頭をフル回転して答えてください。あなたはマーケティング戦略の成果をどのように測定しますか? この質問に答えるのに2秒以上かかるなら、そのマーケティング戦略は計測できないメトリクスに基づいている可能性が高いです。
簡単なデータを分析して、成功か失敗かパフォーマンスを検討する時代は終わりました。テクノロジーの進化と共に、デジタルマーケティングも進んでいるのです。
データを駆使するマーケターは、自分の直感だけを信じて奮闘する人よりも成功します。その理由を説明します。
データ中心のマーケティングがますます重視される時代に
数年前まで、データ中心のマーケティングは、現実には程遠い小説の世界のことのように思われていましたが、業界の傾向は大きく変わり、メディアバイイングからメルマガまで、マーケティングの戦略の意思決定に解析が欠かせなくなりました。さらにマーケターは、データ中心のマーケティングの必要性をよく理解するようになりました。
Global Alliance of Data Driven Marketing Associationsのレポートによれば、マーケターの69%が、今後、データ中心のマーケティングにあてる予算を増やそうとしています。さらにデジタルマーケターの77%がデータ中心のアプローチに絶対の確信をもっています。およそ49%のマーケターが、戦略の実行にデータ中心のマーケティングは最大限の効果があると考えています。さらに20%が消費者の好みに合わせるには、データ中心のマーケティングが不可欠との見解をもっています。
データ中心のマーケティング戦略を運用し、ユーザーのエンゲージメントを高めるには、マーケターは幅広い知識を徹底的に身につけることが求められます。最小限のコストで、最大限の成果を挙げるために、さまざまなデータを駆使するのです。
関連性が高いデータを測定する
ブランドやビジネスに影響を与えそうなデータや兆候が、実はまったく関係がなかったことがたまにあります。
たとえば、ある中国語のサイトでは2月初旬のトラフィックが減少したため、原因を探りました。検索広告で効果が出ていないことが疑われたため、アルゴリズムの変更が原因と考え、広告キャンペーンを停止することにしました。ところが、トラフィック減少の原因は、中国では2月の第1、2週が旧正月なので、ターゲットユーザーのほとんどがWebで活動していなかっただけでした。
広告キャンペーンを継続したところ、旧正月終了後、トラフィックは期待したレベルに戻りました。
ソーシャルメディアのフォロワー数、メールリストの登録数、記事のPV(ページビュー)などの「虚栄の指標(vanity metrics)」は、誤解を招くことがあります。こうしたKPI(重要目標達成指標)は、表面的な「印象」を強めることに固執しすぎている上層部の評価は良いですが、本当の意味でビジネスの成功を示すものではありません。
キャンペーンの成果を測るなら信頼できるメトリクスは、平均セッション継続時間かセッションごとのページ数です。サイトトラフィックとは異なり、効果的にコンバージョンにつながる指標になる可能性が高いのです。
リアルデータをはじめ多様な解析データがあるのに、「Webサイト解析」だけを重視すると、マーケティングの評価を不必要に狭めてしまいます。Webサイトの解析はサイトパフォーマンスの一部を計測するだけの限定的なものなのです。
サイロ化が続くと、効果を正確に測定したり、フォーカスすべき重要なメトリクスを見つけたり、継続して成功するために最適化したりする努力が無駄になります。
問題は、この「不必要に狭まった」解析に固執していることに、自分で気づけないことにあります。マーケティングの測定方法が本当の実情を反映しているかどうか、また自分自身をだましていないかを、常に問いかけることが大切です。
Webサイトの解析は限定されすぎている
解析の主な目的は、ユーザーの人数を増やしてエンゲージメントレベルを上げることと同時に収益を増やすことです。虚栄心を満たすことではなく、コンバージョン、定着率、顧客生涯価値などの関連メトリクスを発見することで、どのマーケティングチャネルと活動が実際にパフォーマンスを発揮しているのかが分かり、収益の増加につながるのです。
ビジネスの各段階における傾向やパターンを把握することで、ビジネスの成功につながる解析ができます。この解析は複雑です。この場合の「複雑」とは単純なデータに注視することではなく、メトリクスをより深く掘り下げて考えてみるということです。複雑なメトリクスには複数のソースのデータも含まれ、標準的なデータ構造と一致していない場合もあります。
複雑なデータ解析の実施は、ツールを正しく使えるかにかかっています。新世代のデータ解析プラットフォームでは、複数ソースからデータを照合でき、これまでは一覧で表示できなかったメトリクスを並べて「混合のダッシュボード」を作成できます(そのため「blended view」と表現します)。
データのサイロ化が解消すれば、独自のKPI手法で「最重要指標(One Metric That Matters:OMTM)」を見つける作業をスタートできます。OMTMは、文字通り「単独のメトリクス」だったり、具体的なKPIに基づく関連パフォーマンスを集めた「小さなメトリクスのセット」だったりします。
OMTMはかなり有益で、成功につながりそうな意義ある活動にスタッフを重点的に配置できます。OMTMを見つける方法はいろいろありますが、データを複合的に解析できれば効果的に探せます。ソーシャルメディア、CRM、マーケティングオートメーション、Webサイト解析、そのほかのデータソースで、全体像が見えるのです。
ありがたいことに、利用できるデータソースがどんどん増えています。ビジネスインテリジェンスプラットフォームのSisenseの依頼を受けてアバディーンが実施した最近の調査では、企業は増えている複雑なデータを定期的に分析していると分かりました。
新世代のマーケティング解析は、コンバージョンにつながる見込み客の主な行動を発見するために、より深く調べます。これは複雑なデータを扱えてこそ可能なのです。DatapineやBirst、Databoxなどのもっとも進んでいる解析プラットフォームを使ってみる価値はあります。
役立つデータだけを利用する
データのサイロ化を減らして、最先端の解析ツールを使うメリットは多くあります。マーケターは複雑なデータを効果的に表示でき、短時間で解析し、すぐ使える考察得られます。信頼性の高いデータを基に迅速な意思決定能力を得るだけでなく効果的なチームも作れます。
単純なWeb解析を捨ててワンランク上のマーケターになってください。デジタルマーケティングの解析は成長しながら成功するための鍵です。メトリックスとインサイトには大きな違いがあります。
正しい測定ができる基盤が整えば、あるインフルエンサーキャンペーンのサイト訪問者を簡単に解析できます。たとえば、そのトラフィックのエンゲージメントや何人の訪問者が最終的に注文したか、購入額、リピート客になったのかなどが分かるのです。
では、ここ数カ月に実施したインフルエンサーキャンペーンをどう判断しますか。ROI(投資利益率)はほかのマーケティングアクティビティと比べてどうだったのか、次の四半期にどんな対策をすべきなのか。こうした解析はすぐに実行に移せるので、非常に効果的です。重要なメトリクスを見ながら、それらをつなぎ合わせて全体像を示すことで、マーケティングの影響と効果を最大限にできます。
最後に
単純なWebサイト解析に頼っては、成功には結びつきません。より幅広いデータを駆使し、複雑なデータを解析して初めて、キャンペーン効果のより明確で、全体的な見解を得られ、最重要指標を見つけられます。
複雑なデータを解析できる知識があれば、絶えず変化する市場に対応して、優れた施策をとり、優位なポジションで、本当に効果的な次世代のマーケティング戦略を練られるはずです。
(原文:Your Next Marketing Strategy Depends on Complex Data Analytics)
[翻訳:和田麻紀子/編集:Livit]