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まだインターンに量産させてるの? これが本物のコンテンツマーケティングだ!

2017年05月08日 08時00分更新

文●Kevin Wood

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人海戦術でコンテンツを安く大量に作るだけのコンテンツマーケティングとはさようなら。ユーザーの課題を解決し、トラフィックとエンゲージメントを得る、本物のコンテツマーケティングを実践するための戦略とは?

コンテンツはWebの世界の通貨です。「通貨」というにはもっともな理由があります。

はじめてのコンテンツを投稿したあとで、すぐに結果が出ると期待する人はたくさんいます。実際にはコンテンツマーケティングは長期戦です。その長期戦を正しく戦えば、今後数年にわたってトラフィックを呼び込んでくれます。

投稿したコンテンツのひとつひとつが持つ影響力が積み重なってこそ、得たいと望んでいる結果を得られるのです。

コンテンツ戦略を一から構築するには若干の作業が必要ですが、投稿ボタンを押してうまくいくように願っているだけよりははるかにましです。これから、効果のあるコンテンツ戦略をゼロから作り上げる方法について説明します。

コンテンツマーケティングはなぜ重要なのか

最初に覚えておかなければいけないのは、広告臭が強すぎるとネガティブな影響が出るという事実です。最近の消費者は、いまだかつてないほど頻繁に広告の「爆弾攻撃」を受けているからです。

マーケティングやリードジェネレーションのほとんどは短期集中型です。もっと即時的な結果が得られる手段もほかにあるかもしれません。しかし、長期のビジネス目標となると、コンテンツは強力な武器になるのです。

加えて、作成したコンテンツはほかのマーケティング戦略もサポートしてくれます。たとえば、コンテンツには検索エンジンでの順位を上げたり、ソーシャルメディアでのシェアを増やしたり、現在持っているブランドを引き立てたりする力があります。

コンテンツマーケティングのメリット

コンテンツマーケティングは実行中の戦略を強化するだけでなく、確かなメリットがあります。忘れてはいけないのは、長期戦略なのでメリットをすぐに享受できないということです。しかし、根気強く挑戦していけば、少しずつ目に見える形になってきます。

  • 検索エンジンでの存在感が高まる:質の高いコンテンツがあればあるほどGoogleでインデックスされることが増え、結果としてオンラインでの影響力が強まる
  • ターゲットトラフィックの強化:投稿するコンテンツにはすべてトラフィックを高める可能性がある。トラフィックを高める要因としては、投稿ランキング、ソーシャルメディアでのシェアやコンテンツへの被リンクを経由した口コミによるアクセスなど、多くの種類がある
  • ブランド知名度の強化:コンテンツを読まれる、エンゲージされる、シェアされるというのは、オンラインでの存在感が高まっているだけではなく、同時に読者との良好な関係が築かれていると考えられる
  • カスタマーとの関係の改善:なにがあってもカスタマーとの関係がすべて。カスタマーが抱えている問題の解決につながる質の高いコンテンツにより、カスタマーとの関係を深め、信用に足る存在だと認識されることで、カスタマーが商品などの購入を決める前に参考にしてくれるようになる
  • 長い目で見ればコストを削減できる:コンテンツの素晴らしいところは、お金を払うのは1回だけで、長い時間をかけながらもトラフィックやビジネスの利益を生み出し続けることだ

コンテンツ戦略を構築する方法

優れたコンテンツ戦略はすべて計画から始まります。これから説明する計画は大変な作業のように思えるかもしれません。しかし、その作業は1回だけで、しかも、コンテンツ戦略全体のベースとなるものです。

1. バックボーンの組み立てと構築

優秀なコンテンツ戦略はマーケットの理解から始まります。オーディエンスが誰で、どのような興味関心を持っていて、どのような質問への答えを欲しがっていて、コンテンツをどのように消費したいと考えているのかを理解しなければなりません。

最高のアイディアはこれまでの成功事例から得られることがあります。ヒットする保証のあるコンテンツをゼロから作り上げるのは大変なことですが、競合相手が実際に成功しているアイディアや戦略に、自分の基軸を合わせるという方法があります。

これには2つの面があります。1つは作成するコンテンツがヒットするという確証を得られるため、やり直しの必要がないことです。もう1つは、ヒットする見込みのある完成度の高いコンテンツの投稿すると、オーソリティーとしての地位をすぐに手に入れられることです。

アイデアの「銀行」を膨らませるにあたり、次の質問を自分に問いかけてみてください。

  • オーディエンスが特に好むタイプのコンテンツはあるか
  • 各コンテンツの作成にどれくらいの時間を費やせるか
  • 自分が活用したいデータやコンテンツがすでにあるか

1. 競合とマーケットを理解する
自分の専門分野でなにがうまくいっていて、なにがうまくいっていないのかを知る確実な方法は競合研究です。研究をしておけば、すでにある競合のコンテンツと差別化できるため、同じことを何度も繰り返す必要がありません。

