第2回:n冊目に読むならどのJava本?(n > 1)
前回に引き続き最強のJava入門書を探し求めていたはずが、初心者向けの本から脱線して、翻訳と書き下ろしはどっちがいいか、オブジェクト指向は本で学べるのか、ほかの言語でプログラムを書いた経験がある人が手っ取り早くJavaを始めたいときの本はどれか、などなど、今回は初心者向きとはちょっと毛色の違う本の話題へと脱線。
座談会メンバー
矢澤久雄
株式会社ヤザワ 代表取締役、グレープシティ株式会社 アドバイザリースタッフ。パッケージソフトの開発と販売に従事しつつ、執筆活動と講演活動も精力的にこなす、自称「ソフトウェア芸人」である。
高橋征義
株式会社達人出版会代表取締役、一般社団法人日本Rubyの会代表理事。大学では推理小説研究会とSF研究会と天文同好会に所属。好きな作家は新井素子。
鹿野桂一郎
ラムダノート株式会社 代表取締役。TechBooster CEO(Chief Editing Officer)。HaskellとSchemeとLaTeXでコンピュータとかネットワークとか数学の本を作るのをお手伝いする仕事。
遠藤諭
株式会社角川アスキー総合研究所取締役主席研究員。プログラマを経験後にアスキー入社、’90年~’02年『月刊アスキー』編集長。月1回、神保町や新宿ゴールデン街で1日だけのカレーBARを開店している。
カレーの本はインド人が書け、Javaの本は欧米人が書け?
矢澤: ところでプログラミングの本に関しては個人的にモットーとしていることがあって、カレーのことはインド人に聞け、と思っております。
一同: はあ?
矢澤: つまり、本来ならJavaの本って日本人が書くべきじゃないと思うんだよね。
一同: 書くべきではない?
矢沢: なんでかっていうと、カレーのレシピを日本人が書いても本物にはかなわないわけですよ。どうして、Javaの入門書では、それと似た状態になってるのかなという思いがあるんだよなあ。本格カレーではなくボンカレーのほうが食いたいっていう人が多いからとか、いろいろな理由はあるんだろうけど。
遠藤: 日本人だとそういう気持ち、あるだろうね。
矢澤: そうはいっても、ITって世界に向けて出ていくものっていう面もあるので、世界標準のものを読んだほうがいいと思うんだよね。
高橋・鹿野: それは英語で読むということですか。
矢沢: 英語で読まなくてもいいけど、書いてる本人の感覚っていうのは英語圏の人にしかわからないものがあると思うんだよ。
鹿野: とはいえ、翻訳書で入門ってなると、今日ここにある「書店での動きがいい本」の中だと『Head First Java』だけですよね。それ以外だと『独習Java』っていう本がありますけど。
矢澤: 『独習Java』。あのシリーズはよかったなと思ってる。
高橋: ただ『独習Java』も、あと『Head First Java』もそうですが、ちょっと内容が古くなってますよね。今のお勧めの候補になる感じではないかと。
鹿野: その二冊だと『Head First Java』のほうはいまだに売れてるわけですね……。絵とか図解も多いし、入門書っぽいといえば入門書っぽい?
高橋: いやー、『Head First Java』は、ほんっとに読者を選びますよね。だめな人は開いた瞬間に閉じそう。もちろん、なかには気にいるっていう人がいるかもしれないけど……。
矢澤: すごいよねこれ。フレッシュネスバーガーの内装編集注※1と同じノリを感じる。
鹿野: カレーはインド人に教わりたい、っていう人向けなのでは?
高橋: いや、それともまた違うんじゃないかと。
遠藤: 昔はみんな、必要があってオライリーの本を買ってたけど編集注※2、最近はむしろ、どれを選んだらいいかわからないからとりあえずオライリーを買うという層がいる、という話があるようです。オライリー買っておけば、インド人にカレーを教わるような気がするのかもしれない。
鹿野: カレーはインド人に、っていうポイントを重視して、こらえて読めそうなら、『Head First Java』も選択肢に入れてみようという感じ?
