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3領域の「EcoStruxure」ソリューション提案など、国内市場での注力事業を説明

シュナイダー日本新代表「デジタル化で日本企業の課題解決を」

2018年02月14日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 シュナイダーエレクトリックは2018年2月13日、新たに日本法人代表に就任した白幡晶彦氏が出席する事業戦略説明会を開催した。日本企業の抱える課題とシュナイダーが果たす役割、さらに「EcoStruxture」などのソリューション群を紹介。加えて、世界各地域で開催している同社のプライベートイベント「Innovation Summit」を、今年5月に東京で開催することも発表している。

シュナイダーエレクトリックが日本市場で目指すこと

シュナイダーエレクトリック 日本統括代表の白幡晶彦氏。今年1月から、関連会社や合弁事業を含む日本市場のシュナイダー全事業を管轄している

 白幡氏は、日商岩井やゼネラルエレクトリック(GE)を経て2013年にシュナイダーに入社。エコビジネス部門のアジア太平洋地区統括VP、スマートスペース事業部グローバルコマーシャル統括VP、富士電機とシュナイダーの合弁会社である富士電機機器制御の副社長を歴任し、今年1月から日本統括代表を務めている。

 昨年秋に開催された「Innovation Summit 2017」で同社 会長兼CEOのジャン-パスカル・トリコワ氏が語っていたように、シュナイダーがグローバルで取り組む課題は、顧客企業におけるエネルギーマネジメントとオートメーションのデジタル化(デジタルトランスフォーメーション、DX)を通じた「エネルギー利用の効率化」だ。

 白幡氏は、こうしたシュナイダーのビジョンを紹介したのちに、特に日本市場において同社の顧客企業が抱える課題と、その課題解決を支援するシュナイダーのソリューション群を紹介した。具体的に指摘した「課題」とは、「高齢化」「システム全体の統合管理」「グローバルへの対応」という3点だ。

 これまで属人的な“技”が支えてきた日本企業の現場は、現場社員の「高齢化」と技術/ノウハウ伝承の困難さによって、安全な運用や品の高いメンテナンスなどが実現できなくなっている。加えて、そうした属人性が各現場の個別最適化を進めてしまっており、ファシリティの全体最適化を阻んでしまっている。また、グローバル進出を果たすためにの、グローバル標準への対応も求められている。

日本市場の顧客企業が抱える「3つの課題」

 この部分にデジタル技術を適用し、デジタルトランスフォーメーションを図ることで、日本企業の強みを生かしつつ自動化と効率化を可能にし、たとえば技術継承のような課題を解決できるのではないか、というのが白幡氏の考えだ。具体的に課題を解決した顧客事例として、アット東京、カリモク家具などが紹介された。

カリモク家具では、経験豊富な熟練工が減ったことで生産ラインのダウンタイムが増加していた。設備保守に「シュナイダーARアドバイザー」を導入することで、保全員のスキルに頼らず故障対応可能にし、ダウンタイム削減も実現した

 データセンターや製造現場のデジタルトランスフォーメーションを加速させるために、シュナイダーが提案しているのがIoTプラットフォームの「EcoStruxure(エコストラクチャー)」だ。日本市場では特に、データセンター向けの「EcoStruxure IT」、スマートファクトリーを実現する「EcoStruxure Machine」、安全で効率的な運用を可能にする「EcoStruxure Plant」という3つの業界特化ソリューションに注力していくとした。

特にデータセンター/スマートファクトリー/プラントの3領域で「EcoStruxure」提案を進めていく

 またEcoStruxureは、ネットワーク接続に対応した製品(デバイス)群、エッジコントロール製品、データアナリティクスなどのアプリケーション/サービス群の3層で構成される。デバイスからの膨大なデータに基づき、エッジコントロール層でオペレーションを自動化すると同時に、アナリティクスアプリケーションを通じてビジネス視点での状況把握やデータ活用を可能にする。白幡氏は、EcoStruxureによる顧客現場のデジタル化が「新たな価値をもたらす」と語った。

 「接続性、持続性、効率性、信頼性、安全性。こうしたものを実現する機器は、従来からずっと提供してきた。ただし、EcoStruxureやデジタルトランスフォーメーションによって、できることが格段に広がる。たとえば、従来はシングルサイト(単一の拠点)でしか最適化や自動化ができなかったものが、世界中のマルチサイトをつないでできるようになる。『高齢化』の文脈で言えば、熟練のエキスパートが、他拠点の情報をモニタリングしながら問題解決に当たり、他拠点と“知の共有”ができる。それがデジタルトランスフォーメーションによる価値だ」(白幡氏)

EcoStruxureや顧客現場のデジタル化を通じて実現する価値

 白幡氏は、これまで培ってきた製品ビジネスの「強み」をバックボーンとして、EcoStruxureのようなソリューション提案を強化していく方針を語った。各事業部門では、大手顧客を中心にデジタル化とソリューション提案を行う専門組織を設けると同時に、従来からの製品営業部門においても少しずつEcoStruxureやIoTソリューションの提案を進めていくという。

 なお同日には「Innovation Summit Tokyo 2018」の開催が発表された(5月18日、ウェスティンホテル東京)。EcoStruxure Machine/Plant/ITの各ショーケース展示や講演が行われる。

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