「僕らは新曲をどんどん書いているのだから、新曲だってどんどん演奏される仕組みを作っていかないといけない」
そう語るのは、ゲーム音楽の制作会社でありながらゲーム音楽のコンサートやイベントも多数主催している株式会社ノイジークローク代表の坂本英城氏。
2014年には「沖縄ゲームタクト2014」、2015年には「音霊 OTODAMA SEA STUDIO 2015 ビキニ&トランクス ~汗だく!ゲーム音楽ダンスナイト!~」と、ゲーム音楽作曲者自らがステージに立ってゲーム音楽を披露する企画を立ち上げ、ファンを楽しませています。
昨年8月26日には、ゲーム音楽作曲者とプロの吹奏楽団がタッグを組み、作曲者本人が編曲・監修だけでなく指揮や演奏で参加するまったく新しい吹奏楽エンターテイメント「あそぶらす第1話」が開催されました。 この演奏会に密着しましたので、本番直前のリハーサルで実施したインタビューや本番当日のレポートを写真を交えながら、特大ボリュームでお届けします!
「あそぶらす 第1話」本番直前リハーサル
豪華作曲陣&音楽監督インタビュー!
――本日初めて奏者全員が揃ってのリハーサルだったそうですが、リハーサルを終えての感想をお願いいたします。
松元:ゲーム音楽については、すばらしい作品を色々と知っているつもりだったんですけど、今日改めて「うわ、こんなにかっこいい曲もあるんだ」、「こんなにステキな曲もあるんだ」と感じました。自分でもこんなに心を動かされるなんて、ちょっとびっくりしたぐらいです。 やっぱり吹奏楽とゲーム音楽の相性っていいんだなって思いましたし、そのことをより多くの人に知って欲しいなって思いました。
――今回の「あそぶらす」が初演になる楽曲が多いと伺っています。改めてゲーム音楽を指揮なさっていかがでしたか?
松元:携帯やゲーム機を通して聞いていた曲を生の音で聞いて、新しいクラシック作品を聞いたような思いになりました。
モーツァルトならモーツァルト、ブラームスならブラームスで、それぞれの作風というものがあるわけですよね。僕は普段クラシックの専門家として、モーツァルトやブラームスなどの作曲者とその作品・作風に向き合っているわけですが、今日のリハーサルでは、作曲者の方と実際にお会いして、その方の作風というか、個性を生の音で聞けたことが僕はすごく面白かったし、わくわくしました。
――今日拝見したリハーサルでは、作曲家と演奏家が互いにより良い作品を生み出していこうという、一丸となった熱意をとても感じました。
松元:僕は仕事で演奏をしてはいますが、やはり根底にあるのは「演奏している音楽の良さを多くの人に伝えたい」ということです。
今回はノイジークロークさんを中心に、ゲーム音楽の作曲家の方々とご一緒させていただいて、ゲーム音楽のすばらしさを伝えられたら、と思っていますし、作曲家のみなさんも同じ思いでいてくださっているんだな、ということが伝わってきて、僕もすごく嬉しかったです。
ゲーム音楽で、ステレオタイプの「吹奏楽」のイメージを変えたい
――前回のインタビューで「The Final Time Traveler」が「あそぶらす」を開催するきっかけになったとお伺いしました。
そして、今回は2015年のバージョンからさらに編曲したオリジナルアレンジで演奏されるともお伺いしましたが、具体的にどのように変わったのか教えてください。
坂本:2015年のバージョンと一番違うのは、ピアノが入ったことです。前半部分は2015年のものとほとんど変わっていないのですが、間奏から後ろの部分にピアノが入りました。
あと、演奏の後半、三拍子の部分がちょっとマーチングっぽかったところを変えて、原曲に近くしました。2015年のものの編曲は原曲を崩しすぎちゃったというか、やりすぎてしまった気がしていて。なので、今年(2016年)はクラシカルにメロディが流れるような編曲になっています。
――ピアノが演奏に加わったきっかけは何ですか?
坂本:今回は音楽監督の松元さんに「坂本さんにピアノを弾いて欲しい」とご依頼いただきました。その依頼を受けて、後半の編曲が原曲に近いかたちになっています。
ただ、僕、オーケストラや吹奏楽に加わって、誰かの指揮でピアノを弾くっていうのが初めてなんですよ。だから指揮と演奏のタイミングを合わせる方法がまったくわかんなくて。……みんな何を見て合わせているんだろう。
いとう:それは指揮を見て合わせてるんじゃないんですか?(笑)
坂本:いやでも、こうやってるここ(指揮棒を振る動作)で音を出すのかと思いきや、溜める場合はこんなこと(指揮棒を振る動作)やった後、1秒ぐらいおいてから「ジャーン」って音が出ることあるじゃん。
いとう:ある。あるある。
坂本:なんで溜めるところでみんな音が合うの? って不思議で。僕だけ指揮棒の振りに合わせて弾くから、一人だけ音が早く出てるっていうのが何回もあって。だから様子を見ながら、みんなが音を出すタイミングに合わせて弾こうとしてると、「坂本さん音小さいです」って指揮の松元さんに言われて。「どうしたらいいんだ!」って(笑)。
指揮される体験を、もっとしなくちゃいけませんね。自分が指揮をするにしても、作曲をするにしても、「指揮される体験」は大事だと改めて思いました。
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