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海面上昇対策で、ニューヨークのビル最上階に非常用発電機

2017年01月31日 02時53分更新

文●Jamie Condliffe

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米国北東部の沿岸部では、2100年までに海面が著しく上昇する可能性がある。ニューヨーク市はすでに準備を始めている。

海面上昇による災害発生が米国の沿岸部では現実味を帯びており、ニューヨーク市のように低地で人口が密集する地域は、建造環境(土地や自然、都市基盤、文化などが一体になった、建築物の環境のこと、社会資本)の手法を見直そうとしている。

米国海洋大気庁(NOAA)の先週のレポートは、米国の沿岸部で今後も確実に海面上昇が続くと警告している。最悪の場合、米国の一部地域では2100年までに海面が約2.4m上昇するという。しかも、NOAAの海洋学者ウィリアム・スウィートはCBSニュースで「バスタブ(浴槽)の水のような増えるのではなく(中略)米国北東部の海面上昇はもっと速いと予想されます」と述べた。

特にニューヨーク市は、低地にも関わらず、非常に高価な不動産が多く、深刻な問題に直面している。2012年にハリケーン「サンディー」で大被害を受けて以来、ニューヨーク市は海からの災害を防ぐために野心的な計画を検討している。たとえばマンハッタン周辺では、長く連なる人工の島や巨大な防潮壁が、デンマークの建築事務所「ビャルケ・インゲルス・グループ」により設計されている。

海面上昇の脅威によって、もっと基本的なレベルの変化も起こっている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、将来の洪水のリスクは、市内の建物の設計方法を変えつつあるという。たとえばビルの最上階にはペントハウス(各ビルの最上階にある高級物件)の代わりに、洪水の被害を受けないために非常用発電機を設置し、災害時には電気を供給して居住者が1週間はとどまれるようにしている。特別な排水システムによって施設内の水を排出したり、地下部を洪水に耐える材料で建設したりする建物もある。

一方、カーブドの記事によれば、こうした構想はマンハッタン島の外でも進行中だという。クイーンズ地区のブロードチャンネル島(ケネディ国際空港の南側)では、通りの高さを上げて、歩道と車道を近くのジャマイカ湾の水面に対し、従来よりも高くしようとしている。クイーンズ地区のブリージー・ポイントでは、洪水対策として、基礎を高くして新居を建築している。

こうした対策がすべて失敗した場合は、逆に海を利用すればいい。フランス領ポリネシアの政府は先日、海上に浮かぶ島の都市の建設に合意した。この構想はシーステディング研究所が長く研究を続けてきた。 海に浮かぶ小さな構造物に、再生可能エネルギーと持続可能な水耕法(養殖)を組み合わせ、住民が海と調和しながら自給自足できるアイデアだ。

しかしニューヨーク市のような大都市を海に浮かべるわけにはいかない。今すべきことは、最悪の事態に備えて計画し、最善を祈ることだ。

(関連記事:CBS News,New York Times, Curbed, “マンハッタン島水没の危機 金融街を守る2つの巨大計画,” “海面上昇でNYは水没確実 オランダ人に対策を聞こう”)


転載元(MIT Technology Review)の記事へ

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