工程を立てて、毎日の作業内容と作業量を決めたのに、終わってみれば未完成のリストが残っただけ。あの時間はどこにいったのかと途方に暮れる。よくある話です。
この記事では、仕事の生産性を向上させるツールを「タイムマネジメント」「チェックリスト」「スケジューラー」「プロジェクトマネジメント」の4つのカテゴリーに分けて紹介します。それぞれ異なる問題を解決します。
タイムマネジメント
1日を「走り抜け」なければ、時間はあなたを走り抜けていきます。仕事をコントロールする方法に、生産活動の全工程のトレースがあります。大変そうに聞こえますが、少しの規律と適切なツールがあれば難しいことではありません。
TMetric Time Tracker
- ベーシックバージョン:無料
- プロフェッショナルバージョン:1ユーザーあたり4ドル/月
- ビジネスバージョン:1ユーザーあたり6ドル/月
TMetricは作業時間を管理するためのシンプルで強力なWebベースのアプリです。インターフェイスのデザインが魅力的です。タスクを追加し、期間を指定して、Startを押せばトラッキング開始です。
TMetricの階層構造は単純です。タスクはプロジェクトの下に位置し、プロジェクトはクライアントの下に位置します。各カテゴリーを独立してトラッキングするので、どこにどれだけの時間を費やしたか正確に分かります。
アプリのWorkday Timeline機能は、時間の費やし方をスナップショット形式で素早く確認できます。また、チームのほかのメンバーとTeam View機能を使うと、各メンバーの時間の費やし方を確認できます。アプリは費やした時間と各プロジェクトの収益の詳細をレポートします。ビジネスオーナーは仕事の種別ごとレートを設定し、従業員の給与を簡単に計算できます。
TMetricは、請求可能な時間(billable time)と請求不可能な時間(non-billable time)を分けて管理するのが簡単です。経費や収入の把握が捗ります。タグ機能でタスクやプロジェクトを整理できます。
TMetricはTrello、Asana、Jira、Todoistといった人気の高いプロジェクト管理ソフトウェアと容易に統合できるため、完結したソリューションとしてシームレスに利用できます。
ManicTime
- ベーシックバージョン:無料
- プロフェッショナルバージョン:1ライセンスあたり67ドル/年
ManicTimeはほかのWebベースのアプリとは異なりダウンロードするプログラムです。あらゆる行動をバックグラウンドで記録し、開いたプログラム、扱ったファイル、それらに費やした時間がわかります。
ManicTimeは作業時間にタグをつけて、タイムカードを簡単に作成できます。Webサイトへのログインは不要です。開始ボタンのクリックや作業終了時の停止ボタンクリックという面倒な操作を自動で記録します。
Timely
- エッセンシャルバージョン:1ユーザーあたり14ドル/月
- カンパニーバージョン:1ユーザーあたり21ドル/月
- エンタープライズバージョン:1ユーザーあたり49ドル/月
Timelyは見た目が印象的なアプリです。かんばんに似たインターフェイスで、ブロック(タスクが格納されているもの)をカレンダーにドラッグ&ドロップすることで、1日の作業を網羅したスナップショットを作成できます。
レポートはTimelyの持つ機能の中でも特にすばらしく、どう時間を過ごしたかを日、週、月単位で確認できます。実際にプロジェクトに費やした時間を、当初見積もった時間と比較できるのも便利な機能です。
請求可能なプロジェクトか請求不可能なプロジェクトかを設定できます(たとえ重要でも収入につながらないタスクは存在します)。プロジェクトに1時間あたりのレートを割り当てたり、定額をセットアップしたりすることで費やした時間あたりに生み出した金額を算出できます。
視覚的なアプリケーションには色分けも重要です。Timelyでは、自由に色を設定してタスクを区分できます。
チェックリスト
付箋や日記を使ったり、小さなノートを持ち歩いたりすることにうんざりしているなら、チェックリストアプリがおすすめです。チェックリストアプリにタスクを覚えさせて、いますべきことに集中できます。個人的には、以下の3つのチェックリストアプリが優れていると思います。
Wunderlist
- ベーシックバージョン:無料
- プロバージョン:4.99ドル
- ビジネスバージョン:1ユーザーあたり4.99ドル
Wunderlistは有名なチェックリストアプリです。評判が良かったことからマイクロソフトが2億ドルで買収しました。Wunderlistはシンプルで軽量です。to-doリストを簡単に作成でき、フォローアップ(定期リマインダー)も整っています。有限な定期的なタスクもサポートし、ほかのユーザーとの共同利用も可能です。