自分のコンテンツをユニークなものとして完全に確立するためには、マーケット内にある落とし穴を見つけて、埋めるのが一番です。これにより、コンテンツは瞬く間に便利な存在となり、オンラインのノイズにはなりません。

「マーケット内にある落とし穴」を見つけるには、次のような方法が役に立ちます。

  1. Amazon.comで自分のビジネスに関係するベストセラー本を探す。その本のネガティブなレビューを掘り起こし、繰り返しレビューされているネガティブな問題点を特定する。ネガティブな問題になっているということは、現在市場にあるものでは満たされていないことを示唆しているので、それにアプローチするコンテンツを1つまたはシリーズとして作る
  2. Buzzsumoを使い、もっとも成功しているコンテンツを研究する。ターゲットキーワードや競合で人気のあるWebサイトを入力すると、無料版の場合、10位までの結果が表示される。表示されたコンテンツから、トレンドを読み取るか、あるいはなにかびっくりするようなコンテンツのヒントを得る

既存のコンテンツの研究に時間を費やせば費やすほど、自分のビジネス分野での地位を確立し、目標達成につながるようなコンテンツを作れるようになります。

2. 適切なキーワードを選択する
キーワードは非常に大切です。Googleだけでも、毎日35億件以上もの検索がされています。検索からWebサイトを訪れる訪問者はとても貴重な存在です。

また、キーワードの検索ボリュームも市場での規模を測る指標として使えます。特定キーワードやフレーズの検索ボリュームがなければ、そのキーワードやフレーズで検索をされていないということです。一番嫌なパターンは、だれも気にすることのないコンテンツに時間と労力と費やしてしまうことです。

既存のコンテンツを分析し自分のビジネスの市場について知れば、ビジネスの「種」となるキーワード(seed keyword)のリストを作れるはずです。

リスト内のキーワードの全体的な競争力や一般的な検索ボリュームを調べるには、Googleキーワードプランナーなどの無料ツールが使えます。さらに良質なデータを提供してくれる有料ツールもいろいろな種類がありますが、手始めには無料ツールから始めると良いでしょう。

キーワード検索を次のレベルに進めたければ、Backlinkoの『KEYWORD RESEARCH FOR SEO : The Definitive Guide』を入門記事として参照してください。

3. 「適切な」タイプのコンテンツを作成する
ビジネスの目標をさらに高める要素として、個々のコンテンツを捉えなければなりません。そのために作成できるコンテンツにはいろいろな種類があります。

  • 長めの完全版ガイド式の記事投稿
  • インフォグラフィック
  • スライドシェアによるプレゼンテーションやYouTube動画
  • 更新したコンテンツやデジタルダウンロードコンテンツ
  • 電子書籍
  • ソーシャルメディアでの投稿

包括的なコンテンツ戦略で、単なるブログ記事投稿よりも多くのメリットを得られます。つまり、コンテンツ間の関係生を考えなくてはなりません。コンテンツをどのようにまとめ、価値の提供やビジネス目標の進展につなげるかを考えます。

実際にどのようなコンテンツを作成すべきかアイデアをまとめている最中の人は、次のソースを試してみて下さい。

  • 人気のあるsubredditをブラウジングして人気の高いコンテンツを探し、似たようなものを作れないか考える
  • キーワードのアイデアを集める際にGoogleトレンドを使い、人気が高まってるキーワードを探す。来たるべきトレンドの草創期に参加するという意味では価値が高い
  • Quoraをチェックし、自分のビジネスで常に話題になっているよくある質問を調べ、掘り下げた回答の投稿を作成する

4. コンテンツを計画・準備する
コンテンツの内容が決まったら、次はどのようにオーガナイズ・公開していくかを計画します。複雑なアプローチですが、コンテンツ制作にどのようなツールを使うかによって単純明快にできます。

優れた選択肢としてはTrelloがあります。Trelloではコンテンツのアイデアをまとめたり、制作過程や締め切りの管理をしたり、ファイルを各カードに加えたりするための特定ボードを作れます。チームや複数のライターと作業をしているなら本当に価値の高いツールです。

コンテンツをスムーズに公開するために役立つツールはたくさんあります。WordPressを使っているならEditorial Calendarがおすすめです。もっとしっかりしたソーシャルメディアでのスケジューリングに役立つツールが欲しければ、CoScheduleが便利です。有料ですが時間の節約にとても効果的です。

2. コンテンツマーケティングの目標を設定する

どのようなコンテンツにするかはコンテンツ戦略の目標によって異なります。たとえば、ソーシャルメディアでのフォロー数を増やしたい、読者にメールリストに入って欲しい、プレスで取り上げて欲しい、オーソリティーを改善したいなどで変わります。

しっかりとした戦略を立てておくと、2つの面でメリットがあります。読者にすばらしい印象を与えるという面と、自分のビジネス目標を達成できるという面です。実際、コンテンツは、この2つの面がちゃんと機能して初めてビジネスのニーズを掘り起こせるという目標を達成できるのです。