高橋: さすがに、こらえてまで読むようなものでもないかと。
遠藤: Javaの入門書で翻訳があまり出てないってのは、なんでなんですかね。
鹿野: 翻訳かどうかはおいておいて、自分が出版社にいたときにJavaの入門書を企画できなかったのは、すでに完成している市場に入っていく戦略が描けなかったからなんですよ。競争力のある価格にしないとだめだけど、そのためには初版部数を相当多く設定したり、制作コストを抑えたりしなければならず、でも、それはどっちも難しい。書き下ろしよりコストがかかってしまう翻訳だと、まず無理ですね。
矢澤: 翻訳って、けっこうな印税をもらえるものね。
鹿野: いやー。それは出版社によって全然変わるので、なんともいえないです。たとえば ■■■■■■■■ なんか、すごく翻訳料が安いというもっぱらの噂ですし。
矢澤: そうなんだ。前に翻訳やったことがあるんだけど、そのときは ■■ %もらえて、こんなにもらえるなら自分で書くことねえなと思ったよ。
鹿野: そもそも入門書については、日本の著者による書き下ろしで需要が十分に満たされていますよね。
矢澤: 洋書でストレートな解説のものもあるといいなって思うけどね。やっぱり入門書っていうのは読者に訴えかけるものじゃないとだめだから、日本人が書くほうがいいのかね。
高橋: 日本人の著者の本は作り込みの質がすごいっていうのはあると思いますよ。
鹿野: とくにJavaについてはそうなんでしょうね。
高橋: Java以外でも、著者さんも出版社さんも、日本はすごいがんばってると思います。
矢澤: 勉強する人の傾向も違うんだろうな。向こうはプログラミングやるっていると個室が与えられるエリートだけど、日本の会社の中には、狭い部屋に机を並べて、フローチャートだけ渡されて、延々とこき使われるところもあるんだよ。
鹿野: 逆に、このへんの優れた日本語の入門書を英訳して、英語圏で売れるのかっていうのは、ちょっと興味ありますね。
矢澤: 実は、おれが書いた『プログラムはなぜ動くのか』編集注※3は、英語版の企画がオライリーメディアで通って、英訳まで全部終わってたんだよね。なのに途中で企画中止になって、結局、英語版は発行されてない。日本語の技術書を英語でっていうのは、いろいろ難しいのかもなあ。
入門書だけではオブジェクト指向がわからない?
鹿野: ここらで初心者向けではない本を見ていきますか。
矢澤: そのへんの本は、色物かな?
高橋: いやいやいや、いわば中級者向けですよ。
遠藤: 入門書を読んだけど、オブジェクト指向がさっぱりわからない、みたいな声はよく聞くよね。
高橋: オブジェクト指向は、話としてはわかっても、実際にコード書いてみないとよくわからないという面があるので。
入門書でひととおりJavaがわかった人が、次にオブジェクト指向をもうちょっと自分のものにしたい場合の本としては、このへんの二冊がありますね。
遠藤: この二冊はどう違うの?
高橋: 『オブジェクト指向でなぜつくるのか』は、文章解説でオブジェクト指向をわからせようという本で、『なぜ、あなたはJavaでオブジェクト指向開発ができないのか』のほうは、コードを書きながらオブジェクト指向ってこういうものなんだと理解できるように書かれている本です。ほかに結城さんのデザパタ本(『増補改訂版Java言語で学ぶデザインパターン入門』)もあるけど、これはGoF(Gang of Four)を要約した入門編っていうか、結城さんの本を読んだ人が次に進むべき道という感じ。
矢澤: 個人的には、『なぜ、あなたは~』がすごく好きだな。よく書けてると思う。
鹿野: 手を動かして学ぶスタイルのほうですね。
矢澤: そう。トランプゲームのフレームワークを作らせて、その上でいろんなゲームを作っていくんじゃなかったかな。Javaの構文はわかったけどオブジェクト指向がいまひとつって言っている人は確かにけっこういるし、そういう人には、わりといい本じゃないかな。
鹿野: とはいえ、入門書グループの本にしても、オブジェクト指向ってこうだよっていう説明をしつつ、その路線でJavaを学んでいくスタイルにいちおうなってるはずですよね。
矢澤: そうではあるんだけど、入門書だと、どうしても構文の説明をしないといけないからね。
高橋: 入門書だけだと、オブジェクト指向がわかった気がするところで終わっちゃう面はあると思います。それは『やさしいJava』の頃からずっとそうで、なぜかというと、Java自体の説明に手一杯で、オブジェクト指向についてはそんなにしっかり説明する余裕がないからなんですが。
矢澤: 入門書、すかすか書いて、あの厚さだからね。
高橋: そのなかでは『スッキリわかるJava入門』がわりとがんばって解説してるほうかな。でも、この二冊のほうが、やっぱり丁寧です。
矢澤: 『オブジェクト指向でなぜ~』のほうは、自分とはちょっと考え方が違うんだよなあ。書いてあることは理解できるけど、おれとは考え方が違う。好き嫌いの話なんだけどね。『なぜ、あなたは~』のほうが、現実のオブジェクト指向ってこんなもんだよなーって見えてくるところがあった。
高橋: 構造化から始まって、それが進化したものとしてのオブジェクト指向の話、みたいなとこがありますよね。
遠藤: そもそもオブジェクト指向といっても、けっこう泥臭いものだと。
高橋: ですし、いろんな人のいろんな考え方が混ざってるんですよね。言語によっても考え方がいろいろありますし。
遠藤: プログラムが書けていたら本当にわかっているのかという、哲学的な問題もありますけどね。
矢澤: そういえば、偶然だろうけど、どちらも疑問調タイトルだよね。『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』編集注※4みたいな。
高橋: っていうか、そもそもは矢澤さんが書いた『プログラムはなぜ動くのか』が疑問形タイトルのはしりだったのでは?
