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VRおじさんの「週刊VRかわら版」 第33回

12月6日Oculus Touch発売

ついに発売のOculus Touchとは? 一番の魅力は「手の再現」

2016年11月27日 18時04分更新

文● 広田 稔 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

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VR業界の動向に日本一詳しいと自負するエヴァンジェリスト「VRおじさん」が、今週のVR界の出来事をお知らせします!

 どもども! VRおじさんことPANORAの広田です。今週のVR業界といえば、なんといっても「PostPet VR」の制作発表でしょう。黎明期からインターネットを触っている人なら、懐かしい存在であるメールソフトのポストペットがクラウドファンディングで出資を募ってVR対応を目指す——。V3時代のデータが残っていて体験会に持っていけば昔のデータに「会える」という特典も用意されていたりして、なかなかの胸熱な展開です。

 というわけで、今週は199ドルで12月6日に発売を予定しているOculus Rift用のモーションコントローラー「Oculus Touch」について、その魅力を紹介していきます。


「いる」から「触れる」に

 Oculus Riftに始まって、HTC Vive、PlayStation VRとハイエンドのコンシューマーVR機器が発売されて来た2016年。その「VR元年」もいよいよ終わりが迫ってきたこのタイミングで、最後の大物とも言えるOculus Touchが、来週の12月6日に発売を迎えます。

 VR向けのモーションコントローラーといえば、HTC Viveでは標準で、PlayStationでは別売で「PlayStation Move モーションコントローラー」を用意していましたが、Oculus Riftではカバーできていませんでした。

 なぜモーションコントローラーがVRに必要かというと、以前にもこの連載でふれたように、VRヘッドマウントディスプレーをかぶって「映像の中にいる」という感覚が高まると、目の前のものに手で触れないのが逆に不自然になってしまうわけです。そこでハンドコントローラーがあれば、ひょいっとつまんだり、なでたり、つかんで投げつけたりといったことが可能になるわけです。

 Oculus Riftは今までXboxのゲームコントローラーを使っており、コンテンツによっては直感的に操作できずに歯がゆい思いをする場面もありました。特にコンシューマーVRがまだ珍しい現段階では、CGのものに触ったりできることが「かなり新しい」と印象付けられることもあって、日本国内のイベント展示などでは最初からモーションコントローラーが用意されているHTC Viveを採用する例も目立って来ています。

 Oculus Touchの発売はもともと2016年の上半期予定でしたが後半に延期され、今回ようやく「そんな殺伐としたスレ(?)に救世主が!」という感じでリリースを迎えたわけです。


手を使うシチュエーションで体験の質が向上

 さて、実はひとくちにモーションコントローラーといっても、Oculus Touchは「手の再現」が可能という点で大きく異なります。

 HTC ViveやPS VRではスティック型で握るように持ちますが、Oculus Touchは半球形の中に手を通します。そして親指部分にアナログスティックと2つのボタン(とメニューボタン)、人差し指と中指にそれぞれ1つずつのトリガーを用意しています。さらにアナログスティックとトリガーの表面にはセンサーが付いており、指が触ったかどうかという判定まで取っています。

 この仕様は、指先の細かな表現で差が出てきます。例えば、「ToyBox」というデモでは、プレイヤー2人が同じ空間に入って、積み木やフィギュアなどのおもちゃを手にとってコミュニケーションしながら遊べます。その際、親指と人差し指でものをつまめるのが感覚的に合っていますし、接触判定を生かしてピースやサムズアップなどのハンドジェスチャーが使えるのもメリットです。



 「VR SPORTS CHALLENGE」というOculus Touch対応ゲームでは、アイスホッケーの乱闘シーンが出てきます。この拳を握りしめてパンチを繰り出し、目の前の相手をブチのめすというシチュエーションでは、まさにOculus Touchがそのままの感覚でした。そうした手の再現を生かせるシチュエーションでは、スティック型よりもOculus Touchのほうがピッタリですね。

 一方で、剣を握って切りつけたり、ペンライトを振って誰かを応援したりといった道具を持つような場面では、スティック型のほうが持っている感覚が強いです。要するに、目的に似た形状のほうがその感覚を引き起こしやすいというわけで、これを突き詰めていけば、ガンシューティングはガンコンを使った方が……と、アプリの数だけコントローラーの形状が生まれてきてしまうことになるわけですが、それはともかく同じアプリでも標準コントローラーの形状が異なるだけでVR体験の質が変わってくるというのは覚えておきたいところです。

 もちろん、他社もコントローラーによって体感が異なることはわかっていて、以前取り上げたように、Steamも10月の開発者向けイベントにてグリップ型のコントローラーを披露していました。Manus VRというグローブ型のコントローラーも開発中だったりして、VRの発展に伴ってこの分野の競争も激化していきそうです。

 ともあれ12月6日のOculus Touch発売を受けて、据え置き型VRヘッドマウントディスプレーの情勢も変わってきそうです。マウスコンピューターでは、ローンチ日より直営5店舗にてOculus Touchの体験ステーションを常設するというので、ぜひ触りに行ってみてはいかがでしょう。


著者近影

広田 稔(VRおじさん)

 フリーライター、VRエヴァンジェリスト。パーソナルVRのほか、アップル、niconico、初音ミクなどが専門分野。VRにハマりすぎて360度カメラを使ったVRジャーナリズムを志し、2013年に日本にVRを広めるために専門ウェブメディア「PANORA」を設立。「VRまつり」や「Tokyo VR Meetup」(Tokyo VR Startupsとの共催)などのVR系イベントも手がけている。


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