(株)CyberZが20日発表したデジタルインファクトとの共同調査「スマートフォン広告市場動向調査」によると、2015年のスマホ広告の市場規模は、前年比123%の3717億円となった。市場規模は前年を上回ったものの、伸び率(14年は同162%)は鈍化した。
同調査ではスマホ広告を「検索連動型広告」「ディスプレイ広告」「成果報酬型広告」に分類し、年間広告出稿額を推計した。調査の対象期間は2014年1月~12月。
2015年は、世代を問わずスマホ端末の利用が幅広く進み、スマホはユーザーの日常に必要不可欠な情報端末に定着。オンライン上のビジネスを展開する多くの企業に、スマホがメインチャネルとして位置づけられるようになった。ただ、スマホビジネスは安定成長期へと移行。スマホ広告の需要にも変化があり、新しいメディアや広告フォーマット、広告商品に注目が集まった。
スマートフォン広告を商品別で見ると、ソーシャルメディア向け広告や動画広告の需要拡大がけん引した。ディスプレイ広告の市場規模は、同135%の2225億円で、全体の約6割を占めた。検索連動型広告市場は同115%の1380億円、成果報酬型広告市場は同70%の112億円となった。
ディスプレイ広告は、ソーシャルメディア向け広告商品が充実。動画やインフィード広告など、スマホの特性を活かした広告商品が投資意欲を高め、前年に引き続き高水準の成長率となった。一方、大手広告主のプロモーション目的の変化や、手法の高度化などにより、ディスプレイ広告の出稿先媒体や広告フォーマットに対する嗜好の変化も見られた。
動画広告は、スマホユーザーの動画視聴が定着しこと、スマホならではの効果的な表現方法できる広告商品が数多く台頭したこと、ソーシャルメディアでの動画プロモーションの活性化などにより、同272%に伸長した。
ゲームアプリやECサービス運営者などの広告主は、これまで新規ユーザーの獲得を目的にスマホ広告を活用してきたが、新規ユーザーの需要が一巡したことから、現在はいかにして既存ユーザーとの関係性を深め、収益を高めていくかに関心が高まりつつある。スマホ広告技術の伸展により、新規ユーザーの導線を確保し、広告主が求めるユーザーとのコミュニケーションが可能となる「リエンゲージメントディスプレイ広告」が登場。大手広告代理店などを中心にリエンゲージメントディスプレイ広告商品が提供され、広告主への提案を強めている。
16年のスマホ広告市場は、ユーザーのコンテンツ消費に合わせた広告商品の拡充が進み、同122.2%の4542億円と予測。16年以降は、成長率が徐々に緩やかになりつつも二桁成長を維持し、20年には15年の約2倍となる7527億円に拡大すると予測した。