ヤマト運輸が4月28日に宅急便の基本運賃を値上げすると発表し、佐川急便も大口顧客と運賃の値上げ交渉をしているという報道があった。宅配事業者が運賃を値上げする傾向にあるなか、日本郵便がネットショッピングモール「楽天市場」の出店者に向け、運賃の値下げサービスを開始する。
楽天が店舗向け「特別運賃」を開始
楽天は楽天市場出店者に向け、特別運賃の案内を4月28日から開始した。特別運賃での配送は、夏頃を目処にスタートする予定。
楽天の特別運賃は、楽天市場の店舗が配送業者に日本郵便を指定すると、一定料金に割引される物流サポートサービス。楽天が日本郵便の大口顧客となり、店舗との取引を一括することで、小口の店舗でも大口顧客のような割引が適用される。
ただ、割引は日本郵便の利益を圧迫するような料金ではなく、「無理のない範囲の料金に設定している」(楽天)と言い、荷物量がかなり多い大口顧客にとっては、現行の運賃の方が安くなるケースも考えられる。
楽天市場にはこれまで、配送業者を指定することで運賃を割引するような物流サポートはなかった。各店舗は宅配事業者の選択から配送料の価格交渉なども自ら行う必要があり、小口の出店者は割引の適用が難しかった。今回の特別運賃の提供で、小口の店舗でも運賃の割引が適用され、配送業者との価格交渉の必要もなくなるなど、業務を効率化することができる。
基本運賃の値上げも影響し、楽天の店舗では、既存の宅配事業者から日本郵便に切り替える動きが加速しそうだ。
(山本 剛資)