矢澤: そうだよ。そのあと「さおだけ屋」が出たんだよ。
高橋: このシリーズも、『プログラムはなぜ~』が売れたから、こうやってシリーズになったんですよね。
矢澤: 最初は大変だったんだよ。日経は仮にも新聞社で、新聞社っていうのは疑問形タイトルは付けないんだっていわれた。スポーツ新聞みたいだろって。
高橋・鹿野: えー。日経本体じゃなくてBPなのに!編集注※5
矢澤: そう。それでも、「だからこそあえてやりましょう」って言って、そうして日経BP社で初の疑問形タイトルの本にした。
バイブルは誰が読むべき?
遠藤: このなかで値段がいちばん高くて分厚いのは『プログラミング言語Java』なんだけど、これは誰が読むべきなの?
矢澤: 『プログラミング言語Java』はすごいよね。どこでどうやって読むんだっていうボリュームがある。広げるだけでも大変だよこれ。
高橋: プログラミング自体はある程度わかってる、でも、使ったことのある言語はJavaじゃない、っていう人が、ほんとにJavaを勉強しようっていうときは、この本にいかざるをえない感じですね。それこそインド人が作ったカレーの本っていう。
鹿野: インド人によるカレーの本という枠だと、ここにはないけど、いまだにかつての『コアJava』とかが該当するんじゃないかな。
高橋: ええ、そういうのを会社とか研究室とかの棚に置いておく感じ。Javaの本を書く人なんかも、これと「Java言語仕様」を持ってる必要がありますよね。
鹿野: 本とかWebで解説を書くなら、これは持っておけよと。
高橋: ほかには、Javaを扱うツールを作る人ですか。Javaのソースを直接吐き出すような感じのやつを書くなら、これを読むことになるのかな。
鹿野: いずれにせよ、言語仕様を本で調べようとすると、この本っていうことになるわけですね。
高橋: 世の中には、C++は知ってるけどJavaは知らないとか、オブジェクト指向はすごくよくわかってるけどJavaは使ってないとか、そういう人がいて、そういう人にとっては入門書とか教科書だとまどろっこしくてやってられないんですよね。
遠藤: 売れてるっぽい順番だと、『Effective Java』もかなり上位にくるんだよね。
鹿野: 『Effective Java』は、わりと義務感とか焦燥感とかで購入されてるのかも。Javaのコードを書く人にとって必読書みたいな定評ができてる本なので。
高橋: Javaを作ったゴスリン編集注※6自身が、これは必要な本だって言ってるくらい。
矢澤: そういわれたら読むしかないよね。まあでも、いちばん最初に読むのは無理だよな。
高橋: その意味でいちばん最初に読むことは期待されてないんじゃないですかね。まあ、アメリカ人のプログラマがJavaをやるならこの二冊セット、みたいな面はあると思います。
高橋: ぜんぜん関係ないんですけど、『Effective Java』、出版社が変わってすごく読みにくくなった気が。
鹿野: 内容は同じですよね。
高橋: 文字がぎゅっと縮まった気がしませんか?
