(株)帝国データバンクが22日発表した「道路貨物運送業者の経営実態調査」によると、2016年の道路貨物運送業者の倒産件数は、前年比17%減の176件となった。ネット通販の拡大で宅配便荷物が増加し、運送業の需要が増加したことなどで、倒産件数が減少した。
配送業者の16年総収入高は約20兆
同調査は、同社の企業概要データベース「COSMOS2」(147万社収録)から、16年決算の収入高が1億円以上の国内道路貨物運送業者を対象に、総収入高や損益動向などを集計・分析した。
道路貨物運送業者の2016年総収入高は、同0.8%増の約20兆760億円となり、11年以降、6年連続増収となった。07年との比較では6%増だった。
年収入高が増収だったのは5893社(構成比35%)、減収は5288社(同31.4%)、横ばいは5679社(同33.7%)となり、増収企業が最も多かった。
15年・16年の純損益が比較できる7665社を対象に損益を見ると、16年は全体の9割にあたる6902社が黒字だった。
年収規模別では、「500億円以上」が35社(構成比0.2%)、「100~500億円未満」が166社(同1%)、「50~100億円未満」が233社(同1.4%)、「10~50億円未満」が2250社(同13.3%)、「1~10億円未満」が1万4176社(同84.1%)となり、年収の規模が小さくなるほどに社数も増え、運送業には小規模事業者が多いことがわかった。
道路貨物運送業界では、配達料の増加によりトラック運転者が不足し、人件費が高騰している。宅配業者は厳しい経営環境のなか、宅配便最大手のヤマト運輸が10月1日からの運賃値上げを決断し、日本通運(株)なども運賃値上げを検討している。アパレルやビール業界なども共同輸送による運送コストの削減に取り組んでおり、今後は運賃を値上げするなかで顧客を減らさず、いかに業績を維持するかが注目される、としている。