ありがたいことに、2つの要素にアプローチする基本になってくれるのは、先ほどの研究結果です。

コンテンツマーケティングは長期戦になるため、ブランドアウェアネスの構築やオーソリティーの強化などの目標は、多くの場合、効果測定が難しくなるものです。しかし、簡単に測定可能な指標に分ければ、戦略がちゃんと機能しているかどうかを調べられます。

成長を見るのに役立つ指標としては次のようなものがあります。

  • コンテンツのソーシャルメディアでのシェアが増える
  • エンゲージメントやコメントの全体数が増える
  • ターゲットキーワードにおける検索エンジンの順位が上がる
  • Webサイトのトラフィックが安定成長する
  • メールリストが増える

3. 優れたコンテンツを作る

戦略が成功するかどうかは、本当に作成しているコンテンツ次第です。そこそこ良いコンテンツでは十分ではありません。

関連性はとてもシンプルです。質の低いコンテンツを作れば、多くの人が自分のビジネスに無関心になったり悪感情を持ったりします。一方、有益で問題を抱える人を助けられるような無料コンテンツを作成すれば、有料コンテンツを購入してもらえる可能性が高くなります。クオリティの低いコンテンツではビジネスはできないのです。

Ramit Sethiが分かりやすい例です。彼はいろいろな分野でコンテンツを作成していますが、どれもが該当するトピックで最高レベルです。彼が提供する無料コンテンツの質はほかの有料版よりも高いのです。これは信用をおそろしく高めることにつながり、ユーザーも何かを購入するときにだれを信用すれば良いのか分かるようになります。

キーワードの項目でも触れたように、いまだに価値のないキーワードをちりばめただけのコンテンツを好きなだけ作れば良いと考えている人はたくさんいます。しかし、リアルな人たちと向き合っているということを忘れないでください。コンテンツの第一印象を決めるのにはたった1回のチャンスしかないので、賢く使わなくてはなりません。

読者が長く利用できるような価値のあるコンテンツであれば、検索順位もついてくるものです。

4. プロモーションは「王様」

コンテンツが完成して投稿ボタンを押したとしても、作業はまだまだ始まったばかりです。実際、コンテンツ作成に費やす時間は全体の20%だけで、残りの80%はプロモーションに使うべきと、Social TriggersのDerek Halpernは主張しています。

コンテンツのプロモーションには何百もの種類(たとえば被リンクなど)がありますが、手始めに次のリストを参考にしてください。

  • 現在持っているソーシャルメディアアカウントでコンテンツをシェアする。コンテンツで触れた企業や個人を必ずメンションするようにする
  • 関連するコンテンツシンジケーションサイトにコンテンツの一部またはすべてを投稿するようにする。MediumLInkedIn Pulseといった既存プラットホームがある
  • Quoraを再度チェックし、自分のコンテンツに関連した質問を探す。そこで質問に答え、追加情報として自分のコンテンツへのリンクを追加する
  • コンテンツで名前を出したインフルエンサーにメールし、最新のブログ投稿でその人物をメンションしたことを知らせる
  • 自分が投稿に関連するコンテンツを探し、Open Site ExplorerSEOProfilerなどのツールでどのようなWebサイトにつながっているかチェックし、Webサイトのオーナーに連絡して似たようなコンテンツを投稿したことを伝え、関心があるかどうかを尋ねる

効果的にアウトリーチできれば、コンテンツに「翼」をつけられます。アウトリーチをさらに先に進めたかったら、Hubspotの素晴らしいインフォグラフィックを参考にしてください。

5. 何回もテストする

計画が実際にうまくいっているかどうかを知るには各コンテンツの成功度や指標を測るしかありません。これまで説明してきたステップをたどりながら目標設定を完了したら、Googleアナリティクスのようなシンプルなツールを使って指標を追跡します。または、メールマーケティングソフトウェアを利用してコンテンツが目標達成のためにちゃんと機能しているかどうかチェックします。

指標を追跡したデータがあれば、読者にとってどのようなタイプのコンテンツが最良の結果をもたらしているか、どのような投稿スタイルが一番多くのソーシャルシェアを獲得しているか、コンテンツが実際にメールリストや収益の増加につながっているかが分かります。

得られたデータは時間をかけながらも、コンテンツ戦略を正しい方向に導いてくれます。次にどのようなタイプのコンテンツを作れば良いのかと考えることがなくなるのです。

最後に

着実にこれまでのステップを踏んでくれば、コンテンツマーケティングで失敗する原因は、コンテンツの作成をやめる以外になくなります。

コンテンツマーケティングは長期戦略です。投資が早ければ早いほど、ビジネスで結果を得られる時期も早まります。コンテンツの消費方法が少しずつ変化するとしても、必要性と効果のあるインバウンドマーケティング戦略であることは変わりません。

(原文:How to Build a Content Strategy From the Ground Up

[翻訳:加藤由佳/編集:Livit

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