JOLEDは12月5日、印刷方式の有機ELパネルを世界で初めて製品化し、出荷を開始したと発表した。
出荷を開始したのは、21.6型の4Kパネル。1.3mmという薄さで、重量は500gとなる。医療モニター用として使われる予定だ。
同社はソニーとパナソニックの有機ELパネル開発部門を統合する形で2015年1月に設立。RGB印刷方式の有機ELパネル開発を行なってきたが、2016年にジャパンディスプレイ 石川工場の一角にパイロットラインを構築。今年4月にはサンプルパネルの出荷を行なっていた。
さまざまなサイズのパネルが作れる
印刷方式のメリット
印刷方式のメリットは、さまざまなサイズのパネルを同一のプロセスで製造できること。現在、有機ELは蒸着方式が主流だが、製造方式の問題で中型のパネルを作るのが難しくなっている。
小型モニターはFMM-RGBと呼ばれる、R、G、Bそれぞれの色をマスクしながら蒸着する方式を採用しており、大きな基板のパネルを作るのが難しい。
一方、大型モニターはいったんRGBの有機ELを蒸着させて白色を作り、その上にカラーフィルターを貼って色を発光させる方式を採用するが、小型のパネルは作りにくく、また発光効率もあまりよくない。
印刷方式ならマスクを使用することなく、非真空空間でも生産できるため、基板のサイズに制限がなく、有機EL素材を積層するわけでもないので発光効率も高く、さらなる高精細化についても構造上の技術的制約が発生しにくい。
現在、有機ELはスマートフォンなどの小画面、テレビなどの大画面で製品化されているが、中型は少ない。そこでJOLEDは、この中型の領域に的を絞って開発を行なってきた。