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コインチェック事件から改めて考える、仮想通貨の安全性

2018年03月23日 09時00分更新

文● せきゅラボ

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仮想通貨は本当に普及するのか

ーー 仮想通貨には将来があるか?

寺尾 今回の問題は仮想通貨自体というよりも、取引所の側にあった。

安田 マカフィーとしては、仮想通貨のテクノロジーが社会をよりよいものにしていく可能性がある以上、それを安心安全(セキュア)に使っていく仕組みづくりに貢献したいと考えている。今はインターネットやスマートフォンなどの黎明期に似た状況からもしれない。新しい技術や概念に抵抗のない若い人が自然に仮想通貨を使ったり、仮想通貨に関連するサービスを自分自身で作りだすことで普及していくだろう。逆に言えば、今後はサービスを作りやすい通貨が生き残るともいえるかもしれない。個人的には、NEMはAPIが充実しているなど、ウェブ開発者など技術者がサービスを開発する上での利便性が高い仮想通貨のひとつと感じている。

 また、日本語では仮想通貨と訳されることが一般的だが、原文では「cryptocurrency」(暗号通貨)。つまり暗号技術を基盤としてなりたっている。セキュリティの文脈で関心が高まるのは当然ともいえる。

寺尾 フィンテックに携わっていると、よくデジタライゼーション(電子化)とディスラプション(破壊)という2つの言葉を目にする。前者は合理化に近いイメージだが、後者は破壊であり、既存のビジネス基盤を崩す潜在力を持つ。仮想通貨の取引も、金融という言葉でくくればそれに近いが、カテゴライズが難しい領域だと思う。

安田 つまりベストプラクティスがまだない。そこが難しいところだ。

ーー 日本では年末年始にテレビCMなども盛んに放映され、仮想通貨が取引が過熱する要素が揃っていた。気軽さが先行していたが、自己責任であることを十分に認識したうえで、セキュリティにも気を配りたい。

回答者プロフィール

寺尾敏康(てらお としやす) マカフィー株式会社 エンタープライズ営業本部 金融営業部 ビジネスディベロップメントマネジャー。大手金融機関にて、30年以上にわたり企画管理部門、海外部門、システム部門を経験。特に海外での法人営業やマネジメントが長く、日系企業の海外進出支援(米国、アジア等)には豊富な経験を持つ。

IT関連では、第三次オンラインの設計・構築を始めとし、それ以降は主にユーザー部門の企画担当として、業務革新(ビジネスプロセス リエンジニアリング)、海外業務基盤整備(勘定系・情報系システムのグローバル展開)、アンチマネーロンダリング(海外20ヶ国以上の拠点をカバー)のプロジェクト立ち上げや概念設計・業務要件定義などの超上流工程から、具体的なソリューションの設計・構築・導入までを実施。

現在はビジネスディベロップメントマネジャーとして、FinTech等業界動向の調査・分析に加え、各種セキュリティソリューションの営業支援を通じて、金融分野でのエバンジェリスト的な役割を担っている。

安田淳一(やすだ じゅんいち)マカフィー株式会社 プロフェッショナルサービス本部アドバイザリーサービス部 シニアセキュリティコンサルタント。CISSP, CEH, CHFI。

2017年7月マカフィー入社。セキュリティソリューションの設計・構築、テクニカルサポート、プリセールスエンジニアおよびコンサルタントとして、サイバーセキュリティ業界における15年の経験を持つ。SIerにてセキュリティソリューションのテクニカルサポートおよび設計・構築を経験。セキュリティ専業ベンダーではプリセールスエンジニアとして標的型攻撃対策ソリューションを担当。現在はセキュリティコンサルタントとして、製造・通信・金融等の業界を担当し、アセスメントの実施やロードマップ策定支援の他、CSIRTおよび脅威インテリジェンス活用のためのプロセス構築支援などの実績を持つ。

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