Core i7-8700Kは6コア12スレッドという強力なCPUではあるが、性能も高くなれば、消費電力や発熱も大きくなる。いくら水冷クーラーだとはいえ、6コアに強化されたCore i7をしっかりと安全な温度まで冷やせるのか気になるところだ。また、冷却性能を高めるにはケース内のエアフローも重要となってくる。
今回は、水冷クーラーがどこまでCPUを冷やせるのか、BTOパソコンで気になるケース内の状況はどうなのかについて、サイコムのゲーミングパソコン「G-Master Hydro Z370」の真の姿をチェックしていこう。
最大でも72度までしか上がらない!
水冷クーラーの高い実力に驚き
Core i7-8700Kは、マルチスレッド性能を調べられる「CINEBENCH R15」のスコアーで1426cb。Core i7-7700Kと比べると約1.46倍に性能がアップしているというのは前回触れたが、これだけの性能が上がっているだけに、CPUの温度がどこまで上昇しているのかが気になる。そこで、「HWiNFO」を使ってCPU温度の変化を記録し、グラフにしてみた。
コア数が多いため、CINEBENCH R15の実行時間が短く、30秒ほどしか負荷がかけられなかったが、結果は最大でも72度。一般的にCPUが耐えられる最高温度は100度くらいで、常用するなら80度以下に抑えておくと安心なのだが、この目安を余裕でクリアしている。
また負荷がなくなった直後には、負荷がかかる前と同じ40度前後にすぐに戻っているのもポイント。冷却性能が低いとこの戻りが遅くなり、連続した負荷で温度が上昇しやすくなるからだ。ラジエーターが120mmとコンパクトな簡易水冷だが、その実力はしっかりしているのがよくわかる。
ここで気になるのが、長時間負荷をかけた場合にどうなるのかという点。そこで、「CPU-Z」のストレステスト機能を使い、通常の利用ではまずありえない高負荷を約15分ほどかけてみた。この15分後の温度を、HWiNFOで読み取った結果が次の通りだ。
CPUにとってかなり厳しいテストとなるのだが、この場合でも最大温度は72度。15分とそれほど長くない負荷だが、これ以上温度が上がる気配はなく、安定しているのがわかるだろう。もちろん騒音は耳を近づけなければわからないほど小さいので、空冷のような轟音に悩まされる心配もない。
冷却性能と静音性を備えたケース「Define R5」を採用
丁寧な内部の組み立てで満足度も高い!
BTOパソコンは、既存パーツを組み立てただけだと思われがちだが、実はメーカーによって多数の工夫が凝らされている。例えばG-Master Hydro Z370にはFractal Designの「Define R5」というケースが使われているが、天板にある金属フィルターはサイコムのオリジナル製品だ。これがなくても性能面ではなにも変わらないのだが、ないとメッシュが荒いためホコリがゴミが入りやすく、故障の原因ともなりかねない。また、内部が透けて見えなくなるため、より外見がスッキリとカッコよくなるというメリットもある。
ちなみにDefine R5は静音性を重視しているケースで、例えばフロントカバーの内側には吸音材が貼られており、正面への騒音を可能な限りカットしてある。もちろんフロントの吸気には大型ファンを搭載し、冷たい外気を効率よく取り入れられるようになっているのはいうまでもない。
なお、吸音材はフロントカバーだけでなく、左右のサイドパネルにも貼られているので、ケース全体が静音仕様となっている。
続いてケースの中を見てみよう。CPUだけでなくGPUも水冷化されているため、太いパイプが目立つが、ケーブル類は驚くほど少ない。裏面配線を多用し、ケース内がスッキリし、エアフローが改善している。結果、フロントから取り入れた冷たい外気をスムーズにラジエーターの冷却へと送れ、そのまま熱を外部へ放出できている。
また、ケースの内部までホワイトで統一されているため、パーツやケーブル類のブラックが映え、単純に見た目もカッコよくなっている。カラフルなケーブルを使わないあたりも、サイコムのこだわりが見える部分だ。
せっかく性能が高いCore i7-8700K搭載パソコンを買うのであれば、CPUやGPUといった主要パーツの性能はもちろんだが、水冷クーラーを使った高冷却&静音性、そして外部はもちろん内部の見た目にまでトコトンこだわりたい。パーツの選定から組み立てまでこだわりのあるG-Master Hydro Z370なら、きっと満足のいく1台となるだろう。