消費者に有益な情報を届ける「機能性表示食品」の新たな仕組みが構築された。消費者庁は6日、2015年度に受理された届出情報を「機能性表示食品制度届出データベース」に移行し、すべての届出商品を同データベースで検索できるようにした。同時に同データベースにアクセスできる「QRコード」を作成し、届出企業などに向けて活用を促した。
「QRコード」の用途は、商品パッケージや広告の表示などを想定している。QRコードが商品に表示されれば、消費者はドラッグストアなどで商品を購入する際、QRコードをスマートフォンなどで読み込んで届出データベースにアクセスし、医薬品との相互作用などの安全性情報や機能性の根拠などを確認できるようになる。また、広告にQRコードが表示された場合も、購入前に詳細な商品情報を提供できる。
「機能性表示食品」は、名称の認知度だけは向上してきているが、消費者庁のホームページに詳細情報が掲載されていることを知る人は少ない。また、データベースが整備される前は、検索機能はなく、消費者にとっては使い勝手が悪かった。今回、全届出情報をデータベースに移行したことで、届出番号・商品名・成分名・機能性などから検索できるようになり、消費者にとってはお目当ての商品を探しやすくなった。
QRコードの作成について、消費者庁は「届出情報を円滑に届けるために、スマートフォンでもすぐにアクセスできるようにした。商品や広告への表示など、いろいろな活用方法があり、届出者や販売会社などに活用してほしい」と話した。
ただ、同データベースは、Androido端末のスマホでアクセスすると警告メッセージが表示される場合があり、その場合は別途、政府認証基盤アプリケーションのインストールが必要。このため、消費者庁は「QRコードを掲載する場合、警告メッセージの注意書きも表示してほしい」とした。
QRコードで健康食品・サプリメント商品の詳細情報にアクセスできる仕組みは、民間の認証制度では行われていたが、国が関与した制度では初となる。これまでガイドラインにも記載がなかったが、データベースの有効活用のために新たに作成した。
ただ、商品へのQRコードの表示に義務はなく、機能性表示食品はただでさえ表示が義務化された定型文が多いため、QRコードを表示できるスペースも限られており、表示の普及が進むかどうかは未知数だ。
(一社)健康食品産業協議会と(公社)日本通信販売協会(JADMA)は5月、「機能性表示食品」の適正広告自主基準を公表した。この自主基準にはQRコードの記載は盛り込まれていないが、同制度の普及拡大のためにも、今後はQRコードの掲載を自主基準に入れることも検討すべきだろう。
(山本剛資)