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子どもは、ロボットをロールモデルとして受け入れると判明

Jamie Condliffe

2017年02月23日 08時59分更新

記事提供:MIT Technology Review

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懲りずに何度も挑戦するロボットと遊んだ子どもは「やればできる」精神を受け継ぐ場合があることがわかった。一方、「お願い」「ありがとう」といわずにすむアレクサのある家庭では、子どもが不作法に育つ、と不満を持つ親も現れている。

私たちが誰かと長い時間を過ごすと、その人の特徴が自分に影響を与え、受け継がれることがある。だが、もし、その「誰か」がロボットだったら、何が起こるだろうか?

人工知能システムがますます人間的になるにつれ、人工知能システムが人々に影響を与える機会も多くなる。ニュー・サイエンティスト誌の記事によれば、子守ロボットと時間を過ごしている子どもは、そのロボットの行動を取り入れている場合があるという。今回の実験によれば、たとえば、野心家で挑戦的なロボットと遊んだ子どもは、ロボットにある不屈の「やればできる」姿勢の一部を身につけることを示している。

別の研究者は、同様の作用を大人にも活かそうとしている。クイーンズランド工科大学の研究グループは、小型のヒューマノイド「NAOロボット」数体を、もっと健康的な食生活を送るよう指導するために導入している。研究グループは、食べ物を選ぶ過程でロボットとおしゃべりすることは、カロリー消費をスマホで記録追跡するよりも、習慣を変える上で効果的ではないかと期待している。効果はあるかもしれない。MITテクノロジーレビューのウィル・ナイト記者が以前記事にしたとおり、会話ができるAIインターフェイスには、特に説得力を発揮できる場合があるのだ。

したがって、パーソナルロボットが家庭内に入り込むことで、単にロボットが人間の命令に従って動くだけではなくなる可能性がある。ロボットはもしかすると、ロールモデルにもなりえるのだ。そうなると、人間は注意深くロボットを受け入れる必要がある。なぜなら、先ほど紹介したそれぞれの話は、人間が自動機械から正の強化を受ける可能性を示しているが、一方で、負の作用を示す事例もあるからだ。

たとえば、子どもを持つ親の中には、アマゾンのパーソナル・アシスタント、アレクサによって、自分たちの子どもが無作法に育ってしまっていると訴えている。アレクサは、人々に「お願いします」や「ありがとう」と言ってもらう必要がなく、同じ質問に何度も答えさせられることにも耐えられ、子どもが癇癪を起こしている前でもおとなしくしている。つまりアレクサは、子どもたちに、本物の人々と関わり合う方法までは教えてくれないのだ。

もちろん、人間とロボットの関係はどちらの方向へも進みうる。スタンフォード大学の研究者は最近、歩道を歩き回り、人々を観察し、人々のいるところで自然に、適切に振る舞う方法を学ぶよう設計されたロボットを開発した。しかし、私たちがマイクロソフトのAIチャットボット、「テイ(Tay)」の例で目にしたように(このボットは、ツイッターユーザーから会話を学んだ時、急速に無礼になり、反ユダヤ主義になった)、大勢の人から手がかりを得る方法は、常にうまくいくとは限らない。

現実には、社会的知性のあるロボットを生み出す近道はまだ見つかっていない。この点は、AIの大きな未解決問題として残っている。したがってロボット工学者は、自分が作る機械に表れる特性を慎重に選ばなければならない。さもなければ、悪い影響のあるロボットを私たちの家に送り込むリスクを負うことになる。

(関連記事:New Scientist, Brisbane Times, “Personal Robots: Artificial Friends with Limited Benefits,” “コミュ力の高いボットは熟練販売スタッフのように商売上手になる,” “Can This Man Make AI More Human?”)


転載元(MIT Technology Review)の記事へ

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