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DARPA、キノコ製補給ドローンの開発に資金提供

2017年02月02日 08時59分更新

文●Michael Reilly

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物資を送り届けた後、数日後には土に帰るキノコ製ドローンの開発に、DARPAが資金を提供している。へき地や紛争地帯に医薬品等を運び、回収せずに済むので運用コストも安価で済みそうだ。

片道飛行の任務に志願する人はあまりいないだろう。ありがたいことに、人間の代わりのドローンが誕生した。

米国国防先端研究計画局(DARPA)の助成金を得て、アザーラボ(Otherlab=本社サンフランシスコ)が厚紙製ドローンの試作品を作った。ドローンは紛争地帯やへき地向けに、医薬品や電池、通信装置などを空中投下できるよう設計されている。

ドローンはグライダー式で、着陸地点の設定後、貨物輸送機等の航空機から投下される(大型ドローンから投下する実験も実施された)。内蔵の小型電子回路がドローンを操縦し、目的地に向かわせる。ただし、積載量を最大化するように設計されており、モーターは内蔵しておらず、電池も燃料も不要だ。

ドローンはすでに、アマゾンの有料会員に商品を配達したりルワンダのへき地に薬を運んだりするために活躍している。米国防総省もさまざまな用途の可能性を試すため、ドローン編隊を実験中だ。しかし、完全に使い捨てで、自己分解するドローンのアイデアは史上初だ。DARPAのWebページでは「イカロス(ICARUS)」 プロジェクトとして、任務終了後すぐに「跡形もなく消えてしまう」ドローンを望む、とある。

今回の試作品はDARPAの要件を満たさないが、アザーラボでイカロス・プロジェクトを担当する技術者のスター・シンプソンは、厚紙を使ったのは単に設計が成功したことの証明だという。最終目標はドローンの機体を菌糸(キノコ類)の繊維で作ることだ。

エアー・アンド・スペース誌の取材に応じたシンプソンは、予備実験の結果「菌糸にさまざまな胞子を付着させ、ドローンの投下直前に胞子を活性化させるのは、実際に可能だとわかりました。胞子は成長し、文字通りドローンを食べてしまうはずです。5~6日後には、機体を分解してしまうでしょう」と述べた。ドローンを制御する電子機器は、DARPAの別の計画により、使い捨てドローンに適合する自己破壊型の電子回路の開発に資金が提供される。

アザーラボは風変わりな研究で有名だ。再生可能エネルギーから空気注入型ロボットまで、あらゆるものを手掛けている。使い捨てドローンプロジェクトに関するプレスリリースで、軍用輸送機C-130を利用すれば、1回で数百機のドローンに補給品を積み、カリフォルニア州と同じくらいの広さの地域にドローンをばらまけると発表している。

今までのところ、アザーラボのチームが試験したのは最大積載量1kgの機種だけだ。だがシンプソンは、大型化して翼長約2.4m、最大積載量10kgのドローンも作れるという。

(関連記事:Air & Space, Recode, “飛行中のF/A-18から103機の自律ドローン編隊射出に成功,” “ドローンによる医薬品配送 米国3州で認可か?,” “アマゾン初のドローン配達、利用可能なのは近所の二人だけ”)


転載元(MIT Technology Review)の記事へ

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