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EU、グーグルに巨額の制裁金の可能性 独禁法調査に結論か

2017年06月19日 13時31分更新

記事提供:SEMリサーチ

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欧州連合(EU)の競争法当局である欧州委員会(European Commission、EC)は、米Google がショッピング検索(価格比較検索)サービスにおいて自社が有利になるように掲載位置を操作していたとして、巨額の罰金を科す見込みであると複数の欧米メディアが報じている。金額は同社の世界の年間売上高の最大10%(11億ユーロ)に達する可能性がある。

EC 競争政策担当のマルグレーテ・ベスタゲール(Margrethe Vestager)氏は近しい関係者に、判決の最終段階に入っていると述べている。

EUによるGoogle の独占禁止法違反調査

Google は欧州で90%以上の検索シェアを有しているが、この支配的地位を乱用して Google が競合サービスを排除していると、複数の欧米企業が EC に苦情を申し立てた。これを受けて EC は独占禁止法に違反した疑いがあるとして2010年から調査を開始した。

Google は商品価格検索サービス「Google Shopping」を提供している。検索利用者が商品購入に関連するキーワードで検索するときに、検索結果画面の枠の一部にこの Google Shopping の情報を提供する。今回問題となっているのは、Google Shopping の競合となる他社の商品価格検索よりも、自社(Google)の結果を優先的に表示するようにしていた疑いがかけられていることである。また、同社の検索順位はアルゴリズムによりコンピューターで自動的に計算しているが、掲載順位の下落に関連する変数を自社の情報には適用しないことで、相対的に自社の掲載順位を押し上げ、競合企業と消費者に不利益をもたらしたとも指摘されている。これらを記した異議告知書(Statement of Objections)は2015年に Google に送付されている。

Google は2015年8月、公式ブログで声明(Improving quality isn’t anti-competitive)を発表し、同社はサービスを常に改善し、より適切な情報や役立つ広告を提供するように努めてきており、これが欧州の消費者に多様な選択肢を提供し、あらゆるビジネスに価値ある機会を提供してきたと主張した。

過去8年にわたり、Google は改善案を提示するなど問題解決に向けて動いたが、(関連:欧州委員会(EC)、Googleが提示した改善案を拒否 - 独占禁止法違反を巡る問題)(Google、検索結果表示の改善を約束、欧州委による巨額の賠償金回避へ)合意には至らなかった。


今後の Google 検索事業への影響

EC が何らかの制裁を Google に科すことを決定した場合、同社の検索事業への影響が懸念される。欧州内における検索事業の運営の方針を変更し、ライバル企業に Google と戦えるだけの競争力を与えることになる。また、検索市場における支配的地位を是正するために、競合企業の情報がより検索結果で目立つようにレイアウトあるいはアルゴリズムの調整を迫られる可能性があると指摘する専門家もいる。ただし、現時点で EC がどのような改善を命じるか不透明だ。


アンドロイドやアドセンスでも独禁法違反の調査進む

上記の商品価格検索は、EC が調査する対象の1つだ。並行して モバイル端末用 OS・Androidにおいて、Google が優越的地位を利用して同社のアプリをプリインストールすることを要求し、またそれを促すためのインセンティブを与えていた疑いと、オンライン広告において競合を不当に排除した疑いでも調査が進められている。


EU poised to fine Google more than $1 billion in antitrust case: reports
http://www.marketwatch.com/story/eu-poised-to-fine-google-more-than-1-billion-in-antitrust-case-ft-report-2017-06-16

Exclusive: Google faces hefty EU fine in shopping case by August - sources
http://www.reuters.com/article/us-eu-google-antitrust-exclusive-idUSKBN18S5OU

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