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グーグルの仮想クラウドサーバー技術が奮闘したこの夏の出来事

ポケモンGOで危機に陥ったナイアンティックのサーバーを救え

2016年10月05日 18時39分更新

文● 行正和義 編集/ASCII.jp

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ポケモンGO開始時のトラフィック量

 グーグルBlogの9月29日付け記事にて、ポケモンGOの人気によってナイアンティックのサーバーが相当な危機になっていたことが公開された。

 世界中にさまざまなサービスを提供し、リクエストを受けるグーグルともなればサーバーへのアクセス集中が相当なものになるが、Google Cloudのチームは新たなクラウドアプリケーションによるサーバー負荷分散技術を開発。この技術の最初のユーザーはナイアンティックであり、用いられたのはポケモンGOのサービス開始時であったという。

 ポケモンGOのサービス開始は7月6日のオーストラリア、ニュージーランド、アメリカだが、サービス開始15分以内にユーザートラフィックは急増。ナイアンティックが予想していた、トラフィック量の50倍となったという(当初、最悪のケースでも5倍程度と考えていたという)。

 グーグルが提供するGoogle Cloudでは、Dockerコンテナと呼ばれる仮想化技術でウェブアプリケーションを管理実行しているが、仮想サーバー単位であるコンテナをスケーラブルに増築できる構成となっている。ポケモンGOによるサーバー負荷は、膨大なものになるとわかったGoogle CloudとKubernetes(Dockerコンテナを管理するフレームワーク)、ナイアンティックのチームは急遽GKE(コンテナエンジン)をコンテナクラスタのノードを1000以上増やせる新バージョンにアップグレード。最も負荷が高くなることが予想された、日本でのサービス開始(7月22日)に間に合わせたという。

 すでに始まっているサービスを止めることなく、サーバーの基幹システムを更新することは「飛んでいる飛行機のエンジンを交換するようなものだ」とコメントされるほど複雑なことだが、さらにその後も世界中から膨大なユーザーがアクセスしているにもかかわらず、これといったシャットダウンを起こしていないことを考えれば、そのシステム規模と安定動作のための技術・労力に驚くほかはない。

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