鹿野: ピアソンの頃編集注※7から、わりとぎゅうぎゅうな文字詰めだった印象ですよ。
高橋: なんだろう。全体に見た目が黒くなったというか。
鹿野: 印刷所の違いかなあ。わりと印刷で雰囲気が変わることはあります。とはいえ、これについては組みなおしたほうがいいのではっていう気はしますよね。
きれいなコードを書くためには?
鹿野: 『Effective Java』とは違う意味でコードの書き方を扱った本も何冊かありますね。
高橋: コーディング規約に関連した本ですよね。コーディング規約って、わりと会社ごとに別々に決まっていたりするんで、絶対的なルールを示すとか無理があるんですけど、『実践Javaコーディング作法』とかは、どうしてそういうルールになっているか、意味がわかるという感じかも。
鹿野: コーディング規約本を読むのはいいけど、内容を真に受けるべきじゃないと。
高橋: 規約の意味って、どこもあんまり明文化されてないと思うんですよ。この本とかを読むと、「ああ、こういう理由で、うちの会社のコーディング規約はこうなってるのか」と推測できるかもしれない。
矢澤: おれも、むかしこういう本を書いたことあったけど、読者からぼろくそ言われたなあ。
高橋: 『Javaルールブック』のほうはティップス集編集注※8っぽいですかねえ。
遠藤: この、『リーダブルコード』は、それとはまた違う内容なわけ?
矢澤: 『リーダブルコード』は、Javaに限らず、読みやすいコードとは何かとか、プログラミングのリテラシーみたいな内容かな。
高橋: 変数名の付け方とか。
遠藤: 「おまえのコードは汚い」みたいなことを言われないようにする感じか。
高橋: そうですね。「きれいなコードってなんですか」って聞かれたときに、これを出す。
遠藤: この本を机の上に置いておくと何も言われなくなったりするのかな。
高橋: 実際そういう話はあるみたいですね。威圧に使えるとか。
矢澤: 思想っぽいよね。
鹿野: というか、思想をティップスに落とし込んであるのが、このへんの本の価値なのでは。
高橋: いやでも、こういうのって単純に集まるとけっこう言ってる内容が矛盾してたりするので、ティップスとして使うのはちょっと違うのかな。
遠藤: 三人の言ってることが全然違うじゃない。
矢澤: 結局、本ってそういうものなんですよ。
技術評論社の本が目立っていない?
鹿野: 今日集まった本を出版社っていう区切りで見ると、Javaって技術評論社が少ない分野なんだっていうのが個人的には意外なんですよ。とにかくSB(ソフトバンク)が多い。
高橋: このなかで技評というと、『なぜ、あなたはJavaでオブジェクト指向開発ができないのか』と『Javaルールブック』、それに『Javaエンジニア養成読本』と『パーフェクトJava』ですか。
矢澤: この『Javaエンジニア養成読本』は、どんな内容なの?
高橋: これはムック編集注※9で、Java 8とかの最近の話をするっていうのが重要な役割ですね。ムックだから最新のライブラリの話とかできる。
鹿野: 『パーフェクトJava』は、ちゃんと手を動かして読もうとする気があれば、解説はわかりやすいと思うし、初心者が頑張って読んでもいい気がしません?
高橋: え、さすがにこの本からだと、コンパイル方法わからないっていう人にはつらいのでは。
鹿野: そうか。いずれにせよ入門書の枠には混ぜられない感じですね。ある程度Javaに慣れてきて、もう一冊何か読んでおきたいなという人向けか。
矢澤: 技評で入門書がないなら、こんど企画を持ち込んでみようかな。
高橋: 『ゼロからわかるJava超入門』とか、出てるには出てますよね。
遠藤: 『スッキリわかるJava入門』が強すぎて、入門書はそれ以外があんまり売れなくなってたりしないかね。
鹿野: 『スッキリわかるJava入門』だけというより、それに加えて『やさしいJava』と『Java言語プログラミングレッスン』の御三家が、Java本といったらすぐに思い浮かぶのが現状ですよね。
「即戦力」と「ちゃんと使える力」
遠藤: となると、やっぱりその3つの売れてる入門書のどれかが、ベストJava本ということになるのかな?
高橋: 入門書はあくまでも入門書なので、なにかしら別の言語でプログラムを書いたことがあるっていう人にはお勧めしにくいんですよね。
遠藤: ほかの言語がわかっている人には、どういう本がいいんですか?