クロスプラットホーム対応で、さまざまなデバイスから利用できます。急にタスクをリストに追加したいとき、スマホで登録できるのは重要です。タスクの監視が簡単で、期限切れのタスクが一目で分かります。
Todoist
- ベーシックバージョン:無料
- プレミアムバージョン:29ドル/年
- ビジネスバージョン:1ユーザーあたり29ドル/年
Todoistのチームは標準的なメールクライアントのインターフェイスと同様のデザインを採用してチェックリストアプリを作成しました。そのため、Todoistの操作はすぐに習得できます。Todoistのインターフェイスは必要最小限の作りになっているため、タスクが素早く追加でき、またタスクの変更も簡単です。
アプリだけでなく、Gmail、Thunderbird、Outlookのブラウザープラグインを使いメールを送ることでタスクを追加できます。Wunderlistと同様、Todoistもマルチプラットホームに対応しており、どのデバイスからでも利用可能です。
さらに、「水曜日午前11時」や「毎週金曜日午後4時」といった日付けとともに文章を入力するだけでタスクを追加できるすばらしい機能があります。
Todoistは私の知るかぎり唯一の、生産性をゲーム化しているチェックリストアプリです。タスクを完了させると「カルマ」ポイントが与えられ、カルマをためて同僚とパフォーマンスを比較する使い方もできます。
Remember the Milk
- ベーシックバージョン:無料
- プロバージョン:39.99ドル/年
口当たりの良さそうな名前に騙されないでください。良く考え抜かれたチェックリストアプリです。Remember the Milk(人気があるため、RTMと呼ばれることも)はチェックリストアプリの先駆けとなったアプリ1つで、数多くの機能を備えています。
当初から、自然言語によるタスクエントリを使用してきました。たとえば「水曜日の午前9時にトムにメールを送る」と入力すれば、内容がto-doリストに追加されます。
RTMの開発者たちは、本当の問題はタスクを追加することではなく、しかるべきときにユーザーにタスクを思い出させることであると理解していました。そこで、考え得るあらゆるアラート方法(モバイル、デスクトップ、SMS、Skype、AIM、Google、Hangout、Twitterなどへのプッシュ通知)を実装しました。
プロバージョンはサブタスク、スマートタスクリスト、タグといったコラボレーションツールを完備しています。
スケジューラー
タイムマネジメントアプリとチェックリストアプリはタスクを細かく管理するのには向いていますが、全体を把握するためには別のツールが必要です。朝9時のミーティングで、今後の見通しが良いのか悪いのかの判断に困った経験があるなら、スケジューリングアプリが最高のアシスタントになるでしょう。以下のツールを検討してください。
Calendly
- ベーシックバージョン:無料
- プレミアムバージョン:1ユーザーあたり8ドル/月
- プロフェッショナルバージョン:1ユーザーあたり12ドル/月
Calendlyはシンプルさと美しさが売りのスケジューリングツールで、アポイントメントを管理するのに最適です。ユーザーはさまざまなツールを利用しますが、その多くが独自のスケジュール機能を持っているため、ダブルブッキングにつながります。Calendlyの製作者はこの問題をよく認識して、Google、Office365、Outlookなどのよく使われるアプリと統合可能にしました。すべてのタスクを1つのカレンダーに追加して、ダブルブッキングなどのエラーをチェック、訂正します。
Calendlyはすべてのデバイスで利用できます。また、打ち合わせが突然発生したときのためにバッファ時間の設定も可能で、カンファレンスやウェビナー、ワークショップに出席する複数の参加者を1つのタイムスロットに追加できます。便利なだけでなく、ユーザーインターフェイスはシンプルで直観的に操作できます。
Google Calendar
- 使用:無料
十分に試験されたツールが好みなら、Google Calendarで間違いありません。Gmailを使っているなら、Googleの無料カレンダーアプリも利用できます。Web開発者に想定されるタスクのほとんどをカバーできる機能を備えています。
シンプルで直観的に操作でき、タスクやイベントを簡単に追加できます。G Suite Businessを利用している場合、メール文章中のイベントを自動的にカレンダーに追加するMessages機能を利用できます。
