マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者は1月11日、LEDや蛍光灯に匹敵する高効率の白熱電球を開発中と発表した。
白熱電球製品の多くが製造終了となり、蛍光灯も2020年まで生産や流通が中止される(よく言われているように禁止ではない)が、これは白熱電球の電気-光変換効率があまりにも低く、電気エネルギーの95%以上が熱として無駄になってしまうことが理由となっている。
MITとパデュー大学が共同で開発中の白熱電球は、従来の白熱電球と同様に電流が導体を通る際のジュール熱を用いるが、光の波長を変換するナノマテリアルであるフォトニック結晶を併用する。赤外線などの可視光外波長の光を可視光に変換することで効率を高めるというもの。
概念実証として試作した白熱電球はタングステンフィラメントを採用し、熱効率が最も高い3000Kで赤熱する。放散されるのは主に赤外線で、数層から成るフォトニック結晶によって可視光線に変換される。試作モデルの効率は約6.6%となるという。
従来型白熱電球の2~3%に比べると効率は高いものの、蛍光灯や小型LEDの5~15%などに比べればまだまだ低い。とはいえコンセプトを実証する段階であり、技術を追求すればLED理論効率に匹敵する効率40%にも達する可能性があるという。
蛍光灯もLEDも紫外線域の放射エネルギーを蛍光物質で可視光に変換している(LEDは直接可視光域でも光るが)のは同様。フォトニック結晶の技術次第では白熱電球でもまだまだ実用に供せられる製品になるかも知れない。