今後はARMがソフトバンクグループの最大中核事業に
ソフトバンクグループは7月28日、2016年度第1四半期決算を発表した。ARM買収直後という注目のタイミングだけに、孫正義社長も興奮した様子でARMの買収を説明。稼ぎ頭の国内通信事業に加え、懸案だった米Sprintも収益に寄与できるようになることに自信を見せ、ARMが「ソフトバンクグループのいちばん大きな、いちばんの中核になる事業」と強調する。「自分の生活の45%をSprint、残りの45%をARMの中長期の戦略を考えることに使う」と孫社長は話し、今後ARMの事業拡大に向けて注力していく意向だ。
決算では、売上高が前年同期比2.9%増の2兆1265億2100万円、営業利益が同0.2%増の3192億3600万円、調整後EBITDAは同8%増の6783億5000万円で増収増益だった。売上は主要事業で順調に伸びたが、円高影響によってSprintが8739億円で983億円の減収だったのが響き、2.9%増にとどまった。米ドルベースだと売上高は80億ドルと横ばいで、孫社長は問題ないとの認識を示す。営業利益も微増だが、Sprintの回線卸(ホールセール)契約の変更にともなう一時費用や円高が影響したとしている。
調整後EBITDAは13期連続の最高益、営業利益も11期連続の最高益となり、孫社長は順調な決算だった点をアピールする。
国内通信事業は、売上高が同5.4%増の7617億6300万円、利益が同11.1%増の2390億1300万円となり、順調な決算。累計契約数は3215万契約となり、前期比では58万の増加。解約率は「過去最低」(孫社長)という1.13%で、光回線とのセットサービスが奏功して解約率が低下した。ARPU(1ユーザー当たりの月間平均収入)は同50円減の4610円。通信APRUは同90円減だったが、サービスARPUが40円増となり、サービスでの収入は増加している。
固定通信は、ADSLサービスが減少しているものの、NTT東西の光コラボレーションにともなう光回線サービス「SoftBank 光」が好調で、契約数は224万契約に達した。固定回線全体では535万契約となり、固定契約数も過去最高となった。ただ、セット割の「おうち割 光セット」の増加によって割引額も拡大し、移動通信そのものの売上が同1.8%減となった。サービス売上が同9.3%増加したものの、移動通信サービス全体で同0.5%減にとどまった。
とはいえ、利益は2ケタ成長を実現しており、特に携帯事業向けの基地局建設などの設備投資が一巡したことで、利益確保の段階となっている。国内通信事業から得られるフリーキャッシュフローは前年第1四半期がマイナス322億円だったが、今年第1四半期は697億円を確保。年間だと5000億円規模のフリーキャッシュフローを予測しており、手元資金を順調に拡大できるめどが立ったことで、ARM買収などにともなう借金の返済にも自信を見せる。