複数のカレンダーを作成することで、異なる種類のタスクに対応できます。仕事用に1つ、自宅用に1つ、休日用に1つ、趣味用に1つカレンダーを作り管理できるのです。タスクはすべてログイン後のメインインターフェイスに表示されます。画面左側にあるMy Calendarsタブをクリックすることで個別に確認できます。追加したい人の名前/メールアドレスを「Other Calendar」の下に入力することで、その人のカレンダーをリストに追加し、同僚とカレンダーの共有もできます。
Google Calendarには優秀なリマインダーが備わっており、PC、ノートPC、モバイルデバイスに通知が届きます。リマインダーには1回限り、繰り返しがあります。
Doodle
- ベーシックバージョン:無料
- プライベート:1ユーザーあたり39ドル/年
- ビジネス:1ユーザーあたり69ドル/年
前述の2つのアプリはどのようなタスクにも利用できますが、Doodleはミーティングとイベントの予定を組むことに特化しています。いま必要ない機能は邪魔でしかない、という哲学に基づいて作られ、成功しています。ミーティング、アポイントメント、タスクをとても簡単に計画、確認できます。
Doodleの仕組みはほかのカレンダーアプリとは少し異なります。ユーザーはアポイントメントやタスクの関係者全員を対象とした投票を作ります。作った投票を関係者に送り、もっとも投票の多かった時間をカレンダーに追加します。ほかのカレンダーと統合することで、すべてのタスクを整理し単純化できます。
PrivateとBusinessのユーザーはSSLで暗号化されたDoodle.comに自分のサブドメインをセットアップできます。送信する投票はカスタマイズでき、リマインダーも自動送信できます。
プロジェクトマネジメント
複数のチームが参加する大規模プロジェクトを管理しているパワーユーザーにとっては、シンプルなアプリでは物足りないかもしれません。以下のプロジェクトマネジメント専用ツールをおすすめします。
Trello
- ベーシックバージョン:無料
- ビジネスバージョン:1ユーザーあたり9.99ドル/月
- エンタープライズバージョン:1ユーザーあたり20.83ドル/月
Trelloはかんばんを用いた視覚的なプロジェクトマネジメントツールで、仕事の道筋を立て、作業効率を上げるのに役立ちます。オフィスにあるホワイトボードのような馴染みのあるインターフェイスで、カードをドラッグ&ドロップしてボードに設置することで、タスクを追加します。
シンプルな階層構造でタスクを管理します。カードはもっとも基本的な単位で、タスクの詳細を書きます。リストは特定のテーマやワークフローに沿ってカードを集めたものです。ボードはプロジェクトのワークスペースで、複数のリストを格納できます。
ボードに招待できる人数に制限はありません。チームのメンバーをカードにドラッグ&ドロップすれば、変更のたびに通知が届きます。
TrelloはDropbox、Evernote、Google Driveなどのさまざまなサードパーティ製アプリと簡単に統合できます。
Asana
- ベーシックバージョン:無料
- プレミアムバージョン:9.99ドル/月
- エンタープライズバージョン:問い合わせが必要
Asanaは人気の高いプロジェクトマネジメントツールの1つで、Facebookの開発に携わったDustin Moskovitz氏とJustin Rosenstein氏が開発しました。大規模なプロジェクトを管理することに特化して設計されており、シームレスな共同作業や直感的な組織管理のための機能が搭載されています。
3つの階層に分かれ、一番下の階層にはタスク(次のto-do)があります。タスクは各作業者に割り当てられ、コメントやメモを追加できるほか、サブタスクの作成もできます。プロジェクトはタスクの一覧で、to-doリストの役割です。プロジェクトのもとでタスクを管理したり優先順位をつけたりします。ワークスペースはTrelloのボードに似ていて、プロジェクトを管理します。
チームのメンバー全員がダッシュボードを通して簡単にプロジェクトの進捗を確認できます。すべてのタスクとサブタスクはほかのチームのメンバーにも割り当て可能です。
最後に
紹介したアプリはすべて自由に利用できるすばらしいツールですが、持っているだけで生産性の問題を解決できるわけではありません。タスクをチェックリストに追加したからといって、そのタスクを完了できる保証はありません。
アプリを活用する一番良い方法は、強みを生かすための戦略の一貫としてアプリを取り入れることです。本記事で紹介したツールを使えばみなさんの弱点を克服し、目の前に障害がない状態を実現できます。すべて無料なので、実際に使ってみて仕事スタイルに合ったものを見つけてください。
(原文:11 Productivity Tools to Help Web Developers Beat Deadlines)
[翻訳:薮田佳佑/編集:Livit]