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Webマスターの多くが勘違いしている!? SEOの4つの基本戦略とは?

2016年10月25日 08時00分更新

文●Greg Snow-Wasserman

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SEOはデジタルマーケティングのもっとも基本となる施策なのに、「何となく」でSEO会社に丸投げしていませんか? 単なる集客だけでなく、マーケティングゴールを達成するために4つのステップに沿って準備を進めましょう。

検索エンジンへの最適化は昔から企業にとって重要で不可欠なマーケティング戦略と考えられてきました。ほとんどの企業経営者はWebサイトにカスタマーになり得る人たちを誘導するためには、SEOが必要だと理解してます。しかし、多くのWebサイトオーナーが勘違いをしています。基本となるしっかりとしたSEO戦略を立てずにページを最適化しても望ましい結果にはなりません。

しかし、この記事で紹介する4つの手順に従えば、効果的なSEO対策を講じられます。具体的な結果として、Webサイトへのトラフィックの増加だけでなく、確実にマーケティングの目標としているターゲットユーザーにWebサイトを閲覧してもらえるようになります。

1. 目標設定とターゲートカスタマーの特定

なにを「成功」とするのか?

SEO対策の第1の手順はなにを「成功」とするのかによって変わります。SEO対策なので、通常は「検索結果で上位に入る」ことを第1に思いつきますが、「なぜ検索結果で上位に入りたいのか」を明確にすることで、目標がはっきりします。SEO対策の基本となる目標には2種類あります。

  • ブランド化:可能な限り多くの人にブランドを認知させ、ブランドとユーザーの間に良い関係を築くことで企業の認知度を向上させること。成功したかどうかは、トラフィックやユーザーエンゲージメントが向上したかどうかだ。指標となるのは、インプレッション、クリックスルー率(CTR)、セッション中に閲覧されたページ数、直帰率の減少度合いになる。ブランドの認知度を上げるために最適化をしても、直接売上に結びつかないかもしれないが、ブランドを覚えてもらい、買い物をするときにカスタマーのリピート率が高くなる
  • コンバージョン:「コンバージョン」とはWebサイト上でカスタマーが取る行動を指す。購入、メーリングリストの購読、アプリのダウンロードなどが挙げられる。コンバージョンの目標が成功かどうかを判断するのは簡単で、コンバージョンの合計数またはコンバージョン率が増加しているかを見るだけだ。デジタルマーケティングにおいてこの指標はもっとも一般的なものである

どちらかを選ぶのではありません。多くの検索数を稼ぎ検索順位の上位に入りやすくなる一方でコンバージョン率の低いキーワードと、検索数は稼げないがコンバージョン率の非常に高いキーワードを使う、2つのSEO対策を組み合わせます。

ターゲットカスタマーを決定

次は、見込み客の特定です。最適な方法はカスタマーのイメージを作り上げることです(マーケティングペルソナとしても知られています)。カスタマーのペルソナはカスタマーを総称するイメージです。どのようなカスタマーが自社の製品に興味を示し、利用しているかが分かるようになります。カスタマーのペルソナを作り上げるにはGoogleアナリティクスが最適です。

Googleアナリティクスの概略情報を見たあとに、詳しい情報を見ます。Googleアナリティクスの「Demographics」の下の「Overview」で、Webサイト訪問者の内訳が年齢や性別が表示されます。

Google Analytics age and gender

大まかな情報を見ると、自社のターゲットカスタマーが25〜34歳の男性であることが分かります。次に、興味に関するレポートを確認し、詳細な情報を得ます。そうすると、カスタマーがどの製品に興味を持っているか、Webサイトを訪問したときになにを購入しようとしているかが分かります。

もっと詳細な情報を得たいと考えているなら、カスタマーにインタビューをしたり、Webサイト上のフォームを介して個人情報を入手します。必要な情報は業種によって異なりますが、以下に示します。

  • 肩書き、役職、責任
  • 市、州または国
  • 業種
  • 希望するコンタクト方法
  • 会社の規模
  • 家系や家柄

2. 適切なキーワードを見つける

SEO対策の目標によってターゲットとするキーワードの選択が変わります。グーグルのハミングバードアップデートがあったので、人びとの目的を達成することを目指しSEO対策を最適化することを勧めます。商品の購入が目的の場合もありますが、多くは情報の入手や疑問点の解消を目的として検索エンジンを使っています。検索エンジンの利用法は主に3つあります。

