぱい」がハードなロックになってびっくり。

FLAC:96kHz/24bit、WAV:96kHz/24bit
ステップス・レコーズ、e-onkyo music

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