楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなど、数あるECモールのなかでも「楽天市場」は集客力が高く、うまく活用すれば売上・利益を拡大できます。しかし、ただ出店しているだけでは利益を上げられず、「楽天は儲からない」と嘆く声も聞こえてきます。そこで、ネットショップ運営代行事業を展開する(株)ネットショップスタジオ代表取締役の桑田晋一氏が、楽天市場の現状や他のECモールとの比較、楽天市場で成功するための秘訣などを解説するコラムを開始します。
(株)ネットショップスタジオ 代表取締役 桑田晋一
「楽天が儲からない」はステレオタイプ
ECのマーケットプレイスである「楽天市場」は、ネット上に複数のショップが集まっていることから仮想ショッピングモールとも呼ばれています。
楽天市場に対する出店者側からのイメージは色々あります。よく言われるイメージとしては「楽天市場には出店しても儲からない」というものです。もう1つは「やっぱり楽天市場は最も有名なマーケットプレイスだから出店したい」というもの。
こういったイメージを総合すると、楽天市場に出店したことがない事業者は夢を見て、実際に出店して利益を出すことができなかった事業者は、その結果からマイナスイメージを持っている現状が思い浮かびます。
ただし、それはステレオタイプというもの。楽天市場というプラットフォームは、確かに上手く使うことができないと利益が出ません。しかし、それはどのプラットフォームにも言えることで、上手く使えば大きな売上と十分な利益を上げることができます。
楽天をうまく活用し、売上・利益を拡大している事業者は、声高に成功事例を叫ぶはずもなく「楽天は儲からない」という声だけが市場に溢れているわけです。
流通量で圧倒的な楽天市場
日本国内でのEC市場は約8兆円と言われています。
そのうち楽天市場では実にEC市場の25%にあたる約2兆円のシェアを獲得しています。この数字はコンビニ大手ローソンなどと同等の市場規模で、販路として非常に魅力的です。
仮想ショッピングモールと呼ばれているマーケットプレイスの中で、楽天に対抗できるモールに、「Amazon」と「Yahoo!ショッピング」が挙げられます。
Amazonの市場規模が約1兆円で全体の約13%、Yahoo!ショッピングの市場規模は約4000億円で全体の約6%となっています。
ここで仮想ショッピングモールシェア1位の楽天市場とAmazonの比較をしてみます。
楽天市場が先行した仮想ショッピングモール市場ですが、Amazonが強烈な追い上げを見せています。Amazonは楽天との差別化戦略をとり、ページをシンプル化させ型番商品のシェアを奪うという戦略に打って出ました。
食品など説明が必要な商品は楽天で買って、パソコンの部品など検索で調べられるものはAmazonで買うといった消費者も多いのではないでしょうか。
そのAmazonがここにきて型番商品のシェアを取り切ったと判断したのか、楽天のようにゴチャゴチャしたページ展開も許容するようになり、食品など楽天の得意分野である商品ジャンルのシェアを奪いに来ています。今後この2社のシェア争いがどのように進んでいくかが見ものです。
とにかく現段階では、流通量では圧倒的な楽天市場。
販路として検討する余地は十分にあると言えます。
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(株)ネットショップスタジオ 代表取締役 桑田晋一(くわた・しんいち)
■プロフィール
1981年生まれ。おうし座。2006年慶應義塾大学経済学部卒。学生時代はアメフトサークルでクォーターバックとして活躍。
大学卒業後の2006年にネットショップに特化したホームページ制作会社を創業。2010年、ネットショップの運営代行に特化した(株)ネットショップスタジオを創業。メーカーの販路拡大をミッションにメーカーの楽天直販で1億円達成を目指す「楽イチ」などのサービスを展開。EC経営者交流会BOSS会幹事も務める。