2016年10月、キングジムさんが『デジタルメモ 「ポメラ」DM200』を発表した。すでに多くの方がご存じのように、テキスト入力に特化した「ポメラ」シリーズ6作目となる最新モデルだ。
この時、その「ポメラ」DM200の発表会が開催されたのだが、あるツイートが話題になった。その内容は以下のもので、驚くべき内容だ。
新型ポメラ。これで5,000万円を二、三年で稼げそう。
— 芝村裕吏 (@siva_yuri) 2016年10月4日
芝村裕吏氏は、最新作「エレメンタル・ローズ」をはじめ、「マージナル・オペレーション」シリーズ、「セルフ・クラフト・ワールド」シリーズなどの小説で知られる作家さんだ。「刀剣乱舞-ONLINE-」の世界観監修や脚本に参加したゲームデザイナーでもある。古くは「高機動幻想ガンパレード・マーチ」と関わる無名世界観などから追いかけ続けているファンも少なくないはずだ。
過去のツイートも見ると、小説・脚本などの執筆に「ポメラ」シリーズを利用しているヘビーユーザーのようなのだが、はたして「ポメラ」DM200でそんなにも稼げるのだろうか? 作家さんに数千万稼げそうと言わしめる魅力はどんな点なのか? そこが気になり、芝村裕吏氏にインタビューさせていただいたのだ。
「累計で5000万円くらい儲かった! キングジムさん、ありがとう」
—— Twitter上で「新型ポメラ。これで5,000万円を二、三年で稼げそう。」とコメントなさっていますよね。ヘビーユーザーということなので、まずは「ポメラ」シリーズですでにいくら稼いだのか知りたいのですが、教えていただけますか?
芝村裕吏氏(以下、芝村) 「ポメラ」シリーズ累計ですか? まず初号機の「DM10」は面白いガジェットとして、乾電池駆動やモノクロ表示というところを気に入って買ったんですね。このときは仕事に使えるとは考えていなくて、儲けていないです。
「DM10」の後継機「DM20」で1ファイル最大約2万8000文字(最大1000ファイル登録可能)が扱えるようになって、これならと思って仕事に使い始めています。何かの出張の時に使い始めて以来7、8台買っていて、複数年、シリーズ累計でいうと稼がせてもらった金額は5000万円は軽く超えていると思います。単年度でいうと、2015年の1年間で2000万円。2016年もおそらく同じくらいの金額だと思います。小説の執筆でいうと、「ポメラ」が主力です。
—— 1日当たり何文字くらい書いているのでしょう?
芝村 小説を書くときは1ヵ月間で1冊くらい書くんですね。特急仕事だと、3週間ごとに1回締め切りがきちゃいます。3週間で12万文字くらい書くことになって、そのすべてを「ポメラ」で書いています。追い詰められていくと、8週間で2冊上げてくださいという感じになるので、1週間ごとに最低で3万文字、少なくとも1日当たり6000文字くらいです。ものすごく忙しいと、シリーズ5作目の「DM100」が出て以降はローマ字入力からNICOLA(親指シフト配列)に切り替えたりして入力していますね。
ゲームの企画書や紹介文を書いたりなどそのほかの日常業務もこなしているので、さっきの累計5000万円という計算になるのです。
—— なかなか、すごいですね。
芝村 いやー、むしろスゴイのはキングジムさんです。よくぞここまでの素晴らしいハードウェアを出してくれました。本当にありがとうございます! 大感謝ですよ。まさかここまで自分が使うことになろうとは思っていませんでした。
ASCII.jpの読者の皆さんならお分かりと思いますけど、ガジェット好きなのでいろんな製品を渡り歩いたのですね。一方で、「ポメラ」は同じ製品を何度か繰り返して買うということになっています。
—— そんなに「ポメラ」を気に入っているのですか?
芝村 気に入っているというか、仕事の相棒ですね。ほかに、ここまでお金を稼げるツールがないという。ガジェット好きとして買ったのですけど、実用的なアイテムとして使っています。仕事はPCオンリーだったのですけど、いくつかガジェットを触って、「ポメラ」に落ち着いていますね。
小説家の持病で腰痛持ちなのですけど、腰の痛みを和らげるためにソファに寝転びながら、「ポメラ」で1文字でも早く書くみたいなことをやってますよ(笑)。
—— 「ポメラ」シリーズは、先の「DM10」「DM20」以外にも使っていたのですか?
芝村 7台、8台は買っていますね。初代のものは飾って手元にあります。4台目以降は、部屋ごとに置いたりとかして、いまだに使っていますよ。