  • 情報を検索する:検索者はなにかの購入を考えているわけではなく、コンバージョンのプロセスの入口にいるにすぎない。情報を検索する場合、「使い方」や「必要性」「どこで見つけられるか」「とはなにか」などの単語やフレーズが使われる。検索者がWebサイトにはじめて訪れたからといって、コンバージョン向上の貢献には当てにならない。単に製品が欲しいか必要かを決定する材料にしているだけだ。とはいえ、情報検索のキーワードはオンライン検索の大部分を占めているので、検索者もターゲットとして、あとでコンバージョンに貢献してもらえるようにターゲティングしなおすことを勧める
  • より詳しく調べる:「情報を検索する」と同じように思えるかもしれないが、より詳しく調べようとする検索者はもっと購買プロセスに近い所にいる。ある種の製品またはサービスが必要だとすでに決めており、どれが自分に最適かを決めようとしている。通常、「トップ10」「比較」「ディスカウント」「安い」「口コミ」などの単語やフレーズをキーワードとして使う。これらの単語、特に「ディスカウント」や「安い」などはスパムのように思えるかもしれないが、実際になにかを購入しようとしているユーザーを呼び込む助けとなり、検索者を購入者に変える
  • アクションを起こす:アカウントの作成、ニューズレターの申し込み、問い合わせフォームの入力、購買行為などいずれにしても、これらの人びとは作業を完了するために検索エンジンを使う。検索結果をクリックする場合、作業を完了できるページへ直接アクセスできることを望んでいる。そのため、検索結果からたどりついたページからさらに別のページへの遷移が必要になると、ページから去ってしまい2度とWebサイトを訪問してもらえない可能性が高い。これらのキーワードは検索数は稼げないが、コンバージョン率を飛躍的に上げてくれる

ターゲットとしている理想的なカスタマーのペルソナは、どのコンバージョンファネルにあるのでしょうか?
ブランドの認知度向上とソート・リーダーシップのために自社の産業について調べる人だけを、ターゲットにしたいと考えていますか?
または、作業の大変な部分は人に頼んで、コンバージョン率だけを最適化してもらいたいですか?

これらの問いに正しい答えはありませんが、どれも必要なことです。必要なら、ランディングページを検索者ごとに最適化し、ユーザーを全コンバージョンプロセスに引き込めます。

キーワード調査

SEO対策ではキーワード調査をカテゴリー化します。ペルソナや意図別にキーワードをグループ化すると、全コンバージョンプロセスで個々のカスタマーと継続的な関係を築けます。念のため、着手すべきことは分析です。オーガニック検索トラフィックを詳細に調べ、それぞれのペルソナと作業目的に最適なキーワードを見つけます。ブランド化作業では、インプレッション、CTR、検索結果における平均順位を見ます。GoogleアナリティクスとGoogle Search Consoleのアカウントを同期すると、Google アナリティクスアカウントでこのデータを見られます。

Google Analytics query report

コンバージョンのデータを最大限利用したい場合、コンバージョン率と放棄されたファネルを分析レポートに追加します。

採用したSEO対策の目標と一致した対象ペルソナ別のキーワードをいくつか集めたら、キーワード調査をしてキーワードを増やしていきます。キーワードを増やすために利用できるツールはたくさんあります。キーワードのオーガニックトラフィックを把握するためにキーワードをWooRankのSERP Checkerキーワードツールに入力すると、SERP Checkerは予想月間検索数とキーワード別のWebサイトの現在および過去の検索順位を表示してくれます。

WooRank SERP Checker

さらに、SERP Checkerを使うと、Google AdWordsのキーワード プランナー中の一定のしきい値以下のアカウントに対してGoogleのデータが流れにくくなるのを回避できます。

AdWords Keyword Planner throttling

WooRankを使ってAdvanced Reviewをまだ作成していない場合、Google Search ConsoleのGoogleキーワードプランナーやBingのキーワード調査ツールはどちらも無料で利用できます。厳密にはこれらはPPC調査用のものですが、これらのツールから得られるデータはSEOにも適用できます。

3. WebサイトをSEOに適したものにする

ランディングページはキーワードに基づいて構築し、1つのキーワードトピックごとに1つのランディングページを構築します。密接に関連していない複数のキーワードでヒットするページにするのは非常に難しい場合が多く、ページ上のコンテンツのテーマがキーワードに適合しない場合は逆効果になる可能性があります。こうした理由で、キーワード調査をしすぎないようにしてください。理想を言えば、キーワード数とランディングページ数が製品やカテゴリページ数、さらには各ロケーション数(複数ある場合)、特別割引販売ページ数と一致することが望ましいです。すると、ページが検索結果上で高い順位に入りやすくなり、適したカスタマーにコンテンツを提供するのに役立ちます。

ランディングページを作成する場合、以下の場所にキーワードを入れます。

URL

URLの最初の部分にキーワードを挿入し、どのような種類のコンテンツをページ上で見つけられるかを人や検索エンジンに知らせ、ドメインやカテゴリ、サブカテゴリ、ページの階層を明確にします。キーワードが複数の単語に分かれる場合、単語間にアンダーバーを使用せず(例:like_this)、ハイフンを使います。検索エンジンはハイフンを単語の区切りと解釈しますが、アンダーバーは認識しないからです。つまり、example.com/longtail_keywordをexample.com/longtailkeywordと認識するので、正しいURLを認識するのが難しくなります。

