ドイツの企業ティッセンクルップ(ThyssenKrupp)は11月5日、ケーブルなしで動くリニアエレベーター「MULTI」の実働モデルを公開した。
MULTIシステムは同社が1年前にコンセプトを発表したもので、リニアモーター技術の採用により、ケーブルでケージ(カゴ)を吊るすのではなくシャフトをカゴが移動する。
公開されたのは10mのシャフト2本と4つのケージを持つモデルで、実際の1/3スケール。ドイツのリニア浮上鉄道トランスラピッド(Transrapid)の技術も応用しているという。トランスラピッドによるリニア高速鉄道は計画自体が中止されてるが、ティッセンクルップでは同技術を用いたACCELシステムと呼ばれる動く歩道を開発、空港に納入している。
高いビルのエレベーターにおいては非常に長くなるケーブルが不要になることに加えて、ケージが水平移動して異なるエレベーターシャフトに移るレーンチェンジ、ひとつのシャフトを複数のケージが走る鉄道的な運行も可能となる。 エレベーターの輸送力は現在の高層ビルにとっては大きなネックとなりつつあり、1シャフト1ケージというしくみを打開する技術の開発には大きな期待が寄せられる。