Ryzen 7搭載「G-Master Spear X370A-DTN-STR」なら高画質配信も余裕でこなせる
8コアCPU搭載PCの実力!ゲーム実況に本当に強いのか大検証
2017年10月12日 19時00分更新
今年のデスクトップCPU競争はかなり激しい。ザックリと流れを解説すると、まず、Intelが1月に最高4コアCPUとなる“Kaby Lake-S”(第7世代Core)を投入。これは省電力化や動作クロックの上昇、内蔵GPUの4K HDR対応といったものがメインの強化ポイントで、従来からの最大4コア8スレッドCPUとして正統な進化となっていた。最上位モデルは「Core i7-7700K」で、ゲーミングPCを中心に、今でもハイスペックPCのベースともいえるCPUとなっている。
これに対してAMDが3月に投入したのが、新しい“Zen”アーキテクチャを採用した「Ryzen」シリーズだ。動作クロック当たりの性能ではIntelのCPUに勝てないものの、その溝を最大8コア16スレッドというコア数の多さでカバー。Intelの第7世代Coreを軽く超え、サーバー向けCPUに肩を並べるほどの高性能を叩きだしてしまった。最上位モデルは「Ryzen 7 1800X」で、ゲームだけでなくCPUパワーがものをいう動画・画像編集といった用途からも注目されたわけだ。
Intelが、これに指をくわえて黙っているわけがなく、5月には「Core X」シリーズを発表。最上位モデルは「Core i9-7980XE」で、18コア36スレッドという化け物クラスといっていいCPUを投入してきた。もちろんAMDにも次の手が用意されており、それが9月に発表された「Threadripper」シリーズ。最上位モデルは「Ryzen Threadripper 1950X」で、16コア32スレッドと、こちらもCore Xシリーズに負けず劣らず超ド級のCPUとなっている。
この流れを見てもらえればわかる通り、今年の頭から続くIntelとAMDの殴り合いは、ここ数年どころか10年内でも見たことがないほど激しいものだ。そして、高性能CPUでは多コア化がキーとなっているのがわかるだろう。
とはいえ、普通にPCを使うだけならこれほどの高性能は必要ないし、高性能PCが欲しいといわれるゲーム用途であっても、4コアの「Core i7-7700K」で十分というのは周知の事実。いくらCPUが速くても、それだけの性能を使い切れるようなゲームが存在しないからだ。では、多コアCPUは意味がないのかといえば……実はそうでもない。
ゲーム用途でも多コアCPUが活躍するのが、実況配信だ!
多コアCPUが強いのは、動画エンコードやCGのレンダリングなど、作業をある程度分割して処理できる用途。裏を返せば、分割できない用途では多コアを活かすことができず、性能が上がらないわけだ。
ゲームをプレイする場合を考えてみよう。最近のゲームはマルチスレッド処理に最適化が進んできており、多コアCPUの恩恵を受けられることが増えてきた。ただし、そうはいってもほとんどのゲームは多くても4コアCPUを前提とした作りになっているため、これ以上コア数が増えたところで動作が快適になることは少ない。ゲームソフト本体が多くのプレイヤーが持っているだろうPCを前提にして開発されるのだから、当たり前の話だ。
では、ゲームでは多コアCPUは意味がないのかといえば、そうではない。ゲームソフトがすべてのコアをフルに使えなくても、複数のソフトを同時に動かせば、それだけ多数のコアが使われるからだ。ゲーム中に別のソフトを動かす事なんてないと思われがちだが、実は思いっきりそういった用途の使い方がある。そう、ゲームの実況配信だ。
実況配信では、プレイ中の画面を動画に変換し、それをネットワークを通じて送信するという処理が必要となる。配信の画質を上げるとデータ量が増加し、CPUでの処理が増えるため、CPUが速ければ速いほど高画質で配信できるようになるわけだ。性能の低いCPUで高画質配信しようとすれば、配信動画がガクガクの見れたものではなくなってしまうだけでなく、そもそもゲームが快適にプレイできないほど遅くなってしまう危険すらある。
では実際、CPUのコア数の違いでどのくらい実況配信が変わるのだろうか。Ryzen 7 1700(8コア16スレッド)を搭載したサイコムのストリーマー向けゲーミングPC「G-Master Spear X370A-DTN-STR」と、Core i7-7700K(4コア8スレッド)を搭載した一般的なハイスペックゲーミングPC(自作)とで、CPU負荷がどう変わるのか実験してみよう。
「XSplit」と「Twitch」を使い、人物を合成した高画質配信に挑戦
ゲーム画面に実況の声を入れるシンプルな配信ではミドルクラスのゲーミングPCでも問題なく配信できるが、せっかく実況配信をするなら、プレイ中の姿も見える方がより臨場感が出る。そこでロジクールの「C922 PRO STREAM WEBCAM」を使い、ゲーム画面にカメラ映像をリアルタイム合成した場合で実験することにした。CPU負荷はより高くなるものの、ハイスペックのゲーミングPCであればこのくらいはできて欲しいという期待もある。ちなみに合成にはXSplitを使うが、背景の切り抜きにはウェブカメラに付属する「ChromaCam by Personify」を使用した。
テストに使用したのは、人気のバトルロイヤルゲーム「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」。画質設定は“ウルトラ”とし、「HOME」画面と「輸送機に乗り込んだ直後」の2つのシーンでCPU負荷を比較した。なお、解像度はフルHD(1920×1080ドット)にしている。Twitchでの配信設定は解像度を1280×720@60fpsとし、画質設定はプリセットのveryfast、mediumの2種類を試した。
比較用PCスペック | ||
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G-Master Spear X370A-DTN-STR | 自作ゲーミングPC | |
CPU | AMD Ryzen 7 1700(8コア/16スレッド、3.0~3.7GHz) | Intel Core i7-7700K(4コア/8スレッド、4.2~4.5GHz) |
グラフィックス | GeForce GTX 1070(8GB) | GeForce GTX 1080 Ti |
メモリー | 16GB(PC4-19200)※標準構成時は8GB | 16GB |
ストレージ | 525GB SSD(SATA) | 256GB SSD |
OS | Windows 10 Home(64ビット) | Windows 10 Home |
なお、比較対象とした自作ゲーミングPCは、よくあるハイスペックなゲーミングPCの代表として、グラボはGeForce GTX 1080Tiを搭載している。「G-Master Spear X370A-DTN-STR」のグラボはGeForce GTX 1070とゲーミング性能に差があるものの、サイコムのストリーマー向けハイエンドモデルがどれだけの実力があるのかも見たかったため、そのままで比較している。
気になる高画質配信の実力は、次ページで紹介しよう。