タイトルタグ

検索エンジンはページ情報を判断するのに、ページ属性を表すあらゆる情報の中でもタイトルタグに多くを依存しています。したがって、SEOではこの部分がもっとも重要なものの1つとなります。文字数制限を越えないなら、キーワードを最初の部分に入れてタイトルタグを最適化します。スペースがあり複数のキーワードやローカルSEOのロケーションまたはブランド名を入れたい場合、パイプ文字(|)を使用して区切ります。

タイトルが長すぎると、検索結果では途中で切れて表示されてしまうので、スペースと句読点を含めて60文字以下にまとめます。検索エンジンは、検索順位操作をしようとしても、見抜くことに長けているので、タイトルにキーワードを使いすぎたり、何度も繰り返したりしないでください。

ページのタイトルはページの<head>に示され、正しく反映されると以下のように表示されます。

<title>This is the Title</title>

ヘッダーとサブヘッダー

検索エンジンはヘッダーとサブヘッダーを特に注目してページのトピックを把握しています。タイトルタグの場合と同様で、特に<h1>タグへの関心は高くなっています。<h1>タグはページ上でもっとも重要なヘッダーでページコンテンツのタイトルと見なされる可能性があるので(この意味ではタイトルタグと異なります)、ここにキーワードを入れます。<h2>から<h6>のタグはサブヘッダーでWebサイト訪問者用にコンテンツを作成するために使われます。サブヘッダーはキーワードや意味的に関連した単語や句をページ上で一貫して使用するのに良い場所でもあります。

また、ヘッダータグはページをまとまった構造にし、より簡単に楽しんで利用できるようにすることでページのユーザーエクスペリエンスを向上させます。検索エンジンはページの順位付けをするときにユーザーエクスペリエンスを考慮に入れますので、ヘッダーを使うとSEOにも良い影響になります。

HTML4では実際には1つのページには1つの<h1>タグしか使えません。<h1>タグは1ページに1回だけ使うようにしないと、スパムと見なされるおそれがあるので注意してください。

しかし、HTML 5ならは<article>タグを使ってコンテンツの異なるセクションを表したり、各セクションに独自の<h1>タグを付けられます。HTML 5を使っていない場合や使っているHTMLのバージョンが分からない場合、念のため各ページ上で1つの<h1>タグを使用します。

メタディスクリプション

検索エンジンはメタディスクリプションを検索順位の要因としては使っていませんが、ページのSEOにおいては重要です。検索エンジンはディスクリプションをタイトルタグやURLと組み合わせて検索スニペットを作成します。検索スニペットは検索結果に表示されます。ページの広告掲示板のようなものだと考えてください。「安い」「ディスカウント」「レビュー」「トップ10」などの言葉でコンバージョンを上げることを目標にしているなら、魅力的な単語やフレーズを使用するようにします。

良いメタディスクリプションは、検索順位の要因であるオーガニックCTRを上げるのに役立ちます。一方でメタディスクリプションが悪かったり不正確だと直帰率が上がってしまいます。検索エンジンはページがキーワードに関連しておらず、悪いユーザーエクスペリエンスを提供していると判断し、結果的にWebサイトの検索順位が下がります。

4. 追跡と調整

SEOは常に変化し、継続的に作業が必要です。一度設定したら終わりではありません。検索トラフィックの増減をモニターして経過を追跡し、SEO対策の効果を測ります。なにが効果的でなにが効果的ではないのか。WooRankのweekly email digestを使えばキーワードの効果やトラフィックデータを毎週見られ、SEO対策の効果を常にチェックできます。日や週ごとの効果の変化を見て今後のマーケティングへの取り組みの方法やトレンドが分かります。

WooRank Weekly Email Digest

分析ツールでレポートを作成し、トラフィックだけでなくトラフィックがブランド認知度の向上やコンバージョンの増加などのマーケティングの目標の達成の助けとなっているかを追跡します。ランディングページの直帰率が高い場合、ページのコンテンツがカスタマーのペルソナに合っていない可能性があります。製品ページからのコンバージョンが増加しない場合、末端の販売ファネルでは対象のキーワードが使用されていない可能性があります。しかし、正しい測定手段を使ってデータを追跡して適切な場所に適切な最適化をすれば目標に近づいていくはずです。

※本記事はWooRankのSEOシリーズの1つです。SitePointでの記事公開に協力してくれたパートナーへのサポートに感謝します。

(原文:Create Your SEO Strategy in 4 Steps

[翻訳:中村文也/編集:Livit

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