Huaweiが再び米国政府の中国叩きの矢面に立たされている。2月に入って、中央情報局(CIA)、国家安全保障局(NSA)などの米国の主要な情報機関が、HuaweiとZTEのスマートフォンに対し、「米国の市民はこれらの企業の製品を使わないことを推奨する」と警告したのだ。
CESではAT&Tらがドタキャン
キャリア提携は実現せず
1月に米ラスベガスで開催されたCES。Huaweiは大きな展示スペースを設け、Huaweiのデバイス事業を率いるRichard Yu氏は基調講演のステージに臨み、最新フラグシップの「HUAWEI Mate 10 Pro」の米国ローンチを発表した。各メディアはYu氏のスピーチを大きく取り上げたが、米国ではHuaweiはアウトサイダーだ。
世界スマートフォン市場では安定した3位のHuawei、だがそのシェアのほとんどは米国外だ。本拠地の中国、日本を含むアジア、欧州などが同社スマートフォンの主要市場となっている。
同時期、米国最大手のキャリアであるVerizon Wirelessのキャリアショップを訪問したが、Apple、Samsung、LG、Motorolaなどのロゴは見えても、Huaweiはない。ショップのマネージャーに「Huaweiのスマートフォンは?」と聞いても、「その名前は聞いたことがないなあ」という答えが返ってくる。米国の多くの人にとってHuaweiを知らないし、読み方もわからない状態なのだ。
だからこそ、Yu氏のスピーチは、計画通りに進めばHuaweiにとって重要なスタートとなるはずだった。
すでにネットワークインフラではずっと厳しい対応に
Huaweiは米国の戦略を慎重に進めてきた。というのも、主力のネットワークインフラ機器では2012年に米上院に「国家保安の懸念があり、機器やサービスの調達を推奨しない」という勧告が米国キャリアに向けて出されている。
最大の理由は、Huaweiの創業者であるRen Zhengfei氏が以前に中国の人民解放軍に属していたからというもので、中国政府との関与があるという憶測につながった。Huaweiは「懸念が正しいことを実証する情報や証拠がない」とするコメントを出し、米国市場で積極的に通信機器事業を展開していない(それでも米国のキャリアのいくつかはHuaweiの機器を導入しているようだが)。
2014年にはHuaweiは米国政府の契約に入札することが禁じられている。
このような状況が土台にあり、Huaweiのデバイス事業は最初から米国市場で積極展開してこなかった。そして10%を上回るシェアとともに世界3位のポジションを確固たるものにした後、米国に入るにあたってHuaweiはキャリアとの提携を試みた。そしてAT&TとともにHUAWEI Mate 10 Proを売り込むことができると思ったが。
CESの直前にAT&TはHuaweiとのデバイスの契約を撤回したと報じられている。Wall Street Journalらによると、AT&Tに対して政治的なプレッシャーがあったようだ。そしてVerizonについても同じことが起こったようだ。
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