「モバイルファーストから、A.I.ファーストへ」と提唱する Google が10月に発表した同社製品の1つ、Google Home。簡単に説明すると、音声でコンピューターと直感的なやりとりをして、音楽再生、ニュースの取得、タクシー手配などさまざまなことを実現可能にする音声アシスタントデバイスです。
1990年代から2000年代まで私たちはマウスとキーボード、そしてスクリーンを見ながらインターネットにアクセスしてきました。モバイルファーストの時代では、マウスとキーボードの操作が指に置き換わりました。そして A.I.ファーストの世界では、職場、自宅、車内、外出先など、さまざまな場面で、自然かつ直感的な方法でインテリジェンスなアシスタントの支援を受けることが可能になります。
But in the next 10 years, we will shift to a world that is AI-first, a world where computing becomes universally available — be it at home, at work, in the car, or on the go — and interacting with all of these surfaces becomes much more natural and intuitive, and above all, more intelligent.[Sundar Pichai, CEO, Google, A personal Google, just for you]
米国出張中のタイミングで Google Home が店頭に並び始めたので、購入して現地ホテルで利用してみました。対話型AI「Google Assistant」を試してみたかったのです。ホテルの部屋で試したので写真も暗いです。
近所の量販店チェーン・Targetで購入。オンラインから店頭受け取りで注文、前払いをして在庫を取っておいてもらいました。「準備ができたよ」のメールが届いたので店舗に足を運びましたが、日本のヨドバシカメラのように本人確認後にカウンターでそのまま受け取りができると思いきや、スタッフが商品棚まで取りにいって5分ほど待たされました。準備できてないじゃん。
Google Home はペットボトル 500ml 位の高さで割と小さいです。ボタン類は特になく、電源ケーブルを挿すための端子が台座のところに1つあるのみ。
Google Home 本体のほか、1枚の簡易なセットアップマニュアルと、専用アプリのダウンロード案内が入っているのみ。後述するように、設定は Googleアカウントとの紐付けと Wi-Fi 設定のみなのでマニュアル不要なほど簡単です。
電源を入れたところ。カラフルなランプが点灯します。アシスタント起動のコマンド "OK, Google" が認識されたときに、このランプが点灯するようになります。
Google Home のアプリ(Android/iOS)をインストールして、使用する Google アカウントの登録、Google Home の接続する Wi-Fi 設定をすると基本設定は完了です。Wi-Fi も、Android端末に登録されている Wi-Fi設定を読み込ませることもできます。設定途中で住所を聞いてきますが、スキップして問題ありません。
住所(自宅と職場)情報が必要なのは、天気や交通情報を得るためなのですが、セットアップ途中では日本の住所は一部しか認識しません。たとえば目黒区は「目黒通り」しか選択できません。しかし、セットアップ完了後に自動的に Google Now で認識している住所が登録されますので、たとえば"What's the weather like tomorrow ?" と尋ねれば近辺の予報を教えてくれます。
設定完了後は、チュートリアルとして、サンプルの英文が画面に表示されます。音楽を再生する、停止する、などです。
以下、気がついたこと。
- 日本のGoogleアカウント(住所および地域が日本に設定されているアカウントという意味)でも利用できます。
- 自宅のリビングなどに設置するデバイスですが、複数人で使用する場合の使用方法は不明。
- 2016年11月現在、対応しているのは英語(米国)のみ。”米語”なので、発音やイントネーションもきちんと発音しないとまったく認識してくれません。日本語の調子で "Google"(ぐーぐる)と 発音しても、アシスタント起動のための "ok google" すら認識してもらえません。Google は [goo-guh l] (goo にアクセント)です。発音に自信がない方は、まだ買わないほうがいいです。
- 一方、文法の間違いは前後や文全体から適当に補正してくれるので気にしなくても大丈夫、さすが Google。
- 出荷されたばかりなので、連携登録可能なサービスは限定されています。音楽再生では Google Play Music、Spotify、YouTube Music など。タクシー配車の Uber アカウントも登録可能で、音声でタクシー手配ができます。近未来的。
- 「最新のニュースちょうだい」というと、ロイターや USA Today など連携するニュースメディア(アプリで設定可能)から最新ニュースを読み上げてくれます。自動音声は少し不自然なところもありますが,ニュース程度なら気になりません。
- 情報取得(つまりGoogle検索を利用するような用途)は、PC やモバイル版の会話型検索(Conversational Search)とは少し異なります。搭載AI が Google Assistant だからというのもあるかもしれませんが、全体的に得られる回答がコンパクトにまとめられているようです。たとえば「米大統領は誰?(2016年11月8日時点での質問)」と聞くと、Google Now(モバイル)はオバマ大統領が~~と説明が続きますが、Google Assistant は単に「オバマ大統領だよ」で終わります。
Apple Siri や Microsoft Cortana、Google Now と決定的に違うことは、コンピューターのために正確に発話してあげようという意識が不要なほどに、きちんと理解してくれることです。近くのテレビを視聴しているという騒音がある中で、普通に人に話しかけるような感覚で質問しても Google Assistant は理解して回答してくれます。確かに自然かつ直感的なインターフェースです。
今後、デリバリーサービスや宿泊予約など、さまざまなサービスが Google Home に対応してアシスタント的に音声で取引ができるようになると世界が変わりそうです。
ウェブマスター視点でいえば、こうした A.I.ファーストの世界でユーザーとのコミュニケーションを円滑に行うためには、構造化データがますます重要になってくるのではないでしょうか。