鹿野: ほかの言語やったことのある人は、ニュートラルに文法をさらっていく教科書のほうが手っ取り早いかもしれません。自分が知っている概念はJavaでどう書くかっていうのを確認できればいいので。
高橋: あとは、この『即戦力』本なんかが、ある程度プログラミングは知ってるけどJavaを使う必要があるっていう人に渡す本かもですね。
矢澤: 書名とかカバーは読み物っぽいね。
鹿野: 目次を見る限り、『スッキリわかるJava入門』とその続編の『実践編』を合体させて、行間を省いて、一冊分に圧縮したという感じか。これはすでに別の言語でコード書いたことがある人でないとつらそう。
矢澤: 確かに、中身濃いねー、これ。途中でデータベースの話とかにかなりページを割いてるし。
高橋: 逆に言うと、即戦力になるためにはここまで知らないとだめなんですよね。Javaで即戦力になるために、Javaだけ知ってればいいのかっていうのが問題なわけで。
矢澤: これが読める人は、もうなんでも好きな本読めばいいんじゃないのって気がするな。
高橋: 『ちゃんと使える力を身につける Javaプログラミング入門』も、入門書を一冊読んでプログラムわかった気になった人が次に読んでみるっていう感じですかね。
鹿野: そうですか? 中級者向けって感じもしないけどな。むしろ初心者でも一人で学べる感じがしますよ。
高橋: いやあ、それは初心者を買いかぶってるかも。
遠藤: うちの若手の感想は「すっきりしていて、あと本が軽い」だった。
鹿野: 確かに、かなり軽い本文用紙を使ってますね。この紙のブランドはなんだろう編集注※10。
矢澤: でもこれ、中を読むと、かなりゆるく書いてあるよね。「演算子」に読み仮名ついてるし。やっぱり入門者向けじゃないかなあ。
高橋: え、ほんとですか。
矢澤: 実際には入門者にとっては濃い中身なのかもしれないけど、作ってる側の気持ち的には。
高橋: あんまり予備知識を必要としないようにしよう、という意味ではそうなんですかね編集注※11。
矢澤: 英語でなんていうかを書いてある点とかは、好感が持てるな。プログラミングが苦手な人は、英語が分からないっていう面もあるんだよ。
鹿野: 英語の壁はありますよねえ。じゃあ、次はいよいよ本丸の入門書たちを見ていきますか。
ここまでのまとめと、次回予告
今回は入門書とも教科書とも少し違う傾向の本を扱った。初心者が最初に読むのは積極的に避けたほうがいい本が大半だが、なかにはJava技術者として必読といえる本もある。初心者でも、「こういう本があるのか」という気持ちでちょっと背伸びをして眺めてみると、何か得られるものがあるかもしれない。
タイトル | 著者 | 出版社 | 発行年月 |
---|---|---|---|
『Head First Java 第2版』 | (原著)Kathy Sierra, Bert Bates/(監修)島田秋雄、高坂一城、神戸博之/(訳)夏目 大 | オライリー・ジャパン | 2006年3月 |
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タイトル | 著者 | 出版社 | 発行年月 |
---|---|---|---|
『オブジェクト指向でなぜつくるのか 第2版』 | 平澤 章 | 日経BPマーケティング | 2004年6月 |
『なぜ、あなたはJavaでオブジェクト指向開発ができないのか』 | アクロクエストテクノロジー株式会社 小森裕介 | 技術評論社 | 2004年12月 |
『増補改訂版Java言語で学ぶデザインパターン入門』 | 結城 浩 | SBクリエイティブ | 2004年6月 |
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タイトル | 著者 | 出版社 | 発行年月 |
---|---|---|---|
『プログラミング言語Java 第4版』 | (原著)ケン・アーノルド、ジェームズ・ゴスリン、デビッド・ホームズ/(訳)柴田芳樹 | 東京電機大学出版局 | 2014年5月 |
『Effective Java 第2版』 | (原著)ジョシュア・ブロック/(訳)柴田芳樹 | 丸善出版 | 2008年11月 |
■Amazon.co.jpで購入
タイトル | 著者 | 出版社 | 発行年月 |
---|---|---|---|
『実践Javaコーディング作法 プロが知るべき、112の規約と21の心得』 | (監修)渡辺 純/(著)森崎雅稔 | 日経BP社 | 2014年12月 |
『Javaルールブック 読みやすく効率的なコードの原則』 | (監修)電通国際情報サービス/(著)大谷晋平、米林正明、片山暁雄、横田健彦 | 技術評論社 | 2011年2月 |
