三菱電機、オムロン、アドバンテック、NEC、日本IBM、日本オラクルが業界団体設立
IoTエッジでFA/IT連携目指す「Edgecrossコンソーシアム」発表
2017年11月07日 07時00分更新
11月6日、製造業FAシステムとITシステムのシームレスな連携を実現し、エッジコンピューティングにおける多様なアプリケーションの発展を目指す業界団体「Edgecross(エッジクロス)コンソーシアム」が設立に向けた発表を行った。NEC、日本IBM、日本オラクル、オムロン、三菱電機、アドバンテックの6社が幹事社として参画し、システム間の相互連携を可能にするエッジ基本ソフトウェア「Edgecross」の仕様策定や販売、対応製品認証、他団体との連携などを行っていく。
同コンソーシアムでは、会員企業どうしが協調し、FAとITの協調を実現するオープンな日本発のエッジコンピューティング領域のソフトウェアプラットフォーム「Edgecross」の仕様策定や普及推進を図っていく。発表時点での賛同企業は上述した幹事6社を含む51社で、FAとITの両業界から参加が見込まれている。さらに、将来的には製造業のみならずさまざまな産業への適用拡大も目指す方針。コンソーシアムの設立予定日は11月29日。
発表会では、Edgecrossコンソーシアムの顧問を務める東京大学名誉教授の木村文彦氏が登壇し、同コンソーシアムやEdgecrossのコンセプトを説明した。
製造業分野では、価値の高いバリューチェーン(サプライチェーン、エンジニアリングチェーン)創出のためにIoT活用が加速しており、そこにおいては特にリアルタイム性の高いエッジコンピューティングの実現が鍵を握っている。しかし、歴史的に製造現場のFAシステムとITシステムは個別に進化を遂げてきたため、両者をシームレスにつなぐにはインタフェースの差異を吸収し、仲介するデータハブが必要となる。そうしたFA/ITの“仲介役”となるソフトウェアプラットフォームがEdgecrossであり、FA/IT双方の企業が協調してその基本ソフト開発や普及発展を目指すのがEdgecrossコンソーシアムだ。
具体的には、双方の世界で標準的なデータ交換仕様(CSV、MQTT、OPC、SQLなど)に対応したデータハブとすることで、既存のシステム/デバイス群も含め、オープンに連携できるプラットフォームを目指す。また単なるデータ変換だけでなく、エッジにおけるリアルタイムなデータ処理、階層化/抽象化に対応したデータモデル管理、エッジアプリケーションの開発基盤などを、さまざまなメーカーの産業用PC上で提供できる基本ソフトを目指すという。
「これを実現するためにはFA、IT双方の知識が必要となり、企業が単独で構築していくには限界がある。企業や産業の枠を越えた協力と協働が必要」(木村氏)
また、幹事社自身も含め、すでにFA/ITベンダー各社は多様なエッジコンピューティングソリューションを提供し始めている。Edgecrossではオープン性を重視し、こうしたベンダーやシステムとも協調していく方針を示した。
「Edgecrossの特徴は大きく3点あると考えている。誰でもアプリケーションが開発でき、ハードウェアにも依存しない『オープン性』、あらゆる機械設備、あらゆるバリューチェーンと接続できる『適用領域の広さ』、また『エッジコンピューティングのみで動作できること』も挙げられる」(Edgecross設立準備委員会 南澤一成氏)
なお、発表においては「日本発の」プラットフォームという言葉が繰り返されたが、たとえば「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」やIndustrial Internet Consortium、OpenFog Consortiumなど、グローバルな団体や標準仕様とも協調を図り、Edgecrossの仕様を作り上げていきたいと述べている。
Edgecrossソフトウェアは、2018年春の販売開始予定。その価格については「今後、幹事社で検討していく」(同準備委員会)。また販売方法については、オンラインのマーケットプレイスなどでの販売を考えていることが説明された。