vThriiの課題はNested VM
vThrii仮想環境は、ストレージとネットワーク部分を仮想化しているために若干のオーバーヘッドがあるものの、それ以外の処理はパススルーなのでほぼネイティブに近いパフォーマンスでOSを稼働させらます。死角がないように思えますが、なんと乗り越えるべき壁がまだあるそうです。それは入れ子状の仮想化。現行のvThriiは、仮想マシン上で仮想マシンを動かす「Nested Virtualization」(Nested VM)に非対応とのこと。ハイパーバイザー型仮想環境のvThrii上で稼働しているOS XやWindowsに、ホスト型仮想環境のVMwareやParallelsなどを使うのは無理ということです。
「そんなの必要?」と一瞬思いましたが、「理工系大学や理工系学部は、OS上に仮想マシンを構築して、そこに別のOSをインストールさせるといった作業を学生にやらせるところが多く、Nested VMへの要望は高い」とのことでした。技術的にはもちろん可能だそうですが、ストレージとネットワークだけでなくそれ以外の部分の仮想化や、特殊なドライバーの開発が必要になるとのことでした。
仮想化するNIC(ネットワークインターフェースカード)の種類も増やしていきたいとのことでした。仮想化できるNICの種類が増えれば、既存のネットワークのままvThriiの導入も可能になると思われるので、採用する側のハードルがグッと低くなりますね。
また、ブートイメージのファイルはマシンごとに用意する必要あります。東大に納入されたiMacはすべてLate 2015モデルなので同じファイルを使えるそうですが、ほかのマシンや後継機種などでハードウェア構成が異なると、カスタマイズが必要になってくるそうです。とはいえ、Macはモデルが異なってもハードウェア構成が似通っていることが多いので、対応させやすいというメリットがあるとのことでした。実は、東大ほど大規模ではないですが、都内の有名私立大学にもvThriiを使った同じシステムが今春に導入されたとのこと。Mac 以外でも、日本HPのマシンで100台規模の実証実験を大学の協力を得て実施した実績もあるそうです。