提携を発表したAutomation Anywheereのエンタープライズ向けRPA製品を投入
人とボットの共存を目指すIBM、BPMとRPAを組み合わせる
2017年10月20日 16時30分更新
10月20日、日本IBMは業務の自動化に貢献するRPA(Robotic Process Automation)製品「IBM Robotic Process Automation with Automation Anywhere」の発売を開始した。同社が長らく手がけてきたBPM(Business Process Management)とRPMを組み合わせることで、人とボットが共存した業務プロセス全体の改善を実現するという。
エンタープライズ向けのボット管理を充実RPA
「IBM Robotic Process Automation with Automation Anywhere(以下、IBM RPA)」は、文字通り2017年7月に発表したAutomation Anywhereとの協業によって実現した製品で、業務における反復的な定型作業を自動化するいわゆるRPAを実現する。
RPA導入の背景は労働人口の減少が挙げられる。日本では労働人口が32年ぶりに8000万人を割り込み、2060年には4418万人まで減少していく見込みとなっている(総務省調べ)。日本IBM 理事 クラウド事業本部 クラウドソフトウェア事業本部 望月敬介氏は、「最近のお客様の事業計画には、必ず『働き手をどうするか』という課題が入ってきている」ということで、深刻な問題として認知されるようになった。
こうした人手不足や働き方改革における働き手として期待されているのがRPA。2018年度には2016年度の5倍強となる44億円の市場になるという調査も出ている。大量で繰り返しの多い作業、手作業が多い作業の自動化に向いており、人的ミスとを削減するとともに、開発コストも安く抑えられるという。
今回投入されたIBM RPAに含まれるAutomation Anywhere Enterpriseの特徴は、「すべてのボットの稼働状況やスケジュールを集中管理をできる」「画面操作を操作するだけで簡単にボットが作れる」「グローバルで700社以上の実績がある」などが挙げられる。具体的には「Bot Creators」を使い、デスクトップ上の操作を記録したり、数100におよぶコマンドで直接マニュアルを作成することで、ソフトウェアロボット(ボット)を容易に作ることができる。また、ボットやユーザーを「Control Room」で管理できるほか、「Bot Runner」業務端末上でボットを実行することも可能だ。総じて、大量のボットが動作するエンタープライズに向けた管理機能で高い評価を得ているという。
BPMとの組み合わせで人とボットが共存できる業務改善を実現
今回のIBMの発表のポイントは、同社がこれまで手がけてきた業務改善のためのBPM(Business Process Management)とRPAを組み合わせるという点だ。望月氏は、「現行の業務をそのままRPAにしても、かえって煩雑化し、失敗してしまう。BPMで業務プロセス自体を見直した上で、RPAを当てはめることが成功につながる」と語る。Automation AnywhereのRPA製品にワークフローや業務モニタリング、ダッシュボードなどを提供する「BPM Express」をバンドルし、顧客に最適なBPMとRPAソリューションを提供するという。
望月氏は、業務改革/自動化に向けたIBMソリューションとして、IBM BPMを「中枢神経」と位置づけ、それと連携するRPAが「手」、文書やデータを収集するECM(Enterprise Contents Management)がIBM Datacapを「目」の役割を果たすと説明する。一方で、ビジネスルールを司る「IBM Operational Decision Manager」を「左脳」、そしてコグニティブサービスの「IBM Watson」を「右脳」に例え、トータルで最適な業務プロセスの改善が可能になるとした。
もともとBPMは「人減らし」というネガティブなイメージがあり、グローバルに比べて、日本ではあまり受けがよくなかった。しかし、人手不足が顕著になっている現在、BPMにも注目が集まるようになり、RPAと組み合わせることで、さらなる業務プロセスの改善が見込めるという。こうしたトータルソリューションを提供する意義について、望月氏は、「RPAを導入したお客様から、RPAを業務全体の流れの中で使いたい、スクリプトが増えてしまったので、管理したいという声が上がってきた。業務の最適化なしにRPA単体で使っても無理がある。エンドツーエンドのソリューションがあって、初めてお客様の価値となる」とアピール。ボットが障害を起こした場合、自動的に人がフォローするといったビジネスフローを構築することで、人とボットが共存した業務全体の効率化を実現するという。