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Google表示は結局どうやって上がるのか? 徹底検証するための5つのステップ

2016年12月06日 23時00分更新

文●Greg Snow-Wasserman

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キュレーションサイトによる「SEOハック」が問題になっていますが、真っ当に運営しているサイトをきちんと上位に表示してもらいたいと考えたときに、何をしたらいいのでしょうか。5つのステップでテストする方法を解説します。

デジタルマーケティングに関するほかの多くのトピックと同様、SEOのガイド、チェックリスト、ハウツーに関する記事では、範囲はさまざまですがSEOテストについて説明したものが非常に多くあります。Webサイトになにか変更を加えるときは、どのようなものでもきちんとテストしなければならないからです。一番大きく影響する最適化はどれかと、いろいろな最適化パターンを常にテストしなければなりません。目的がなにであれ、テストはデジタルマーケティングにとって欠かせない要素なのです。

しかし、SEOにとって「テスト」とは実際にはなにを意味するのでしょうか。

マーケターにとってはありがたいことですが、ペイドマーケティングではかなり簡単にテストができます。広告やランディングページのスプリットテストを実行したり、変更が費用対効果に直結しているかを調べたりできるからです。

悲しいことに、検索ランキングでの順位上昇を狙うSEOにとって、検索エンジンはまさにブラックボックスです。各サイトの相互関連や検索語でランキングをつけているからです。検索順位が上がったのは新しいタイトルタグを使ったからなのか、競合がリンクをお金で釣ってペナルティを受けたからなのかは分からないのです。

ただ、ラッキーな部分もあります。記事で説明するSEOテストの5つのステップに従えば、それぞれの要素を個別にテストしたり、変更箇所の効果をチェックしたり、さらに検索順位が上がった場合への最適化ができるのです。

Step 1 テストの対象を正しく選ぶ

どのようなSEOテストあっても、正しいテスト対象の選択から始めなくてはいけません。とはいえ、一番大事なWebページから始めるのは嫌なものです。たとえば、検索回数が高く、競合がとても多いキーワードに対してすでにそれなりの順位を確立しているホームページです。更新後なにも改善が見られなかった場合、テストで失った検索順位を取り戻すのは大変だからです。

検索をするユーザーとその検索意図が同一、あるいはほとんど同じにするためにも、SEO戦略とキーワード研究を見直すところから始めなくてはなりません。

通常、テストに使うべきキーワードとして最適なものは、検索結果の20位または30位にランクインしています。検索順位が30位以下の場合、正確なデータセットを取得するには変動率が高すぎます。1日で何位かランクアップするけれど次の日には逆戻りといった具合では、データの意味はありません。また、キーワード検索をしたときに上位7位か8位につけているWebページのテストは避けてください。というのは、ある要素にちょっとだけ一度変更を加えただけでは、検索順位上位5位には入れないからです。検索順位の最高位レベルに来ているWebサイトのほとんどはリンクを多く獲得しており、その部分はコントロールできず、どのような最適化をしてもかなわないのです。

テスト対象として大事なのは検索順位の安定性だけではありません。テスト環境、SERPについても考えなくてはなりません。Google Search Consoleの検索アナリティクスをチェックし、検索順位が長期間安定しているキーワードを見つけてください。

Google Search Console stable ranking

ランディングページの検索順位の幅が大きすぎたり、検索回数を予測できないキーワードは使わないようにしてください。

Google Search Console volatile ranking

グーグルは最近、キーワードプランナーツールで表示する検索回数データを絞ってしまったのが悲しいところです。しかし、同時に良いニュースもあります。WooRankのSERPチェッカーツールを使えば、一定の期間のキーワードの動きの追跡や検索回数のチェックができます。

WooRankのアカウントを持っていないなら、このプロセスを自分でやるという手もあります。グーグルの広告プレビューツールを使ってターゲット地域や言語、グーグルのドメインを設定し、実際にターゲットキーワードを使って検索して、最初のページ結果を注意深く見守ります。広告プレビューツールでは上位50位までしか見られないので、必要であれば同じく無料ツールのisearchfromを使ってください。これを数日間、本格的な分析が必要であれば数週間続け、検索結果に表示されたWebページの動きを追います。SERPの変動率が高い場合、通常はコントロールや排除が不可能な外部からの圧力がかかっているということです。そしてフィーチャー・スニペットの有無も確認してください。SERPにグーグルのアンサーボックスがあると、検索順位がめちゃくちゃにされることがあるからです。

Google Search Consoleの検索アナリティクスレポートでも、過去90日間のキーワードの動き(または、前期の7日間あるいは28日間と比較した動き)を追跡できます。自分のキーワードだけが含まれるようにフィルターをかけたら、掲載順位のチェックボックスをクリックし、順位が一定の間どのように動いているのかチェックします。また、特定の国からのクエリやデバイス、または特定のWebページの検索順位だけを含むようなフィルター設定もできます。

Google Search Console Search Analytics

候補のリンク監査をさっとしたら、量・質ともにリンクプロフィールが似ているWebページを選びます。各テストの対象すべてのコンテンツ、検索順位、トラフィック、リンクプロフィールが似ているのが理想です。

編集するWebページを見つけるというだけで、これだけの作業をしなければならないことには理由があります。なぜなら、SEOの本当のスプリットテストはできないからです。本当のスプリットテストでは、ランディングページの完全なコピーを作成したり、1つだけ変更して実行したりできます。しかし、コンテンツを複製すると2番目のWebページがインデックスさえされず、検索順位がオリジナルのWebページよりはるかに劣ることがあるため、不可能なのです。さらに、リンクプロフィールをそっくりそのまま複製しようとすると突然立ち消えになることがほとんどで、どちらのWebページもランクインしないという結果になってしまいます(グーグルから手動ペナルティを受け、検索順位が下がることもあります)。

