東芝クライアントソリューションの「dynabook Vシリーズ」は、360度回転する2軸ヒンジを搭載したコンバーチブルタイプの2in1ノートPCであり、東芝のPC開発31年の集大成となる、非常に意欲的な製品だ。
dynabook Vシリーズは、CPUやストレージ容量、顔認証機能の有無などが異なる4モデルが用意されているが、今回は、その中でも最上位となる「dynabook V82」を試用する機会を得たので、レビューしていきたい。
コンバーチブル2in1ながらトップクラスの薄さと軽さを実現
dynabook Vシリーズは、液晶のヒンジが360度回転する構造になっているため、用途に応じてさまざまなスタイルで利用できることが特徴だ。
ノートPCスタイルは、通常のクラムシェル型ノートPCと同じように使うスタイルであり、キーボードで入力する場合に向いている。フラットスタイルは、液晶を180度開いてキーボードを含めて一枚の板のようにして使うスタイルで、ペンとキーボードを併用して文書を作成する際に便利だ。
さらに、液晶を360度回転させてキーボードの反対側まで折り返すと、タブレットスタイルになる。タブレットスタイル時は裏側にキーボードがくるが、キーボードは無効になるので、誤入力の心配はない。
コンバーチブルタイプの2in1は、着脱式の2in1に比べると重くなりがちだが、dynabook Vシリーズでは、10層基板の採用や独自の高密度実装技術により、dynabook KIRAから基板面積を14%縮小。本体サイズは幅299×奥行き219×高さ15.4mm、重量は約1099gと、スリムで軽いボディを実現していることも魅力だ。
ボディには軽くて丈夫なマグネシウム合金が採用されているほか、液晶の保護ガラスとしてCorningの強化ガラス「Gorilla Glass 4」が採用されており、傷や衝撃にも強い。実際に持ってみたが、単に軽いだけでなく、剛性感も高いため、安心して持ち歩けるという印象を受けた。デザインや表面の仕上げも洗練されており、ラグジュアリーな雰囲気を醸し出している。
CPUとして最新の第7世代Core i7を搭載、OSはAnniversary Update適用済み
dynabook VシリーズはPCとしての基本性能も非常に高い。今回試用した最上位のdynabook V82では、CPUとしてCore i7-7500Uが搭載されている。Core i7-7500Uは、開発コードネームKabylakeと呼ばれていた最新CPUであり、定格動作クロックは2.7GHzだが、自動オーバークロック機能のTurboBoostテクノロジーを搭載しており、最大3.5GHzまでクロックが向上する。
薄さや軽さを重視した2in1では、CPUとして消費電力が小さいCore Mを搭載する製品が多いが、Core Mは動作クロックがCore iに比べて低く、パフォーマンスはCore iには及ばない。文書の作成やWebブラウズ程度なら、Core Mでも性能不足を感じることはほとんどないが、Core i7を搭載したdynabook V82なら、動画編集などの作業も快適に行える。
メモリは8GBで、こちらも必要にして十分な容量である。ストレージとしては、SATA接続の東芝製512GB SSDを搭載している。ハイエンドモデルでは、より高速なPCIe/NVMe対応のSSDを搭載した製品も増えているので、従来のSATA接続のSSDを搭載しているのはやや残念だ。
とはいえ、低価格な2in1に搭載されているeMMCに比べると遙かに高速であり、実際の使用感も十分に快適であった。負荷がかかると、ファンの回転数が上がり、多少騒音が気になることがあるが、一般的な利用ではファンの回転数が上がりっぱなしになることは少ないだろう。
また、OSとして最新のAnniversary Update適用済みのWindows 10 Home 64bitが搭載されていることもポイントだ。もちろん、Anniversary Updateが適用されていなくても、自分で適用すれば同等になるわけだが、アップデートには結構時間がかかるので、最初から適用されているほうが手間が省ける。