「パーソナライズされたユーザーインターフェイス(UI)」は、もっとも注目される流行のデザインです。新しい概念ではありませんが、2017年のユーザーがコンテンツを閲覧する際に求める最後の1ピースなのです。
なぜか分かりますか?
UIデザインはバランスが大切です。デザイナーは効果が立証されたテクニックを使いたがる一方で、ブランドが競合の中で抜き出るために、新鮮なデザインを創る必要があります。
抜き出たデザインの決まった方法はありません。UIデザイナーは、効果が実証されたテクニックを駆使してユーザーを惹き付ける方法をひねり出そうと必死です。来週には古くなる流行デザインを追うのはなく、個人に合わせたユーザー体験を実現する「UIのパーソナライズ」を探しているのです。
パーソナライズとは具体的にどういうこと?
パーソナライズとは、コンテンツを個人に合わせてオーダーメイドすることです。たとえば、訪れたユーザーの名前の覚えたり、会話調のフレンドリーな文章を使ったりするのです。
パーソナライズにより、ユーザーに合ったコンテンツを提供できます。ユーザーはおもしろくないコンテンツやあるいは無関係なコンテンツが表示されたら、とたんに興味を失い去ってしまいます。
魅力的で人間らしいトーンでユーザーに語りかけたり、取得したデータを利用して興味を惹くコンテンツを表示したりする「共感」を活用したUIの効果を紹介します。
相手の立場に立つことがUXに与える効果
「アラバマ物語」の中でアティカス・フィンチがスカウトに送ったアドバイスが日常生活に当てはまるのと同様に、UX/UIデザインにも当てはまると言ったら驚きますか。
「その人の立場に立って物事を考えてみるまでは、その人を本当に理解することはできないんだよ。その人の体の中に入って歩き回ってみるまではね」(アティカス・フィンチ)
相手に共感を示すのは、どうすればユーザー体験が良くなるかを想像するだけではなく、デザインしたUIを使う1人のユーザーになりきって考える時間が必要です。
相手の立場に立つには、コンテンツを閲覧する人がどんな人なのか知らなければなりません。彼らの立場になって、マウスでクリックしたりキーを叩いたりする姿を想像してください。彼らから見た問題点に気がつき、直面する課題に対する解決策も直感的に思いつくでしょう。
アプリの使い勝手とアクセシビリティの向上に共感力を駆使するのと同じく、ユーザーを夢中にさせるほどパーソナライズされたUIを創るための「共感力」が求められます。
ユーザーの名前を記憶する
高校に上がって最初の年。
「やあ、ステファン!?」
彼女は私の名前を覚えていました。
最初は彼女にそこまで関心がありませんでした。私たちは登校初日に一度会っただけなのに、彼女は名前を覚えていてくれたのです。
人間関係は真摯さと信頼と関心によって成り立ちます。始まりはちょっとした努力なのです。
これが「個人的」なつながりだからです。
コンピューターは人間ではありません。分かっていても、せっかくユーザーのデータが手元にあるのですから、活かさない手はありません。ユーザー個人のちょっとした事柄を覚えるだけで、ユーザーは特別に扱われている感覚になります。ユーザーの幸福度を増幅し、最終的にはコンテンツへのエンゲージメントを高めます。
会話調でユーザーに語りかける
「ブラウンさん、今日はなにをお求めですか?」
ユーザーは質問に答えるでしょう。3つの理由があります。
1つ目は、人間が会話を開始するときのような口調だからです。2つ目は、質問こそ、答えを得るための最良の方法だからです。3つ目に、この文章は「ユーザーがなにかする必要があり、それを選ぶ必要があること」をさりげなく示しているからです。
データに基づいてパーソナライズされたUIとコンテンツ
無関係でおもしろくないコンテンツがたくさん現れたら、稲妻のような速さで「戻る」ボタンを押すでしょう。
オンラインコンテンツに簡単に手が届く世界に生きています。多すぎる選択肢がある一方で、1日24時間しかないので、貴重な時間を費やす対象にわがままです。
UIがコンテンツによって決まるなら、デザイナーはユーザーが読みたいコンテンツを提供するためのデータが必要です。具体的には、
- 年齢
- 地域
- 興味
- 使用するデバイス、ほか
があります。
こうした情報は容易に入手できませんが、ソーシャルネットワーク関係の企業をはじめ主要企業はユーザーがサービスを利用してる間にデータを収集し、適切な広告やコンテンツのおすすめ、今後の記事の内容などに役立てています。
最後に
パーソナライズは、個人のニーズや興味に合わせてコンテンツを取捨選択することです。究極的にはユーザーに与える体験が成否を分けます。流行りの色使いや、かっこいいオフキャンバスナビゲーションを駆使することではないのです。パーソナライズは優れたUXを実現する方法の1つであり、今後何年にもわたって必要になるでしょう。
(原文:How to Boost Happiness and Engagement with Personalized UIs)
[翻訳:西尾健史/編集:Livit]