『リーダブルコード より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック』 | (原著)Dustin Boswell、Trevor Foucher/(訳)角 征典 | オライリー・ジャパン | 2012年6月 |
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タイトル | 著者 | 出版社 | 発行年月 |
---|---|---|---|
『Javaエンジニア養成読本』 | きしだなおき、のざきひろふみ、吉田真也、菊田洋一、渡辺修司、伊賀敏樹 | 技術評論社 | 2014年11月 |
『改訂2版 パーフェクトJava』 | 井上誠一郎、永井雅人 | 技術評論社 | 2014年11月 |
『即戦力にならないといけない人のためのJava入門(Java 8対応)』 | 竹田晴樹、渡邉裕史、佐藤大地、多田丈晃、上川伸彦 | 翔泳社 | 2016年7月 |
『ちゃんと使える力を身につける Javaプログラミング入門』 | 大澤文孝 | マイナビ | 2016年4月 |
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次回、第3回(9月27日掲載予定)はふたたび入門書の話題に戻り、いよいよ「自分にぴったりの一冊目」の選び方を提案する努力をします。入門書の企画をめぐる四人の思いが交錯する最終回をお楽しみに!
編集注
- フレッシュネスバーガーは日本のハンバーガーチェーン店。アーリーアメリカンな木製のテーブルや椅子、斜めにかけられた英語の看板などをあしらった店内の雰囲気はさながらアメリカ中西部を思い起こさせる。ちなみに編集者はフレッシュネスバーガーのスパムバーガーが大好きです。↩
- 米国の出版社であるオライリーメディアは、動物などの木版画のカバーで、圧倒的なラインナップを誇るコンピュータ書のシリーズを展開してきた。このシリーズ(アニマル本)は、分野によってはコンピュータ書の代名詞にもなっている。日本では主にオライリー・ジャパンから主要なタイトルが翻訳発行されている。↩
- 『プログラムはなぜ動くのか 知っておきたいプログラミングの基礎知識』は、この座談会メンバーである矢澤氏が2001年に日経BP社から発行した書籍。本人によって後述されるように、疑問形のタイトルを特長とする同社の技術書シリーズの先駆けとなった。↩
- 『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(山田真哉著、光文社)↩
- 日経BP社は日本経済新聞社の子会社ではあるが、日本経済新聞出版社のような完全子会社ではないので、出版物のタイトルの選び方が拘束される可能性があるのは参加者全員にとって意外だった。↩
- James Arthur Gosling。オブジェクト指向プログラミング言語Javaと、その最初のコンパイラおよび仮想マシンを開発した。『プログラミング言語Java 第4版』の著者でもある。↩
- 『プログラミング言語Java 第4版』と『Effective Java』は、もともと原書の出版社であるPearsonの日本法人から翻訳が発行されていたが、2013年にPearsonの日本撤退に伴って発行元が変わった。↩
- 技術書には、体系的に内容を説明していくタイプの本と、トピック重視で全体の構成はざっくりしたタイプの本がある。後者は「ティップス集」とか「レシピ集」と呼ばれている。↩
- 雑誌っぽい見た目だが定期刊行されているわけでもなく、書籍用のISBNコードが付いている冊子ものをムックという。雑誌コード付きで広告が入っているものがあったり、雑誌のような返品期限がなかったり、書籍と雑誌のいいとこどりをしたような流通形態。↩
- 書籍の本文を印刷する紙は、その本の商品性に見合った斤量(重さ)と紙厚で供給も安定しているものを使う。軽くて薄い紙が使えれば一番いいのだが、そういう紙は一般に高いので、軽さを取るか薄さを取るかの選択肢を迫られる。↩
- 高橋氏が座談会後、対象読者について出版社の方に聞いてみたところ、「Javaを学習する上で根底となる、基礎固めをするための入門書で、これから学習する方から、Javaの本を買ったけれどページが多すぎて読みきれなかった方などに向けた書籍」とのことだった。↩
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Java入門書、ベストな選び方の、その先へ -
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悩めるJava子羊たちに入門書と教科書の違いを説く -
プログラミング+
最強のJava入門書はどれか?(2016年秋)<目次> - この連載の一覧へ