マジシャンという仕事のせいか、部屋を取材されることがたびたびあります。そんなときはいつも「マジシャンらしくないけれど、大丈夫ですか…」と相手に念を押しておく。おそらく、テレビ制作のスタッフや雑誌の記者は、「マジシャンの部屋」を勝手に想像して、ドクロや女性を切断する箱など、オドロオドロシイ道具があると思っているのかもしれません。
Spherical Image - RICOH THETA
もちろん、倉庫にはトランプはたくさんあるし、クローゼットルームにはダーク系のスーツも並んでいますが、僕の仕事部屋は一般的なオフィスとよく似ています。
それでも、よく観察すると、なんとなく部屋の主がわかりそうな変なコーナーがあります。今回は、そんなマジシャンの仕事部屋を全天球カメラで撮影し、奇妙なモノをピックアップしていこうと思います。
部屋にある奇妙なモノ 1「トランプ専用フォルダ」
これは一般家庭やオフィスではあまり見かけないモノかもしれません(笑)。トランプ専用のカードフォルダーです。マジックの解説になってしまうので具体的な使い方は秘密ですが、マジック以外でも、友人にプレゼントを贈るときにメッセージカードとして利用することもあります。アメリカのマジックショップのバックヤードで使われていたモノをモデルに自作しました。
棚の下にあるのは、カードキーパーと呼ばれるカードゲーム用のウェイト。ギャンブルにちなんだ動物がモチーフになっています。例えば「サメ」は英語で「強いギャンブラー」の意味。
部屋にある奇妙なモノ 2「ローラーキャビネット」
自動車の整備などに使うローラーキャビネット。下にキャスターが付いていますが、キャビネット自体も重いので移動させたことはありません。この中にはマジックの道具を作るための工具や材料がはいっています。とは言っても、ドライバーやペンチ、ヤスリ類など一般的な工具が多く、特殊な工具はあまりありません。強いて特殊なものを挙げるなら、ガラスを切断するためのダイヤモンドカッターやコンピュータ類の修理に使う先端が星型のトルクスドライバーなど。あとは様々な用途向けの接着剤なども収納されています。詳しくは秘密だけどね。
部屋にある奇妙なモノ 3「ホワイトボード兼マグネットフォルダー」
意外にアナログ人間なので、思いついたアイディアをメモしたり、作りかけの道具や部品をマグネットで貼り付けてあります。様々なタイプのマグネットを集めていますが、これは筆者の趣味。多くの人が「マジックのタネはマグネットに違いない」と想像しますが、実際にはマジックにはあまりマグネットは使われません。その理由は、クレジットカードや時計をダメにしてしまうリスクがあるからです。
ホワイトボードの右下に少しだけ見えているのは、マジックの専門書など。英語がほとんどなので面倒です。仕事に使う資料は、仕事部屋の外にある吊り本棚にまとめてあります。マジック関連の本よりも、他のジャンルのほうが多めなのは許してください(汗)。多くの人によってスクリーニングされた古典が多めですが、本棚にハシゴをつけたら本が増え、重さで壁から崩れそうなので、できるだけ少なくなるよう、たまに整理しています。
部屋にある奇妙なモノ 4「ハンドスピナー」
ハンドスピナーは指先で回す玩具。本当かどうかはわかりませんが、ウツの予防やストレス解消になるらしく、アメリカで人気急上昇らしいです。先日、量販店の玩具コーナーで「ハンドスピナーは…」と質問しかけただけで、「品切れです!」と店員さんに速攻で返答されました。それくらい、人気商品なのか、1日に何度もお客さんに質問されるのかは不明ですが、現在のところ3つだけコレクションしています。マジックの練習はあまりしないので、机の上に置き、指先をトレーニングした気分を味わっています(笑)。
部屋にある奇妙なモノ 5「姿を現さないネコ」
VR画像では窓際に座っていますが、遊びにくる友人からは「あれ?!ネコいないの?」とよく質問されます。バーチャルでネコを飼っているわけではありませんが、人見知りで来客にはあまり姿を見せません。しかし、筆者が仕事部屋にいるときには、モニターの前に座るし、キーボードに乗るなど、邪魔をしまくりです。まぁ、可愛いから許すけど…。
仕事用のスーツや靴、シャツなどを保管しています。私服は少ししか持ってないので、こっちのほうが仕事部屋に限りなく近いかも…。普段の生活ではTシャツとジャージで過ごしています(笑)。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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