東京商工リサーチが8日発表した「2016年『書店』の倒産状況」によると、出版不況により、16年に倒産した「書店」は前年比1.5倍増の25件となった。
同調査は、16年(1~12月)の倒産企業集計データから「書籍・雑誌小売業」を抽出し、分析したもの。
ネットメディアの浸透やオンライン販売、電子書籍の普及など、市場環境の変革による煽りを受けた。出版業界は書店だけでなく、出版社(製造)、取次会社(流通)など、業界全体で厳しい状況が連動しており、抜け出すのは容易でない、としている。
16年は全体で企業倒産が沈静化していたが、「書店」の倒産件数は前年比56.2%増の25件(前年は16件)となり、2年連続で前年を上回った。負債額は同55.4%増の52億9800万円で、負債1億円未満が13件と、小規模事業者が過半数を占め、小規模書店の苦境の実態が明らかになった。
原因別では、「販売不振」が同41.6%増の17件、「他社倒産の余波」が3件、「事業上の失敗」が2件となった。「販売不振」が構成比68%を占めた。形態別では、「破産」が22件で、「民事再生法」はなく、一度業績不振に陥ると、経営の立て直しは困難であることを浮き彫りにした。
また、書店の「休廃業・解散」は41件で、倒産の1.6倍増となった。「休廃業・解散」件数は、11年の23件を底に、年間40件前後で発生し、倒産を上回るペースで推移している。「休廃業」は資産が負債を上回る資産超過での事業停止で、倒産には集計されない。「解散」は資産に余力を残しての清算手続きもあり、「解散」決議の段階では倒産に集計されない。