ナノ科学の先駆者であるMITのミリー・ドレッセルハウス教授が2月20日に亡くなった。86歳だった。
ナノ科学の先駆者であるMITのミリー・ドレッセルハウス教授が2月20日に亡くなった。86歳だった。ドレッセルハウス教授は、最初期にカーボン・ナノチューブ製造の構想を打ち立てた科学者のひとりだ。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のL・ラファエル・レイフ学長は「昨日、私たちは卓抜した創造性を持つ科学界と工学界の巨人を失いました。人間的にも素晴らしい方でした」という追悼文をMIT関係者全員に送って知らせた。「ミリー(ドレッセルハウス教授)は「人類初の記録」を数多く打ち立てた人でした。1968年には、女性では初めて終身在職権を持つMITの教授になりました。カブリ賞(天体物理学、神経科学、ナノ科学の3つの分野における優れた研究に対して贈られるノルウェーの賞)の単独受賞者となったのも、女性でアメリカ国家科学賞を受賞したのも、ミリーが最初でした」
MITのドレッセルハウス名誉研究教授(物理学と電子工学、コンピューター科学)は、ナノ材料研究で後代に多大な影響を与えたこと、世界に先駆けてナノレベルでの熱電気効果を研究したこと、導電性材料の温度差から電気を取り出す研究に成功したことで知られる。
ドレッセルハウス教授は、共著で8冊の書籍、1700件以上の論文を発表し、MITで教鞭をとった50年間に60人を超える博士課程の学生を監督し、科学界と工学界の男女平等に飽くことなく精力的に取り組んだ。つい最近、2014年にはオバマ前大統領から大統領自由勲章を受け、科学者として活躍を続けていた(MIT Technology Reviewの2013年の記事「70歳以上のイノベーター7人」参照)。