マカフィーは3月8日、サイバー犯罪が世界経済に与える影響について紹介するレポート「Economic Impact of Cybercrime - No Slowing Down」(衰えを知らないサイバー犯罪の経済的影響)を発表した。戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies: CSIS)と協力した世界規模の共同調査で、レポートではサイバー犯罪が世界経済におよそ6000億米ドル(およそ63兆円)の損害をもたらしていると結論づけている。この数字はグローバルGDPの0.8%に相当し、世界的な被害額を4450億米ドルとした2014年の調査からさらに増加しているという。
過去3年間で被害額が増加した理由を、レポートでは大きく分けて3点指摘。最新テクノロジーがサイバー犯罪者らに速やかに導入されていること、拠点数の増加などでサイバー犯罪への参画が簡単になっていること、上位層のサイバー犯罪者の財政状況が向上していることを挙げている。
レポートは北米/ヨーロッパ/中央アジア/東アジア/太平洋地域/南アジア/南米とカリブ海沿岸諸国/サハラ砂漠以南のアフリカ/中東と北アフリカのサイバー犯罪について調査。国家所得に占める被害額の割合を比較した際に最も被害の大きい国は、デジタル化が進みながら現時点でサイバーセキュリティー能力が不完全な中間層の国々だったとしている。
レポートによると、サイバー犯罪者の最大の標的は銀行で、最も危険なサイバー犯罪の発生源は国家だという。金融機関のハッキングが最も活発な国々はロシア/北朝鮮/イランで、サイバースパイ活動が最も盛んな国は中国だとレポートは指摘している。