Step 2 テストグループをはっきりと作る

テスト対象のリストができ上がったら、なにを管理し、なにを実験用に使うのか決めていきます。各グループのWebページ数に決まりはありませんが、対象が多ければ多いほど分析の信憑性が高まることをはしっかりと覚えておいてください。

対象のWebページをランダマイズしていくことから始めます。先にも書いたように、Webページにまったく同じものはないのでとても大切です。対象をテストグループに割り当てる際、知らず知らずのうちに偏見によってグループ分類が乱れてしまうことがあります。特定の戦略や最適化のテスト中に選ぶべきものが多すぎると、たとえば、映像など個人的に好きなコンテンツに偏ってしまう可能性があります。そこで、テスト対象のランダマイズに最適な方法として勧められるのが、それぞれに数字または文字を割り当て、ランダマイザーを使って各Webページを変数グループに当てていく方法です。

Randomly assign subjects to a group

Step 3 テストを実行する

変更を加えたりその効果をチェックしたりする段階になります。テストを実行するには、「2標本T検定」を使うのがベストです。もっと分かりやすく説明すると、2標本T検定とは2つのグループの間の違いが重要なものか、それとも偶然によるものかを計算する手段です。自分のキーワードを<H1>タグに使うなどの変数は、たとえば、次のようになります。

  1. Webページの平常時10日間の検索順位と平均順位の計算から始める。この例では、<H1>タグにキーワードが入っているWebページ向けとなる(成功事例として確立されているものだが、例としては非常に簡略化されたものであることに注意)。加えた変更が功を奏すまで時間が必要になり、平均状態とテスト結果を比較したいので、この10日間のデータはとても大切だ
  2. 変更を加える。このケースでは、キーワードをヘッダーから取り出す。そのあと、GoogleのキャッシュにWebページの新バージョンが表示されてくるまで待つ。WebページをGoogle検索してURL横の緑色の下向き矢印をクリックし、キャッシュをクリックする(またはGoogle検索オペレーターのキャッシュ:website.com/pageを使う)。Googleが更新されたWebページをクロールしたこと、そして検索結果に影響を及ぼせることが分かるので、新しいWebページがキャッシュされるまで待つのは重要なことだ。
    Check Google cache新バージョンがキャッシュに表示されたら、10日間稼働させ、検索順位での平均値を記録する
  3. <H1>タグコンテンツにキーワードを加え直す。再度、更新されたWebページがキャッシュされるまで待ち、それから10日間稼働させ、検索順位での平均値を記録する
  4. <H1>タグから再度キーワードを取り除いてキャッシュの更新を待ち、10日間稼働させる。Google Search Console上での毎日の平均順位も記録する
  5. 計算する

Step 4 計算・比較する

「10日間」という時間が大事なのは、ヘッダータグでキーワードを使うと検索順位が上がるのかどうか確認すべく、使えるサンプルサイズを集めるためです。キーワード内から削除したり戻したりを繰り返すことにより、突然リンク数が増えたり競合の順位が下がったりなど、検索順位に影響を及ぼす可能性のある外部圧力をコントロールしていきます。

ここでの数学的ステップでは、テスト結果によって重大な変化が起こりうるかを探り出します。t検定計算ツールを使い、2つのデータセットの違いが大きいかどうか計算してください。コントロールグループのデータ(ヘッダータグのキーワード)を1つのカラムに、変数グループのデータ(ヘッダータグにキーワードが入っていないもの)を別のカラムに入力し、「Calculate now(計算する)」をクリックします。

この結果で見たいのは「確信間隔」です。2つの数値が近い場合には大した間隔がありません。逆に大きく違うなら、変化が偶然の変動によるものとは考えにくくなります。数値がマイナスなら、変更により検索順位が下がったということです。このケースではヘッダータグのないキーワードはSEOに悪影響を及ぼすことが分かります。

計算は自分でもできますが、私は複雑な計算をしたくないためコンテンツマーケティングを活用しました。

Step 5 繰り返す

科学的なアプローチでテストをする目的は結果を再現することです。SEOそのものは科学ではありませんが、最善を尽くさなければなりません。最後に最初のテストの結論をはっきりさせるのに、Step2で作成したWebページの第2グループを使って同じテストを実行してください。グループの無作為化がほかの変数からの影響を抹消する、あるいは少なくとも減らすのが理想ですが、確認しておいて損はありません。結論を複数のグループでテストすれば、コンテンツのタイプ、リンクプロフィール、キーワードタイプが異なるWebページにも応用できます。

また、変更による影響力の違いをテストするためにも使えます。ヘッダータグにキーワードを1つ加えると検索順位が上がるのなら、2つ加えればその勢いが2倍になるのでしょうか。それではスパムのようになってしまうのでたぶんありえないでしょうが、テストグループを使って実験しても良いかもしれません。

最後に

これまで説明してきたことで、SEO関連の記事で最適化のテスト・再テストについてのチェックリストを目にしたとき、それがどういう意味かしっかり理解できます。テストプロセスが長いので1人しかいないチームでは大仕事ですが、Webサイトの最適化をして検索順位を上げたいときに使えるデータを得られます。

※本記事はWooRankのSEOシリーズの1つです。SitePointでの記事公開に協力してくれたパートナーへのサポートに感謝します。

(原文:How to Run an SEO Test in 5 Steps

[翻訳:加藤由佳/編集:Livit

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