日本語の表示品質の改善も実施
そして、最も日本語ユーザーからの要望が多かった点として、「日本語の表示品質の改善」も実施されている。Windows 10の標準フォントである游書体は、レンダリングエンジンの改良で文字のななめの線のシャギーが抑えられ、小さい文字の表現も改善した。WindowsのインターフェースフォントであるYu Gothic UIは、ヒンティングを修正し、文字ごとに違った文字幅を統一したり、漢字かな交じりで文字ごとに太さが違うといった現象が改善されたという。
最新用語の変換精度が向上した「Microsoft IME」
日本語入力の「Microsoft IME」では、検索エンジンBingのオートサジェスト機能を利用することで最新用語の変換精度が向上し、日本語の語彙が大幅に拡充された。デモでは、テレビ番組や芸能人、アニメ、難解な医療用語などが推測変換候補に表示されるようになり、より快適に入力できるようにした。
日本の開発チームも貢献
米Microsoftの開発部隊は世界各国にあり、日本でもマイクロソフト ディベロップメントがWindowsやOffice、Bingを開発している。日本語化は別のチームが担当しており、純粋に機能やソフトの開発を行なう部隊で、最近では「Office Lens」が日本チーム発信のアプリだという。
マイクロソフト ディベロップメントの安達理社長によれば、Windows 10はインターネットサービスの開発モデルと同様に、アジャイル(迅速)に開発して配布することをコンセプトにしている。
開発者があるフィーチャーを開発したら、それをすぐに配布するようなスタンスだが、そうした機能は「すべての人に使ってもらう必要はないし、そうはしていない」(安達氏)。全ユーザーの0.01%にまず使ってもらって、その結果が良好であれば0.1%に拡大し、さらにうまくいったら1%にといった形で、順次拡大して新機能の提供を進めていくという。
1ヵ月単位で開発してInsider Previewとして配信
安達氏は「このサイズのOSで(インターネットサービスと)同じことをやろうというのが野心的であり挑戦」と強調する。
マイクロソフト自身の開発体制も変わり、これまでは3ヵ月単位で機能を開発していき、その3年分をまとめてメジャーアップデートとして提供していたが、現在は1ヵ月単位で開発してInsider Previewとして配信し、それを一定期間後にまとめて配信するというスタイルになった。3ヵ月単位での開発の頃に比べて扱うコードが減ってバグフィックスが容易になり、3年後を想定した新機能開発に比べて早期にリリースできるためモチベーションも上がっているそうだ。
1ヵ月単位で忙しさは増したが、常に出社してデスクの前で開発するということが以前よりも減り、開発環境が変わったこともあって「全体としては以前よりハッピーになっている」と安達氏。
今回、Windows 10初のメジャーアップデートだが、基本的な日本語表示の改善やMicrosoft IMEの改良など、「ようやくWindows 10のバージョン1」という声もある。とはいえ、今後もユーザーの声を反映させながら、早期にInsider Previewを再開して継続的にアップデートを繰り返すことで、Windows 10をさらに成長させていきたい考えだ。
日本語ユーザーの積極的なフィードバックでさらに便利に
安達氏によれば、日本語ユーザーからのフィードバックが海外と比べて少ないという。機能追加やバグフィックスなどは、ユーザーのフィードバックを「かなり参考にしている」(安達氏)ため、ユーザーからの積極的なフィードバックを求めている。