国土交通省が1日開催した中央合同庁舎3号館内の「宅配ロッカー」設置セレモニーで、日本郵便(株)の津山克彦常務執行役員が「今後、駅などの公共スペースに設置する『はこぽす』については、みんなが使えるオープンなロッカーにすることを考えている」とコメントし、宅配ロッカー「はこぽす」を、ヤマト運輸や佐川急便など他の運送会社にも開放する考えを示した。
「はこぽす」はこれまで、複数のEC事業者が利用できるものの、使用できる配送サービスは日本郵便の「ゆうパック」に限られていた。一方、ヤマト運輸(株)と仏のネオポストシッピング社の合弁会社Packcity japan(株)による宅配ロッカーネットワーク「PUDO(プード)ステーション」は、宅配事業者やEC事業者が共同で利用できるオープン型の宅配ロッカーで、ヤマト運輸と佐川急便が利用している。
隣接した場所に宅配ロッカーが乱立した場合、利用者の混乱を招く可能性もある。宅配ロッカーの設置は、国交省の後押しで駅や商店街などへの設置が拡大している背景もあり、日本郵便も公共スペースに設置する宅配ロッカーは、オープン化する方針に変更したと見られる。
同セレモニーは、国交省庁舎内に「はこぽす」「PUDO(プード)ステーション」の2種の宅配ロッカーを1日から1カ月間設置し、再配達削減の効果を検証する実証実験の開始を記念したもの。宅配ロッカー利用のデモストレーションも行われた。
宮内秀樹国土交通大臣政務官は、「電子用取引が急増し、宅配便で1日約1000万個の商品が運ばれている。年間で37億個が宅配便として流通しているが、その20%が再配達。お忙しい方々は、なかなか自宅で受け取れない。宅配ロッカーの普及は、利便性の向上とドライバーの労働力不足解消にも貢献する。宅配ロッカーが新しいライフスタイルとして定着してほしい」と話した。
Packcity japan(株)のジャン・ロラン・リュケ社長は「PUDOステーションは現在、ヤマト運輸、佐川急便が毎日利用しているが、だんだんと納品数が増えている。今後はJR、東京メトロなど、エンドユーザーに便利なさまざまな場所に設置していく。計画では2018年1月までに1000台以上設置する予定。ヤマト運輸、佐川急便以外の運送会社にも利用してほしい」として、多くの物流会社の利用を呼び掛けた。
(山本 剛資)