キングジムの「ポメラ」はデジタルメモです。とにかく文字を入力したいという人向けのガジェットです。その快適さのために、ウェブサイトの閲覧も画像の表示もできませんよ……という割り切りぶりが最大の個性。
キングジムさんにしてみれば「メモだから当然でしょう」ということなのでしょう。ただし画面を開けばすぐに文字が打てる。だからデジタル「メモ」なんですね。電源を切るたびに保存する必要もなく、すぐ書ける。
そのポメラシリーズの最新版が「DM200」になります。
まず、画面は前モデルと比べて40%大きくなりました。7型ワイドTFT液晶ディスプレー(1024×600ドット)で、バックライトも搭載しているので暗い場所でも作業できます。
肝心かなめのキーボードはJIS配列で、キーピッチは17mm、キーの縦は15.5mm。ポイントは一般的なパンタグラフ構造ではなく、キーを支える構造が短く太いV字ギアリンクを採用していること。キーストロークは1.2mmと浅めですが、タイプ音はとても静か。このあたりも文字入力をする人にはうれしいですね。
日本語入力システムには、ポメラ向けに最適化された「ATOK for pomera [Professional]」を搭載しています。従来機と比較して語彙数が約3倍になり、スピーディーで正確な日本語入力を実現したそう。また、フォントは「UD新ゴR」と「UD黎ミンR」を採用。「明鏡国語辞典MX」と「ジーニアス英和辞典MX」「ジーニアス和英辞典MX」に加え、類語辞典の「角川類語新辞典.S」も収録しております。
なにより一番の特徴は無線LANを搭載したこと。IEEE802.11b/g/n(2.4GHz帯)に対応し、ネットに接続できますが……もちろん(?)、ウェブ閲覧やメールの受信などはできません。
Wi-Fiを利用するのは「ポメラSync」と「アップロード」の2つの機能。ポメラSyncはiOSやMacの「メモ」アプリとGmailアカウント経由でコピーする機能。もう一つの「アップロード」では、メールを送信できるものです。
Wi-Fiが利用できるとなれば、ちょっとぐらいウェブブラウジングができてもいいかなとか、メール機能ぐらいあってもいいかなとか、なりそうなもの。しかし、ポメラはあくまでデジタルメモなのだ、余計な機能はいらんわい、ということなのでしょう。その割り切りぶりには感心してしまいます。
忘れてはならないアピールポイントがまだあります。文字キー配列として「親指シフト方式」も選べることです。親指シフトというのは、富士通が同社のワープロ「OASYS」のために開発した独自の文字キー配列。作家やジャーナリストなど文字で仕事をする人たちに支持者が多いといいます。
ATOKという日本語入力の屈指の変換システムに、親指シフトという強い支持層を持つキー配列を搭載した端末。これだけでもポメラがこの世に生を受けた意義があるかもしれません。
まとめましょう。パッと開いてすぐに文章入力ができるのが、ポメラ最大の長所。DM200はそれに加えて、Wi-Fiを利用してテキストデータのやりとりができるようになったのがますます便利なポイントです。見出しと本文を分割表示するアウトライン表示機能も搭載しているので、長めの記事をブログに書いている、あるいは小説やコラムを執筆するのには持ってこいでしょう。
文字入力以外ができないことは、逆にその他の誘惑を断つことにも繋がります。小型でリチウムイオンバッテリーを内蔵し、およそ18時間利用可能。microUSB端子をそなえており、5V1A以上の出力を持つモバイルバッテリーから充電も可能なので、外でも使いやすい。
本体サイズは、およそ幅263×奥行き120×高さ18mm、重量は580g。充電時間は5時間。本体メモリは128MBで、記録メディアとして最大32GBのSDHCカードに対応します。
価格は5万3784円。安くはない、かもしれません。それでも、「とにかく文字を入力する、文章を書く、それに最適化されたガジェットがほしい」というのであれば、まさにファーストチョイスと呼べる製品でしょう。この機会にぜひ。
ちなみに……アスキーストアではテキスト入力に特化した最強のテキスト入力専用マシーン、ポメラDM200の専用収納ケース「DMC5」も販売中。文字入力時のパームレストとしても使用できます。
ポメラを買ったら外に持ち出して使うことが多いだろうなー、とお考えなら、ぜひあわせてご購入を検討くださいませ。4644円です。