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若手エンジニアが成長できる組織とは? 開発の属人化は悪なのか?

クックパッド・はてな・さくらが語った「エンジニア組織」の作り方

2018年01月09日 12時30分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 ドッグイヤーのIT業界で企業が技術の進化に追従してビジネスをするためには、エンジニアが成長できる組織作りが欠かせない。ひと言で成長といっても、エンジニアのキャリアパスは多様化している。エンジニア組織の在り方は各社試行錯誤だ。本稿では、2017年12月15日に福岡市のFukuoka Growth Nextで開催されたイベント「エンジニア大忘年会@福岡」でクックパッド、はてな、さくらインターネットの3社が語ったエンジニア組織の作り方を紹介する。

新卒に新規事業の立ち上げ一任:クックバッド

クックパッド 執行役 CTOの成田一生氏

 月間ユーザー数約6000万人のレシピサイト「クックパッド」を運営するクックパッドは、現在、レシピ動画の投稿・配信サービス「CookPad TV」や、料理を教えたい人と習いたい人をマッチングする「クックパッド料理教室」など、新規事業を次々に立ち上げている。それに伴い、社内エンジニアの増員を急ピッチで進めており、「創業当初の1998年には1人、2010年には16人だったエンジニア数が、2017年には国内だけで100人まで増えた」とクックパッド 執行役 CTOの成田一生氏は言う。

 100人のエンジニアは新卒1~2年目が中心で、2017年春に新卒入社した新人が20人ほどいる。このような若手エンジニアが多い組織の最重要課題は「教育」だ。成田氏は、同社の教育方針は「研修をするのではなく“成長の機会”を与えること」であり、「人は、“やるべきこと・やりたいこと・得意なこと”の3つの輪が重なった分野で一番成長する」と述べた。同社では、この3つの輪を各自に設定してもらい、3つの輪が重なった分野で大小さまざまなチャレンジができる機会を用意している。

クックパッドのエンジニア数は急増中

 成田氏によれば、同社が新人に用意する“成長の機会”は、「練習中の自転車からそっと手を放すスタイルの優しいものから、ライオンが子を谷底に落とすような厳しいものまで、強弱はいろいろ」だ。例えば、海外カンファレンスへの参加、社内でのエンジニア横断イベントやハッカソンといった比較的優しいものから、語学力のレベルに関わらず海外オフィスに放り込まれる「プログレス制度」、外部の大型イベントに登壇する機会、新卒時からマネジメントを経験する機会、新規事業立ち上げのすべてを若手チームが担当する機会などを設けている。

 実際に、食品スーパーの売り場で販促動画を流す新規事業は、新卒1年目のエンジニアが、サーバーサイドの開発から、端末を店頭に設置するための枠の発注まで担当した。また、同社はレシピ動画投稿・配信サービスの開始に合わせて、個人が料理中の動画を撮影・編集できる専用スタジオを12月にオープンした。この撮影スタジオの企画も、成長の機会として新卒エンジニアに任されたという。

 もう1つ、同社がエンジニアの成長のために推奨しているのは「ロールを飛び越える」仕事のやり方であり、エンジニアの行動指針に「Beyond the Boundaries」を掲げている。「iOS/AndroidエンジニアがAPIを書いたり、ディレクターがSQLを学んでチームに教えたり、デザイナーがプログラムを書いたり。法務部門がIoTを開発していたりもする」と成田氏。

 エンジニアが専門や組織を飛び越えた働き方をすることで、組織が大きくなってもお互いを理解し合える。エンジニア以外にも技術の理解が広まる。全社にエンジニアを理解する土壌があってこそ、若手エンジニアが挑戦できる環境がつくられる。

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